※一度挙げた記事の再編集です。


前回の続きです。
主意書に対する回答を作成する前に、我々公務員が回答を作るときにどんなことを考えて作っているか、さらっと説明してみます。

〇答弁を書くときに気にすること
気にすることとしては以下の3つです。
・答弁漏れはないか:
主意書は議員の先生が内閣の意見を確認し、その結果をもとに国民の生活を改善するために出すものです。
そのため、その質問内容にはもれなく答えなければいけません。簡単なようですが、相手が意図した質問に完全に答えるのは意外と難しいのです
皆さんも経験ありませんか?上司の質問に答えたら「いやそうじゃなくてさあああああ」といわれること。
ちなみにちゃんと答えてない答弁は答弁モレと言われ、上司や法制局の確認の過程でバッサリ修正されます。

例えば
「1.子供が生まれた後で増加する全ての家事について網羅的に述べよ」
に対して「お風呂洗いとか洗濯物畳みとかやってんじゃん!」と口を膨らませたら、グーパンです。
質問者は子供が生まれる前と後で増えた家事についてきいているのですから、
「子供の服についた納豆を洗濯機に入れる前にとる」
とか
「うんちが漏れたズボンを漂白する」といった回答が必要になります。

・一貫性があるか:
まったく新しい論点が質問されることも確かにあるのですが、まずは似たようなことをこれまで答えているかどうかについて探すことが重要です。
類似の質問がこれまでも聞かれているにもかかわらず、張り切ってオリジナリティを発揮した回答をしてしまった場合、行政の一貫性に疑義が生じます。
そのため、政策変更がなされていない(又はなされない)場合は、基本的にはこれまで答えた回答の内容を踏まえる必要があります。

例えば、
「5.結婚時に、一生大事にする、と誓った言葉の中に、…という趣旨が含まれるということで間違いないか。」
について、
「一生大事にする」というのは趣味のキャンプ通いや友達づきあいのことを大事にすることをさしたのであって、君との結婚生活について言及したわけではない、俺の人生の邪魔をするな!と以前、喧嘩の勢いで口走ったのであれば、方針変更がない限り、その答弁を変えてはいけません。
(この場合は、夫婦間の場合は絶対方針かえたほうがいいですね)

・責任もって答えられない場合はちゃんと助けを求める:
厚生労働省をはじめとしてお役所にはどれも政策のナワバリがあります。これは個々の部局の担当分野を明確化させることにより、個々の職員がその分野に責任を持った仕事を行うため(だと私は少なくとも思っているところ)です。
何か問題が発生したときに、自分のところの権限ではどうしようもないのに、「私やります!」といっても迷惑なだけですよね。

自分の部署じゃ受けきれないなーと思ったら、餅は餅屋。実際にその質問に対する権限を持つ部署に答弁をお願いすることが必要です。

上の例でいうと、
「3.会社の許可のもと、急な送迎対応を行うことは可能か。」
という問いについては、夫だけで答えられるでしょうか。夫の会社が急な早退を受け入れられるか、会社に確認する必要があるかもしれません。

逆に、夫の会社は育児に理解があることが明らかで、夫が一言申告すれば済むだけ、という場合も想定されます。その場合は、夫が会社に確認することなく回答可能ですね。

実際の答弁調整もこんな感じです。A局で回答できない質問についてB局で回答してもらうという調整があります。


次回は、実際にどんな答弁を作成しているのか、具体的な例を挙げてご説明します。