本 新見南吉の「ごんぎつね」(ポプラ、偕成社刊)をご存知ですか?

もみじ秋といえば、まず、この本が思い浮かびます。彼岸花の咲くあぜ道を、お葬式の列がゆく。それを六地蔵さんの影からみ送るごんぎつね・・・。

 個人的には、子どもの本はユーモアがあって、幸せで、楽しいものが一番と思うのですが、たった一冊この悲しい、やるせない物語が好きです。

いたずら好きでひとりぼっちのきつねのごん。そのいたずらが原因で兵十を自分と同じひとりぼっちにさせてしまったと、苦しむごん。そのごんの中に、いつもひとりぼっちだった「新美南吉」という人が、みえてきます。お月見

幼くして母親を亡くしいつもさみしさで彩られていた幼年時代の思い出が、この「ごんぎつね」や、もう一つの代表作「てぶくろをかいに」のストーリーに反映されているといわれています。毎日、兵十の家に食べ物を届けるごんにも、人間の町にいっててぶくろを買おうとするこぎつねにも、愛されたい、愛したいと求める作者の思いが見えてきますラブラブ

ごんぎつねは、彼の17才の時、てぶくろをかいには、20才の時の作品です。いずれも、南吉童話の原点と言われています。故郷の小学校の代用教員をしていた頃に、子供たちに読み聞かせる為につくった物語です。そして、女学校の英語の教師となった5年間が南吉にとって最も心安らぐ楽しい時期だったようですクローバー その間、多くの優れた作品を残し、童話作家として世に認められるようになります。しかしその矢先、病に倒れてしまいます。病の床でも、ペンをとり多くの作品を残しますが、くしくも、母親と同じ29才という若さで亡くなります。

ラブラブ 彼が亡くなって60年以上が過ぎようとしていますが、いつまでも、ごんが、こぎつねが愛され続けています。南吉が、一番求めて止まなかった愛のシャワーを浴びていき続けています。誰もが求めることは同じです。

 運動会からクリスマス、子供たちが一年のうちで最も成長する季節です。各々に伸びようと一生懸命の小さな芽に、心をこめて水を注いであげたいですねキラキラ大切に、大切にドキドキ