ある顧問先の従業員の方の話です。『そんなことを気にするのか』という事例がありました。誰も得をしないとまでは言いませんが、せっかくの制度なのに利用しない『その理由』には、素直にうなずくことはできませんでした。

 

 

事例の当人は、今年の7月に、70歳になるこということで、代表との話し合いで、勤務日数・時間の労働条件を変更することになっており、当該時点おいて、賃金についても大幅に減額することになっていました。当然のこととして、代表も、当人が『同日得喪』を希望するものと考えていましたが、書類作成の直前に、本人より当方に、同制度の内容についての質問がありました。

 

説明を聞いた結果、当人は、『同日得喪』を選択せず、通常の『随時改定』を希望することになりました。理由は『何か』、わかりますか。

答えは、『健保証の番号が変わるから』です。意味が分かりません。

 

 

 

ここで、『同日得喪』について、少し触れます。

平成848日 保文発第269号・庁文発1431号通知に、『特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、定年による退職後継続して再雇用される場合に限っては、使用関係が一旦中断したものと見做し、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる扱いとして差支えない』とあります。 簡単に言えば、退職した日に、再度入社したことにして、入社の新たな労働条件(減額された賃金・標準報酬月額)を即、保険料又は年金との支給調整に反映させようとするものです。

 

 

 

ポイントは、『特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者』と『定年』による退職です。

定年以外でやめた場合には、同日得喪ではなく、通常の随時改定(月額変更)が適用になる為、実際には再雇用後の低い報酬額を受け取りながら、在職による年金の調整は、従前の標準報酬が用いられるため、年金の受取額の減額又は全額停止が発生していました。

 

 

 

そうした中、平成22610日に、『嘱託としての再雇用された者の被保険者被保険者資格の取扱いについて(通知)』の一部改正について、が公表され、定年制の定めのない事業所も一定程度存在する中で、定年退職に限って上記の取扱い(同日得喪)を認めているのは不公平との声が多いとのことで、『定年』に拘泥する必要はないとの見解のもと、上記の表現が『退職後継続して再雇用される者』と変更されました。『定年』という表現が消えました。

 

 

 

さらに、平成2541日からは、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の段階的な引き上げことを受け、『特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、退職後継続して再雇用される者』という表現が『60歳以上の者で、退職後継続して再雇用される者』に変更されました。年金の受給権有無は関係ないということになりました。年金の加入月数が極端に少ない人でも、制度の恩恵が受けられるようになったということです。

 

当時、60歳以降の賃金を年金を絡めて考察する書籍を購入した際に、記述内容の訂正・変更の案内が添付されていたことを思い出します。同日得喪の条件が最新のものに更新されていなかったためです。

 

 

 

以下に、同日得喪の条件の変化をまとめてみました。

 

 

平成848

 

特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、定年による退職後継続して再雇用される者

 

 

平成22610

 

特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、退職後継続して再雇用される者

 

 

平成25125

 

60歳以上の者で、退職後継続して再雇用される者

 

 

 

 

最後に、同日得喪を扱った社会保険労務士試験問題がありましたので参考にして下さい。

 

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

 

A 育児休業中で厚生年金保険料が免除されている者に対して賞与が支給された場合、当該賞与に係る厚生年金保険料は免除されるため、賞与支払届を提出する必要はない。

 

 

 

B 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が、当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しない場合、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から5年を経過したときに、その受給権は消滅する。

 

 

 

C 障害基礎年金の受給権者である男性が65歳で遺族厚生年金の受給権を得た場合、それぞれを併給することができる。

 

 

 

 

D 障害等級2級の障害厚生年金を受給する者が死亡した場合、遺族厚生年金を受けることができる遺族の要件を満たした者は、死亡した者の保険料納付要件を問わず、遺族厚生年金を受給することができる。この場合、遺族厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300ヵ月に満たないときは、これを300ヵ月として計算する。

 

 

 

E 60歳を定年とする適用事業所における被保険者が、定年退職後も引き続き再雇用されるときは、定年退職した時点で特別支給の老齢厚生年金を有していない場合であっても、使用関係が一旦中断したものとみなし、当該適用事業所の事業主は、被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出することができる。

 

 

記載内容で誤りある選択肢は、『A』です。保険料の免除の有無に関係なく、届け出は必要です。

尚、今回のテーマである同日得喪の説明をした『E』は、正しい内容になります。

 

当然ですが、同日得喪は、60歳以降、1回とは限りません。契約内容の変更、有期契約の更新ごとに、実施は可能です。回数に制限はありません。また、期間が限定される訳でもありません。

 

 

 

社会保険労務士

斎藤 正雄

 

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□■□■□■今日の問題■□■□■□

 

~労働者災害補償保険法からの問題~

   

〇か×かでお答え下さい。

 

問.療養給付にかかる一部負担金は、第三者の行為によって生じた事故により療養給付を受ける者からは、徴収しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答.○

 

 

 

 

~解説~

設問の通り正しい

 

 

 

 

 

 

 

 

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