夏休みも、とうとう、後三日となりましたね。うちの子どもたちも、小さい頃はそうでしたが、もうそろそろおともだちとの、学校生活が恋しくなってきているでしょう
ともだち・・・といえば、もうすぐ二学期に、二年生のこどもたちが教科書で習う「ふたりはともだち」 「ふたりはいっしょ」 「ふたりはいつも」 「ふたりはきょうも」 作・アーノルド・ローベル (文化出版刊)という本があります。こどもたちが習うのは、ふたりはともだちの中の一節『おてがみ』です
私たちが小さい時は、かえるというと、おやゆびひめでもきみのわるい動物という印象ばかりでしたが、この本のかえるたちは、なんとかわいらしく、愛すべき動物でしょうやさしくて、考え深いかえるくんと、ボーとしていてそれでいてがんこながまくんの、あったかい友情物語です。
「ふたりはいつも」の『おちば』という章では、お互いがお互いの家の前に積もった落ち葉をこっそりそうじして喜ばせてあげたいとおもい、
「ふたりはともだち」の『おはなし』という章では病気のかえるくんを元気づける為に枕元でお話を考えていたがまくんが、反対に病気になって、かえるくんにお話をしてもらいながらねむったりと、この本のなかでは、なにげない日常が、ちょっとした思いやりや、いたわりの一言で、きらきらと輝きだすのです。
かえるくんががまくんを、がまくんがかえるくんを必要とし、そしてお互いがお互いの幸せを深くしていくのです
エッセイスト江ぐに香織さんは、「絵本を抱えて部屋のすみへ」というエッセイで次のように書いています。『日常生活はかくあれかし。~がまくんとかえるくんの絵本によせて。・・・おさえた色調といい、平明な訳文といい、本当にやさしい本だ。読む度に安心する。それに一つ一つのお話が、実に上等にできているのだ。詩的で、ささやかで、ユーモラス。これは私にとって物語の理想三要素であり、日常の理想三要素でもある。読んでいてともかく心地いいのだ。』以上のようにです。
最後に「ふたりはきょうも」の『ひとりきり』という章を紹介します。「ぼくはうれしいんだよ。とてもうれしいんだ。朝目をさますとおひさまがてっていて、いい気持ちだった。じぶんがいっぴきのかえるだということがいいきもちだった。そしてきみというともだちがいてね、それをおもっていいきもちだった。それでひとりきりになりたかったんだよ。なんでなにもかもみんなこんなすばらしいのか、そのことをかんがえてみたかったんだよ。」 こんなセリフがあります。
あたりまえの一日、あたりまえの日常をこんなにやさしく、こんなに幸せにしてしまう、これを書いたアーノルド・ローベルという人はいったいどんな人だったのでしょう。知りたいですね。
さあ、おともだちの待つ学校生活へ帰るとしましょうか