是枝裕和監督の最新作『真実』
試写会で観させて頂きました。

心の奥の奥の奥にある感情が、
ゆらりと微かに揺れ動いた瞬間。
それは本当に、ろうそくの火がほんの少し
左右にふっと揺れたくらいの、微細なゆらめき。
それが切なくて、儚くて、美しくて。
観るものの心を一瞬で奪っていく、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュ…

この作品を観ながら、人間関係の原点というのは(人と人の感情が交わることの原点というか)親子なんだなと感じました。
過去に抱いてきた感情は、なかなか剥がせない。
その記憶も少しずつ歪んでいることにも気づかずに。
ひとつかけ違えたボタンは長い時間をかけて直せないほどのかけ違いを繰り返し、
諦めの下にある怒りや憎しみの存在が親と子、それぞれを傷つける武器にもなったり…

でも、親も子も繋がりたいと思うから衝突を繰り返してきたのではないか。
愛し、愛されていることを感じ合いたくて。

試写室を出て駅のホームに向かいながら、
だから私は学びたかったんだなと思ったのです。
親子の関係性、繋がりについて、
その原点に大きな興味があったし、知りたかった。

込み上げてきたものを感じた時、
私なりの答え合せができたような気がしました。


10月11日(金)、公開です。
もう一度、劇場に行きたいと思います。