高気圧・酸素キャビンの基礎知識 | さんそのブログ

高気圧・酸素キャビンの基礎知識

歴史・背景


高気圧・酸素キャビンは、医療用の「高気圧酸素治療(※)」に使用される機器・原理を基礎として開発された「高気圧エアーチェンバー」「マイルド・チェンバー」「健康気圧エア・チェンバー」と呼ばれる装置です。(注.「高気圧酸素治療器」とは異なるものです)
医療用機器とくらべると気圧は低めで、純酸素ではなく空気を使用するなど簡易なカプセルであり、健康増進機器に位置づけられます。純酸素を使わずそれほど高圧でなくても一定の効果は得られるのではないか、とのことから開発されました。

ここ十数年、欧米では酸素のもつ様々な健康効果に注目が集まり、また空気使用で取り扱いしやすいポータブルタイプの装置が出てきたことで、スポーツ界や美容・健康業界を中心に高気圧エア・チェンバーが広まりはじめました。オリンピックチームやプロスポーツ選手などトップアスリートのコンデイショニング、ハリウッドスターのアンチエイジングなどに取り入れられています。

日本でも、スポーツの世界では早い時期から利用されはじめ最近では「ベッカムカプセル」として有名になりましたが、Jリーグやプロ野球、相撲協会、スケート、ボクシングなどのスポーツ選手がケガの早期回復やコンディショニングに利用しはじめています。


※高気圧酸素治療
=ハイパーバリック・オキシジェン・セラピー(HBO=Hyperbaric oxgen therapy)

医療の世界で300年の歴史のある治療法。
1662年にイギリスの医師が治療目的で作ったのが始まりと言われています。
医療用の装置は一人用から多人数が入れる大型のものまであり現在では世界中で様々な病気の治療に使われています。
医療用のものは純酸素を使用し気圧も2-3気圧と高く、一酸化炭素中毒などのガス中毒、脳梗塞や心筋梗塞、火傷や凍傷、皮膚移植、重症頭部外傷など、低酸素症に関わる症状を中心に様々な病気の治療に活躍してきました。


高気圧・酸素キャビンの仕組み


●高気圧・酸素キャビンとは

キャビン内の気圧を上昇させた状態で(通常は1気圧→気圧を高くする)一定時間過ごすことにより、通常の呼吸で得られるよりも多くの酸素を身体に取り込むシステムです。

●効果のしくみ

通常の大気圧は1気圧、酸素濃度は約21%ですが、普通に呼吸するよりも身体への酸素供給度を上げることにより健康増進を図ります。

呼吸によって取り込まれた酸素は、赤血球中のヘモグロビンと結合して末梢組織まで運ばれます。これを「結合型酸素」といいます。しかし、この結合型酸素はヘモグロピンの量より多くは運べず取り込まれる酸素量に限りがあり、 また毛細血管は結合型酸素より細いので血管の汚れなどの体内環境要素とあいまって血流が悪くなりがちです。
結合型酸素のほかに血液や体液に分子のまま溶け込んで運ばれる「溶解型酸素」があります。毛細血管よりも小さく通りやすいサイズなのですが、その量はほんのわずか。

この「溶解型酸素」はサイダーやコーラなどの炭酸飲料のように液体に酸素分子が溶け込んだものなのですが、「液体に溶解する気体の量は気圧に比例して増える」(=ヘンリーの法則)ため、環境気圧を高めることで血液中に溶解する酸素量を増加させることができます。酸素吸入だけでは不可能なことで、気圧上昇があってはじめて溶解型酸素を増やすことができるのです。

高気圧・酸素キャビンは
気圧をあげて溶解型酸素を増やす
ことで酸素供給度をあげる仕組みといえます。