幕末の話をします。

文久3年5月、孝明天皇の強い要望により、将軍徳川家茂は攘夷の実行を約束します。幕府としては攘夷を軍事行動とはみなしていなかった、という説もありますが、これを拠り所に長州藩は下関(馬関)海峡を封鎖し、航行中の米・仏・蘭の艦船に砲撃を加えます。その報復として半月後、今度は米・仏の軍艦が停泊中の長州軍艦に砲撃して打撃を与えますが、長州は陸上の砲台を修復して、海峡封鎖を続行します。

 

壇ノ浦に並ぶ長州砲(観光用レプリカ)

 

翌年の元治元年7月、1年あまりにわたる海峡封鎖で経済的損失を被ったイギリスが、長州に対し懲戒的報復措置をとることを決定。直接被害を受けた米・仏・蘭に呼びかけ、ここに英・米・仏・蘭による連合(四国)艦隊を編成し、8月5日~7日にかけて下関~彦島の砲台を徹底的に砲撃、各国の陸戦隊がこれらを占拠しました。

 

と、ここまでは歴史の教科書に載っている有名な話です。

 

前田砲台を占拠する外国の陸戦隊(ポスター写真より)

 

現在の前田砲台跡

 

問題は、ここからです。

砲台の大砲が接収され、戦利品として外国に持ち去られることになりますが、それを運ぶ時、なんと周辺の住民たちがゾロゾロと出てきて、頼まれてもいないのに率先して手伝ったとされています(外国の記録にきちんと記述されているそうです)。

これからは紅毛人が支配者になると判断し、さっそく媚びを売り始めたのではないか ? と指摘する人もいます。

「さもありなん(きっと、そうだろう)」と、筆者も同意します。

長州といえば後の奇兵隊にもみられるように、身分を問わず君民一体で結束の強い藩の一つと思われていますが(ある程度は当たっていると思われますが)、この様子を見る限り、少々怪しいものがあります。

いわんや他藩においてをや、です。

武士は別として、一般に江戸時代の庶民は藩のお上を良く思わない人も多かったはずで、藩民としての自覚、帰属意識は現代の我々が想像するより、だいぶ薄かったのではないでしょうか。

 

さて、この戦争のあと講和が結ばれることになり、長州側の使者として、当時脱藩の罪で監禁されていた若い高杉晋作が任命されます。

 

海峡を見下ろす高杉晋作像(下関 日和山公園)

 

高杉は出された要求は受け入れますが、賠償金については長州藩ではなく幕府に請求されます。今回の攻撃は幕府が朝廷に約束し諸藩に通達した命令に従ったまで、という名目からです。

 

高杉晋作終焉の地(下関市新地町)

 

この交渉の中で、彦島(ひこしま)の租借をイギリスが要求し高杉が断固として拒否した話は有名です。しかしイギリス側の記録には残っておらず、この話を否定する人もいます。もちろん言い伝えによるものですが、交渉の場には通訳として伊藤博文(当時は俊輔)や井上馨(当時は聞多)も出席していて、後年述懐していたといいますから、おそらく存在したのではないでしょうか。もっとも、イギリス側も本気で租借する気があったのか、交渉を有利に進めるための恫喝で持ち出したのかは、定かではありません。

この、彦島が香港のようになったかも知れない?話は、(山口県では有名ですが)全国的にはあまり知られていません。

 

下関市の地図 左下(先端)部分が彦島

 

細い水道をはさんで向こう側が彦島

香港のようになったかも知れない?

 

仕事で彦島を訪れるたびに、筆者はこの話を思い出してしまいます…。

 

幕末の頃の出来事は、戦国時代や源平合戦の時の話と同じく、日本人が大好きな分野ですね。

若いころに歴史小説を読んで胸を躍らせた方も多いのではないでしょうか。

 

司馬遼太郎「世に棲む日日」全四巻

 

 

山口事務所

藤本 幸久

 

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問. 被保険者は、厚生労働大臣に対して被保険者であることの確認の請求を口頭で行うことができる。

 

 

 

 

答.〇

 

 

 

 

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設問の通り正しい。被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認の請求は、文書又は口頭で行うものとされている。

 

 

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