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てんかん対策を進めよう!

神奈川県議会第二回定例会 代表質問で、本県におけるてんかん対策について取り上げました。


「てんかん」は、脳内の神経細胞の異常な電気的興奮に伴ってけいれんや意識障害などが発作的に起こる慢性的な脳の病気で、およそ100人に1人が発症するとされ、わが国では、約100万人の患者がいると言われています。

しかし、専門医療機関や専門医は少なく、診療科も小児科や、精神科、神経内科、脳神経外科などに分かれ、患者ばかりか医療関係者にも分かりづらく、患者が専門的治療に結び付きづらい状況がありました。2015年の世界保健機構(WHO)の総会では「てんかんの医療」が最重要課題として採択され、てんかん患者の権利を促進・保護する政策や法律を、各国政府が策定・強化・導入する必要性や、てんかんの治療、研究、創薬などを進めることも決議に盛り込まれました。

我が国でも、てんかん治療を専門的に行う医療機関を「てんかん診療拠点機関」として指定し、専門的な相談支援や治療提供などに取り組むモデル事業を開始しました。


神奈川県でもこのモデル事業に取り組むよう平成26年第3回定例会一般質問で私から提案したところ、保健福祉局長から、前向きな答弁をいただき、平成27年度には、県内医療機関を含む全国8医療機関が認定され、取組みが進められてきました。

これを機に、本県においては、神奈川県てんかん治療医療連携協議会が発足し、県内のてんかん専門医の連携が進められてきました。

また、多くの診療科が多角的にてんかん患者の診療にあたることのできる「てんかんセンター」が聖マリアンナ医科大学病院に開設され、本年4月には新たな拠点機関として指定されたと承知しています。

これまでのモデル事業の取組みの成果を生かしながら、てんかん対策の充実を図っていく必要があると思います。

 

しかし、過日、私のもとに寄せられた相談に愕然としました。子供さんがてんかん発作を起こし、救急で搬送されましたが、その医療機関には専門医がおらず、専門的治療を受けられるとして、他県の病院を紹介されたというのです。子どもさんとともに他県の病院で長期にわたる検査を受けたそうですが、肉体的、精神的、経済的に大変な負担であったと思います。ネットで様々に検索する中で、私の議会報告を閲覧し、てんかん治療を神奈川県でも受けられると知って、お問い合わせくださったものです。医療関係者においても拠点機関や連携体制について、まだ十分には理解・周知がなされていないのではと感じました。

 

また、最近は治療薬の開発が進み、適切な服薬により、多くの患者が発作を抑えることができるようにもなってきていますが、こうした最新治療に関する情報が患者や家族のみならず、医療関係者にも知られていないといった指摘もあります。

さらには、こうした最新の専門的治療により、患者の多くは社会生活を支障なく送れるようになってきているにも関わらず、周囲の理解不足から、教育や就労などの場面において壁に直面している患者も多いと伺いました。

 私は知事に対し

県として、てんかん診療拠点機関を活用し、てんかん対策にどのように取り組んでいくのか、質問しました。

知事からは、以下の答弁がありました。


てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの発作を繰り返す脳の病気ですが、適切な治療により、発作をコントロールしながら、社会生活を送ることができる病気です。


これまで、県では、国のモデル事業を活用し、「てんかん診療支援コーディネーター」を配置し、患者や医療機関からの相談に応じるとともに、医療従事者向けの研修会の開催や専門医を紹介するリーフレットを作成するなど、患者が適切な治療を受けられるよう取り組んできました。


しかし、患者が専門医の受診につながらないケースがあり、地域の医療機関への適切な情報提供や、専門医のいる医療機関との連携強化が必要です。

また、病気に対する周囲の理解不足により、仕事を辞めざるを得ない方もいることから、正しい知識の普及とともに、就労支援など、患者の社会生活への支援も求められています。


そこで、県では、本年3月に改定した「神奈川県保健医療計画」に、「専門医療機関の明確化」と「地域の医療機関との連携推進」などを盛り込み、さらなる、てんかん対策を進めていくこととしました。


具体的には、4月に聖マリアンナ医科大学病院を「てんかん診療拠点機関」に指定しました。


この拠点機関を中心とした「てんかん治療医療連携協議会」に、県も参画して、医療連携体制の強化や、効果的な普及啓発の手法などについて検討し、患者の適切な受診につながるよう取り組んでまいります。


さらに、協議会に、就労の専門家を加え、患者の社会生活に関する支援が進むよう、検討してまいります


県は、拠点機関との連携を密にしながら、患者が適切な治療を受け、本人の望む生活が実現できるよう、てんかん対策を進めてまいります。