戸襖を張替える | 住まい工房 にしき屋@枚方

住まい工房 にしき屋@枚方

枚方市西禁野、郵便局横の襖と内装の店です。
元来手先器用なマルチ職人の店主は今日も様々な依頼に
胸弾ませながらコツコツと仕事してます。
時々更新するそんな店主のブログです。

今日は真面目に襖張替えの話。
 
こちら張替え前の襖。
ところどころ茶色くなっています。
↓↓↓
 
この茶色の汚れはどこから来るの?
汚した覚えはないけれど、長年使っているうちに
いつの間にか茶色くなってる。なんで?
って思われるかもしれませんね。
 
よくあるのが、襖紙の下地のベニヤ合板から出た木のアクとか、糊跡が黄色くなって表に出てきたものとかです。
 
他にも空気中の微細なチリなどを紙が吸い込んだり、日光による日焼けだったり、
いろんな原因があります。
 
これも斑点状のシミが出ていますね↓↓↓
 
 
古い紙を剥がしてみます。
 
内側は結構綺麗だったりします。
 
このようなベニヤ合板に襖紙を張るタイプの襖を「戸襖」とか「板襖」といいます。
 
写真のものは周囲にだけ糊を付けて張ってあります。
「浮かし張り」という張り方です。
 
手数も少なく、板面の微細な凹凸も表に出にくいというメリットはありますが、一方で襖紙の収縮の際にそのテンションがダイレクトに板面の外周に掛かってしまうので、
 
ベニヤ板の経年劣化によって、使っているうちにベニヤ板の表層ごと剥がれてしまうこともあります。
 
多少緩めにふわっとテンション緩めに張れば、防げるかもしれませんが、張り加減次第では湿度の高い時に弛みが出たりします。
 
紙の収縮率は襖紙の種類によっても異なるし、温度や湿度によっても異なります。
 
とても不安定な張り方ですので、品質の安定という観点から当店ではこういう浮かし張りは行なっていません。
 
 
 
紙を剥がしたら、周囲の糊跡に残った紙を水で湿らせて剥ぎ取っていきます。
↓↓↓
 
 
将来のアクの原因になる可能性のあるものは取り除くに越したことはありませんので。
 
 
次に板面全体をサンディングで平滑にし、樹脂系のシーラーでベニヤ合板に目止めをします。
将来のアクをシャットアウトする為です。
 
 
襖の縁(ベラ)、色が剥げている部分はタッチアップします。
 
 
このように襖紙を張る前段階の処理の方に大半の時間を費やします。
 
クロス、床、シート、張りモノは何でも前段階の処理が成否を分けるので。
 
下地が出来上がったら、襖紙を張ります。
 
周囲を濃い糊、中には薄い糊を付けてのベタ張りです。
線ではなく面で襖紙を張る事で、張りを安定させます。
 
ただし襖紙の種類によってはベタ張りが適さないのと、
板面の微細な凹凸がある場合、ベタ張りでは凹凸が表に出てしまう事があります。
 
そういう時は下地に浮け張りを施します。
 
茶チリといわれる薄い紙を浮かし張りで張ります。
 
茶チリにも種類があります。
写真下のがちょっと上質で、繊維が長めでふわっとしています。
 
 
茶チリ紙の周囲がケバ立っているのは、くい裂きといわれる切り方で、水を引いて裂くことで
紙のカットラインを表に出さないようにするための手法です。
 
こんな感じで板面の周囲1〜2cmほど空けて張ります。
↓↓↓

浮け張りを施したら、襖紙を張ります。
 
襖紙全体に薄い糊を塗り十分に紙を延ばしたら、
襖に張っていきます。
襖側の板面の外周には濃い糊が塗ってあります。
 
2年前の動画です。すんませんm(_ _)m

 
枠からはみ出た余分な紙をカットしたら完成です。
 
 
浮け張りをする事で襖紙を裏側から面で支え、襖紙の張りを安定させる事ができます。
 
紙は常に呼吸しています。
乾燥と湿潤で伸び縮みを繰り返します。
長い年月の末には繊維も劣化し伸縮も無くなってきます。
 
下処理は襖の美観を末永く保つ為にも大切な工程です。
 
下処理無しで簡単に張ったものも、丁寧な下処理をして張ったものも、
おそらく素人目には判りづらいと思います。
 
納品時はしっかり張れているように見えても、5年後、10年後には差が出てくるものです。
 
10年後、15年後にまた張替えのご依頼を頂戴できますように、
見えないところも手を抜かない、
というのが店主のモットーであります。

 
堅い話にもかかわらず最後までお読み頂きありがとうございました。

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工務店に頼むほどでもないし・・・

かといって自分でやるのも大変だし・・・

どこに頼めば良いかわからない・・・

 

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