医師不足をどうする?次世代を担う医師の育成確保について | 西村くにこ オフィシャルブログ Powered by Ameba

医師不足をどうする?次世代を担う医師の育成確保について

 超高齢社会に突入し、地域の医療を支える医師の確保は全国的な課題となっています。国や各県が医師の育成に取り組む中、全国の医師数は増加してはおりますが、都市部と地方の地域偏在など、未だ多くの課題が山積しています。こうした課題の解決に向け、先般の通常国会には医療法及び医師法の一部を改正する法案が提出され、医師の確保に関する都道府県の計画策定などの項目が盛り込まれています。

翻って本県の医師数の推移を見てみると、総数は増加傾向にあるものの、人口10万人あたりの医師数は全国で39位と少なく、慢性的な医師不足の状況にあり、加えて、全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進み、医療需要はさらに増加すると予測されます。


このように、本県において、地域医療を担う医師の確保、特に将来を担う若い医師をどのように育成・確保するかは、非常に重要な課題です。

本県では、この医師不足を解消し、有能な若手医師を確保するため、横浜市立大学、聖マリアンナ医科大学、北里大学、東海大学の医学生に対し、本県が指定する診療科を選択し、一定期間、県内の病院等で従事することを前提に、修学資金を貸し付ける制度を設けていますが、この修学資金の根拠となる条例は二つあり、横浜市立大学に適用する「神奈川県産科等医師修学資金貸付条例」では、産科、小児科、麻酔科、外科の4診療科を、他の3大学に適用する「神奈川県地域医療医師修学資金貸付条例」では、これに内科、救急科を加えた6診療科を専門とすることを貸付の条件としています。

いずれも県内で医師が不足している診療科であると思われますが、現状、例えば横浜市立大学で修学資金の貸付を受けた医学生は、内科や救急科を選択することはできないことや、ここ数年来、新たな診療科として認知されてきた総合診療科が含まれていないなど、学生がこの修学資金を活用しやすくするための改善の余地があるのではないでしょうか。

二つの条例が制定されて約10年となることを踏まえ、こうした条例の指定診療科などについて、見直しを検討すべきと考えます。

あわせて、医学生や若い医師に「神奈川県内の医療機関で働いてみたい」「県内の医療機関は働きやすそう」と思わせる動機付けと環境づくりに向け、大学や若い医師の声をよく聞きながら、県がリーダーシップをとって一層積極的に取り組んでいくことが重要であると考えます。

そこで知事に伺います。

今後、医療需要が増加する本県において、将来を担う若い医師の育成と確保に向

け、修学資金に係る二つの条例の見直し等も含め、若い医師が県内でいっそう働きやすい環境づくりに努めるべきと考えますが、知事のご所見を伺います。  


知事答弁要旨

次世代を担う医師の育成確保についてお尋ねがありました。


 本県の医師数は平成28年には約1万9千人と、10年間で約3,600人増加しています。

 しかし人口10万人あたりの医師数は依然として全国平均を下回っており、高齢化による医療需要の大幅な増加が見込まれる中、医師の確保は大変重要です。  

 

 そこで県では、県内4つの医科大学に「地域枠」を設定して平成21年度から入学定員を順次拡大し、その入学者を対象として、卒業後の一定期間、県内の医療機関で勤務することを条件に、修学資金の貸付けを行っています。


 しかしながら、この入学定員の拡大分である「地域枠」には国が設定した時限があり、現時点では平成31年度までとなっています。


 県ではこれまで、この地域枠を活用して121名の医学生に修学資金の貸付を行い、既に36名が卒業し、県内に医師として勤務しており、県内の医師確保に寄与していますので、平成32年度以降もこの制度を継続できるよう、国に強く働きかけていきます。


 あわせて、修学資金を貸し付ける条件としている「産科」「小児科」などの診療科についても、大学間で違いがあることや、「総合診療科」などの新たなニーズも踏まえ、見直してまいります。


 また、若い医師を県内に確保していくため、県は、「地域医療支援センター」を設置し、県内の医療関係団体や大学と連携しながら、医学生や若手医師に対するガイダンスや県内医療関係者との交流の場づくり、個別相談によるキャリア形成支援などに取り組んでいます。


 加えて、県立病院機構では、総合病院と4つの専門病院を有している特徴を生かし、臨床研修医への専門的な研修を実施し、幅広い分野に対応できる医師を育成しています。


 医師の育成には長い年がかかりますが、今後もこれらの取組みを着実に進め、医学生や若い医師が「県内で働きたい」と思える魅力ある環境づくりに努めてまいります。