iPS細胞研究所にて | 西村くにこ オフィシャルブログ Powered by Ameba

iPS細胞研究所にて

神奈川県議会 厚生常任委員会の調査で
京都大学iPS細胞研究所CiRAを訪れた。
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山中伸弥教授がiPS細胞を開発されてから10年。人類の歴史から考えれば、つい最近の出来事である。しかし、医療は日進月歩。いまや、臨床研究の段階から、臨床試験のステージに進み、治験の申請のニュースが連日のように報じられている。
今回、初歩的な説明から最新の情報まで、対応してくださり、研究所を案内してくださったのは、中畑龍俊顧問と、戸口田淳也副所長。中畑先生は、先の副所長で、昨年、骨髄バンク創設25周年記念全国大会の折にも、横浜でお会いし、約1年ぶりの再会となった。CiRAでは、いま、再生医療用iPS細胞ストックが、始まっている。
患者自身の細胞からiPS細胞をつくり治療に役立てれば、拒絶反応は回避できる。しかし、掛かる時間と費用は膨大だ。いくつかの型のiPS細胞をストックし、対応できれば、より多くの人々に活用していただける。CiRAでは、白血球の型HLAの中から対象者が多型を選び、臨床用iPS細胞を製造してストックするのだ。このHLA情報は、臍帯血バンクや骨髄バンクから寄せられる。骨髄バンクでは、ドナー登録の折に情報提供と協力を呼びかけているが、登録説明員として現場に携わる中で、断られたことは一度もない。iPS細胞と言う言葉が周知され、期待されているのを実感する。さて、現在、日本人に適応する上位3つの型のiPSストックができ、30%の方々に対応できるそうだ。2030年までに75種の型を確保することを目指しているが、実現すれば、80%の人に対応できる。
このストック提供により、様々な疾患の研究が進んでいる。京都大学におけるパーキンソン病、血液疾患、軟骨疾患だけでなく、他の研究所に提供することで、理化学研究所 眼疾患、大阪大学 重症心不全、横浜市立大学 肝疾患、そして慶應大学の脊椎損傷などだ。
慶應大学の研究は、川崎区殿町地区キングスカイフロントにおいて、着実に進展しており、私も何度も議会で取り上げてきた。ようやく、iPS細胞を使った脊椎損傷の手術とサイバーダイン社のロボットスーツ HALを活用したリハビリが現実のものとなってきた。
とはいえ、限られた人しか使えない研究では意味がない。私たちは、より多くの人々に安心して最新医療を受けていただける体制を整えなければならない。
より広く、より実用化に近いのが創薬だろう。また、既存の薬が他の疾患に効力を持つことも研究過程で発見されている。副反応の予知もでき、これまで開発が遅れていた難病、難治性疾患の方々の希望となっている。
低侵襲で、効果的な最先端治療法の普及を本県でも目指して行きたい。