当園の山はちみつ。私が好きなのは、トーストにバターを溶かし、そのうえにはちみつを落として食べるもの。

 

抗がん剤のお世話にならなかったら、「享年53歳」でした。

 

私がこれを書けるのは、押川勝太郎先生にSNSを通じて出会えたから。

押川先生に出会えたのは、工藤房美さんという「自然療法」派の有名人のおかげ。

ありがとうを何万回も唱えることでがんが消えた経験を書籍や講演で語っている彼女から、

「なんで使わないの? 抗がん剤を使えばいいのに」と言っていただいた。

これが、押川先生とコンタクトをとってみようと思った遠因になっています。

工藤さんは、抗がん剤と放射線治療を経て治癒に至った。

 

工藤さんに会いに行ったときの私は、車に座っているのがやっと、という状態でした。

ビワの葉温灸、温熱療法、マクロビ、波動療法、各種サプリとお茶、ウォーキング、心理療法などなど・・・

いっこうに効果を上げない各種療法で時間を使いつつ、ほぼ寝たきりの毎日だけど、

抗がん剤は私には無理、と思っている人でした。

(放射線は病院のほうから無理、といわれてます)

熊本で病院にかつぎこまれることになるかも、と内心思いながら家を出ました。

 

たった半年前のことです。

今はそのときの体重より10キロ増え、キムチや黒麹をつくり、書きたいことを書き、飲みたいもの食べたいものが自由に選べる、かつてから見たら夢のような毎日を過ごせています。

こんな日が再びやってくるなんて。抗がん剤のおかげ。標準治療のおかげです。

 

私も初めて抗がん剤を使ったときは大学病院にお世話になりましたが、1週間で逃げ出しました。そのため自然療法に寄り道し、しっかり失敗して、すべての医師が優良でないのは事実だけど、病院治療を避けるべき、は事実ではないとわかりました。

私の失敗を踏み台にしてほしいと思い、ブログを書いております。

 

病院に見切りをつけたか、病院から見きりをつけられた、だけど死ぬのは少し早い、こう考える人が選ぶのはたいてい次のふたつです。

 

【A】がん治療を行う個人病院(クリニック)にいく・・・免疫療法、食事療法、ビタミンC療法、温熱療法などを受ける

【B】がんが消えると銘打つ物品、本、施術を行う・・・キノコなど天然のものを加工したサプリ系の購入、心理療法を受けるなど

 

以前の私にはわからなかったけど、いまとなっては標準治療のかわりにするものとして【A】も【B】も、選んではいけないってことがわかります。おなじ轍を踏まないでくださいね。

 

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病気が治った、よくなった等の体験談には

作り話がたくさん紛れ込んでいる

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やってはいけない理由は【A】も【B】も効かないから。

標準治療と併用であれば話が別です。

 

【A】【B】は、代替療法と呼ばれます。

すべての代替療法は、ネット、雑誌、書籍、講演会などでユニークで面白い体験談が披露され、入門者を増やす力になっています。

 

しかしこの体験談が曲者なのです。

顔写真いり、本名を明かしても、堂々と嘘をつく人たちがいるらしいです。

体験談が嘘だらけであることが有名になり、2018年6月からネットでは「これが効いた」「これで治った」等の体験談を掲載をするのが違法になりました。

 

体験談が嘘でないケースはもちろんあるでしょう。

でも、「効く人がいる」から「自分にも効く」と思える根拠は何か。

 

一年だけ勉強して司法試験に合格した大学一年生がニュースになっていました。

そのような話を聞いて、「その人にできたなら私にもできる」と思いますか?

 

「司法試験に受かった」は自分には無理だと思う人が、

「代替療法だけでがんが消えた」が自分にも起こりえると考えるのは、

効果を出せなかった人に会ったことがないからです。

 

効果を出せないまま時間がすぎ、症状を悪化させ、手遅れになった人はたいてい亡くなりますので、実例集が作れません。遺族も口をつぐみます。

 

代替療法で、その治癒率を提示できるものにあったことがありません。

 

私もお客さんだったのですが、がん患者に向けて波動療法をしているある人は、「治癒率百%」と胸を張っていました。

知っている人の全員が「効いていると言った」ことが根拠のようで。

途中で離脱した人は数にいれたくても、事情を追跡できないから入れられません。

 

こういうことはざらにあります。

 

心理技術で病気をやめさせる、という手法でインターネットで人気を博したある男性のサイトにも、80%以上の治癒率をネットに掲げている時期がありました。

それでも少なからぬ人たちが数十万円の療法を受けたらしいです。こんなあやふやな数字を根拠にして。

 

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嘘の闘病記を大出版社が発行できるし

石ころでも「がんに効く」といって販売できる日本

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貯金を崩せば払えなくはない高すぎない価格。試してみるかと思わせる価格がポイントです。

安すぎると信用してもらえない。高すぎると試してもらえない。

そのせめぎあいで決められる価格は巧妙です。

積み重なって、数百万円に至った人、一千万を超えた人が少なくないのです。

 

標準治療を避ける選択は、病院にいかなくても、お金がかかります。

好奇心による小さなトライは無駄なだけでなく、危険です。

 

同じことが書籍にもいえます。

たいていは1500円以下です。

がんに効くといわれる各種のサプリメントに比べたら破格に安いです。

人生がかかっているんだから、安いんだから、がんとついている本ならなんでも買っておこう。

そう考える患者や家族が本を買い漁ることがわかっているので、出版社は「書いてある内容と無関係なタイトルの本」や「現実にありえない嘘をタイトルにした本」を堂々と販売しています。

たとえばこんな本(クリックすると飛びます)があります。

なぜか、この詐欺行為は日本において摘発の対象になりません。

「がんを治す食事」は存在しないのをわかっていながら医師が、がんが消えていくだの、死滅するだのそんなタイトルの本を出したって詐欺とされません。

 

作り話のドキュメンタリーを書籍にしても、それが虚偽であると出版社が認めても、内容を変えることなく販売できる日本では、

サプリや療法に効果があるかどうかを検証することなく、それを販売することが可能です。

 

玉ねぎ農家が、「病気が治るたまねぎ」と銘打って販売したところで罪になりません。

水道水をボトルにいれて、病気が治る「佐藤水」と名付けて佐藤さんが販売しても逮捕されません。

各地の塩をブレンドして病気が治る「波動塩」と名付けて売っても今のところ大丈夫です。

病気が治る石と称して河原の石を売りたければそれも可能です。

 

でもこれは誰もが知っていることですね。

運がよくなるといって水晶などの石を売る人がいます。あなたの運勢をよくするために遠隔で祈りを捧げますとネットで販売する人がいます。

シミはとれないけれど取れると言い切る商品、痛みが取れないけれど痛みが取れると言い切る商品。

「効果には個人差があります」と書かれてさえいれば何でも許す。

どれだけ効果があるかエビデンスを出せ、という人もいない。

これらの行為は、詐欺ともされず、放置されています。

 

しかし生死にかかわる分野では、今年になってようやく厚労省が動き出したのでネットで販売するところは「病気が治る」等の表現に気を使いはじめています。

私のところに送られてきた東京大学が開発したというがんに効くという触れ込みの乳酸菌のサプリは、広告文に中にわざわざ、「ネットにあげないでください」と書かれていました。

 

抗がん剤などの標準治療を拒否したがん患者には、

書籍が売れている有名医師が行う免疫療法や、宗教まがいのセミナーで売っているエネルギー水や、東京大学で開発された乳酸菌などなど、おもしろい商品が次々と、ネットや人を介して情報がもたらされます。

 

が。

どれも同じく、がんを消すと言っているのに、体験談は写真つきでおもしろいものなのに、エビデンスが提示されません。

どれだけの人が試し、どれだけの人が治ったか、教えてもらえません。

 

実はこんなことが野放しにされているのは日本だけ。

多くの国で上記は違法です。

代替療法(国が認めるがん治療以外の方法)を「がんが治る」という触れ込みで販売すると、摘発の対象になります。

代替医療が盛んにおこなわれている印象があるアメリカですが、治るかどうか第三者によって検証されない治療行為をすると捕まるそうですよ。

 

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効くか効かないかを検証するのがエビデンス

騙されてもいい人はエビデンスを求めない

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モンサント(現バイエル社)をはじめとする化学系企業と日米の政府の癒着などを考えると、

抗がん剤を作る製薬会社はどれだけ悪行を働いているかと思うでしょうが、

抗がん剤を開発する場所で、化学会社が悪行を働くと、保険会社という巨大企業が不利益をこうむります。日本では政府が主に不利益をこうむります。

 

それを避けるために、がん治療に使われる薬は治療として適正であるか、保険でお金を出す意味があるかどうかを、アメリカでは保険会社が、日本では厚労省が、徹底的に薬のエビデンスを精査します。

 

拮抗するふたつの勢力の間で、エビデンスだけが莫大なお金の動きを決める理由になる。

だからこそ、化学会社が示す厳密なエビデンスが信用できるのです。

 

ときに、代替医療の支持者が「エビデンスがある」と提示するデータがネットに出ることがありますが、それはただのデータ。エビデンスとはとても呼べないしろものです。

保険会社が、莫大な薬代を肩代わりするのもやむかたなしと判断する根拠がエビデンス。エビデンスがあるとは、その薬の効果のほどが明確にするデータがあるということです。

 

新薬が認証されるプロセスはエビデンスの積み重ねです。

新規の化合物10000種から実験を繰り返し、治験ができる化合物を絞り込み、最終的に絞られた薬剤を3ステップで治験を行い、トータル15年の年月と莫大な金額をかけて、ようやくたった1つの薬剤を世に送り出します。

 

全国高等学校体育連盟の平成29年8月のデータでみると

高校生の女子サッカー人口がちょうど一万人くらいなのですが、

ここからナンバー1選手を1名選ぶ比率で薬は認証されているということですね。

二万人いる女子高校生卓球選手からトップ2名を選ぶ比率でもあります。

 

代替医療とされているものが1万種もあるかどうかわかりませんが、

代替医療だけでがんを治そうとすることは、

県大会にもいけないレベルの選手を、スーパーシュートが何度か決まったことを理由に「この選手をオリンピック選手に育てる!」と持てる費用と時間をすべてその選手につぎ込むようなもの。

その選手がオリンピック選手になるのは不可能ではない。

ただとんでもなく率の悪い賭けです。

おまけにがん患者のもてる時間は、とっても限られている。がんにはものすごいスピードで成長するものがあり、時期を逸したらできる治療もできなくなります。

 

エビデンスといわれるものがどれほど厳密かを示す例にこんな話はどうでしょう。

 

私が1週間で逃げだした術後再発予防の抗がん剤(FOLFOX,XELOXなど)を

現状行われている半年投与から3か月投与に短縮できるかどうかを見極めるための臨床試験が、進行大腸がん患者で、ステージIIIで、手術で完全切除できた人を1万人も募集して、世界規模で行われました。

 

臨床試験参加国のひとつであるギリシャが、途中で離脱しそうになったとき、

研究者一同がわざわざギリシャまで試験継続の陳情に行ったそうです。
抗がん剤を使ったところで大腸がんの再発予防効果は5~8%ぐらいしかありません。
たった5~8%?

そんなミジンコみたいな再発予防効果で、こんなに苦しい副作用に耐えられるか

そう思った私はさっさと抗がん剤治療を放り出したのですが、

研究者から見れば、5%といっても、百万人の患者がいたら5万人はこの薬をしっかりやり遂げたおかげで再発しない。

意味がある数字なんですね。

これだけの莫大な労力と資金を費やして作成されたエビデンスをもって

ようやく製薬会社は、

「再発予防の抗がん剤治療はやっぱり半年必要」

という結果を出すことができるのです。

エビデンスがない、という言葉を連発する私の主治医・押川勝太郎先生と話していると、

エビデンス、エビデンスってうるさいな~。エビデンスなくたっていいじゃないですか!

と言いたくなることがあります。

でもそのせりふは、

 

私、騙されるの慣れてるんで、騙されても平気なんです

と言っているのと同じですね。

 

がんを治す、がんを消すといわれるさまざまな療法、商品、セラピー、治療はあまたありますが、エビデンスがあるというものはほんの少ししかありません。

 

そのほんの少しに該当するほとんどが、標準治療とされている治療法です。

もちろん今の科学の到達点では数量化できない真実もあるでしょう。

でも。

エビデンスがある治療法があるのに、わざわざ「ない」ものからお金を使う根拠は何?

エビデンスならありますよ、と代替医療の信奉者が見せてくれるデータが、

 

・がん種別のデータである
・ステージ別のデータである
・治癒から5年経過するまで観察している
・数千人規模のデータである

 

というあたりまえのことをクリアしていることは百%ありません。

それができていれば代替医療から標準医療に名称変更です。

実際そうなったケースも(←クリックすると飛びます)あります。

 

自然療法やオーガニックな生き方に信念を持っている人の中には、

大学病院に入院しながら抗がん剤を拒絶し、枕辺に代替療法の先生を呼んで施術させ、苦しみながら亡くなっていく人がいるそうです。

 

抗がん剤のせいで人は死ぬのだ、人に話したり、SNSに書いたりする人は、

抗がん剤で生き延びる命がどれだけ膨大な数いるかを示すエビデンスの存在を知らないから無責任なことができるのでしょうが、

抗がん剤の成果を示すエビデンスを知っている医師が、エビデンスのない治療方法(免疫療法など)を「治ります」といって売りつけるのは犯罪的というほかありません。

 

とはいえ、病院で行う治療もがんを治すことは多くの場合できません。

寿命を延ばすことには確実に効果を上げています。

その寿命も尽きて、もう治療する意味がないとなれば、できることはない、と医者が患者や家族に告げる医師もいる。

しかし、こんなことを「病院に見放された」と表現する人の気持ちが私にはよくわかりません。

 

効果がないのがわかっていて治療費をふんだくることを「あきらめないがん治療」と称する経営上手な医師を、「病院に見放された私の救世主」とみなすほうが普通でないでしょう。

 

エビデンスの意味を知るためのさらにわかりやすいブログ

 

 

 

 

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