第292話 『卵(前編)』  (Bパート)

 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 

 
【UST作戦室】
 
ドアを開け、入って来るゴウリとナワテ。
一斉に振り向く、6参謀。
 
ゴウリ
「ただいま、戻り…
 
 わ、なんです?」
 
キタワカ
「事件が多発している、関係上、
 ここが、合同作戦室になった。」
 
ミシマ
「参謀6人がかりで、電話番だ。
 
 こんな恵まれた、贅沢な環境は無いぞ。
 ありがたいだろ?」
 
ゴウリ
「い、嫌ですよ。
 そんな、頭でっかちな職場。
 
 肩が凝るじゃ、ないですか?」
 
カジ
「早速だが2人とも、また出動だ。
 
 ゴウリは、佐亜野市、
 ナワテはシズカ班長と一緒に、田小羅町だ。
 班長はもう向かってる、現地で合流してくれ。」
 
ゴウリ、ナワテ
「了解。」
 
カジ
「ユルガ隊長が、一度戻ったので、
 ≪アーク1号≫はある。
 それで、行ってくれ。」
 
ゴウリ
「わかりました。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆西方】
 
怪獣を迎撃中の、ユリコ隊員。
土煙を上げ、地底に潜って逃げ出す怪獣。
 
ユリコ
「仕損じた…!?
 
 まあ、時間かけたくないし、
 追い返しただけでも、良いかしらね?」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【湖模瀬市】
 
警察官
「とにかく、わけがわからなくて。
 
 でも、間違いなく、何らかの怪物です。」
 
ユルガ
「わかりました。
 警察の方も、近づかないで下さい。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【上空 ≪アーク1号≫】
 
ナワテ
「なんか…とんぼ返りと言うか、
 とんぼ行きですが、
 あの作戦室に、いるより良いかも?」
 
ゴウリ
「あれじゃあ、なあ…
 
 気分的には、まだ現場のが気楽だよ。」
 
ナワテ
「編集部で缶詰めになった、漫画家に、
 偶然通りがかった、プロ漫画家5人が、
 アシに入った、みたいでした。」
 
ゴウリ
「よし、この辺で別れるか?
 ≪ソード≫もらうぞ。」
 
ナワテ
「わかりました。
 ご武運を。」
 
ドッキングアウトし、左右に分かれて飛び去る、
≪アーク・ソード≫と≪アロー・ウイング≫
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆海岸 地花湖香(ちかこか) 東方】
 
着陸している≪アーク2号≫。
クロスが、特務軍と合流します。
 
ダイ(遊撃4課・IDMI)
「遊撃4課のダイです。
 これ、取り急ぎの資料。
 
 最低3種の宇宙人が、確認されています。」
 
クロス
「やはり…
 あの巨大卵と、関係が?」
 
ダイ(遊撃4課・IDMI)
「多分。
 争う兆候も、見られるところを見ると、
 取り合いでは、無いかと。」
 
クロス
「うーん、そうか。」
 
ダイ(遊撃4課・IDMI)
「正直、厄介な事になりました。
 
 あの卵を託した、存在の、
 意図も目的も、わからないまま。」
 
クロス
「こちらも卵を、どう扱って良いかわからない。
 
 が、
 幸か不幸か、あのサイズでは、
 どうしようもないか…」
 
ダイ(遊撃4課・IDMI)
「ええ。
 たかって来る連中を、迎撃するしか。
 
 信じたくは、ないですが、
 純粋地球人の、工作員も動いているらしいです。」
 
クロス
「あれが何かも、わからないまま…
 
 いや、だから、欲するのか?」
  

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【田小羅町】
 
警察官
「こちらです。
 とにかく…
 
 我々では、どうして良いかわからず、
 専門家が必要だろうと。」
 
ナワテ
「わかりました。
 全力を尽くします。」
 
シズカ班長が片手を上げます。
 
シズカ
「待ってました。
 行きましょう。」
 
3人で、町の郊外を進むと、
祠の脇に、異様な影が立っています。
トーヴ次元人。
 
思わず息をのむ2人。
 
ナワテ
「だ、だ、だ、大丈夫なんですか?
 危険は?」
 
警察官
「いえ…
 
 今のところは、大丈夫のようですが、
 我々は素人ですので、その辺の判断と、
 処遇を専門家の、USTの方に…」
 
ナワテ
「そ、そうでした。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆海岸 地花湖香(ちかこか)の浜】
 
巨大卵の前で、調査機器を広げ、
分析中のユウキ、ドノバ、ユウと、
護衛の特務遊撃3課、ヤセ、シガ。
 
ドノバ
「なんか、あの…
 
 上でドンドンパチパチ、やってますけど。
 大丈夫なんスか? ここ?」
 
ユウ
「か… 帰りたい。」
 
ユウキ
「空軍はいわば、我々を守るために、
 体を張って、くれているんだ。
 
 その我々が帰ったら、立場無かろう。」
 
ドノバ
「やっぱり…
 
 そうなります…よねえ。」
 
ユウキ
「データーだけ、全部取れば、
 後は帰って、すれば良いんだ。」
 
と、言った瞬間、
少し離れた場所に、弾着があり、
撃ち返した、ヤセ課長の弾が当たったらしく、
岩陰で悲鳴と、人の倒れる気配がします。
  
ユウ
「か…帰りたい。」
 
泣きそうな顔のユウ。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【湖模瀬市】
 
≪エキルダー・ホーク≫に乗り込み、浮上するユルガ隊長。
 
現れる、宇宙獣竜バフター。
熱線をはき出しながら、暴れまわります。
 
地上から攻撃する陸軍と、空軍も到着し始めます。
 
ユルガ
「ユルガだ。
 依り代が何かはわからんが、とにかく怪獣化した。
 
 このままでは、町に出られる。
 攻撃する。」
 
そこに白煙が巻き上がり、現れるカプセル怪獣ミクラス。
 
ミクラスがバフターを押さえる中、攻撃する空・陸軍。
≪エキルダー・ホーク≫もまた、狙いを定めます。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【佐亜野市】
 
太陽光学研究所から、飛び出す男。
その後を追う、ゴウリ。
 
ゴウリ
「待て、待たんか!」
 
数人の黒服の男が、行く手を遮ろうと、
棒状の武器を持って、襲いますが、
すかさず剣を出し、切り伏せて行くゴウリ。
 
その間に、何かを操作した男は、
振り返ると、巨大化して行きます。
バガー星人。
 
ゴウリ
「くっそお、やっぱりか!?
 
 攻撃開始して下さい。」
 
後方の空軍機が、垂直上昇すると、
星人に向かっていきます。
  

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆山中】
 
≪コンプリー≫で、岩石怪獣グレインと、
激しく交戦中のユリコ。

 


 
熱線を空に向け、次々に放つグレイン。
怪獣の攻撃を巧みに避けると、一度上昇。
接近しつつ、新型誘導爆弾を発射します。
 
滑空しながら軌道を変え、怪獣に命中する爆弾。
 
着弾の爆発の後、全身が白色化・硬化して、
もう一度爆発が起こり、木っ端みじんに吹き飛びます。
 
ユリコ
「ありがとう。
 すごい威力だわ。」
 
アカイ
「良かった。
 
 早速ですが、すぐ浜に向かって下さい。
 別の星人と怪獣の兆候が、顕著だそうです。
 
 補給はすでに、輸送軍が現地待機中です。」
 
ユリコ
「了解。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【田小羅町】
 
トーヴ次元人
「いや… 私は…
 地球を侵略しようと…」
 
ナワテ
「お前は、侵略に来たのか?」
 
トーヴ次元人
「いや… 最央省の意向で、
 そう命じられて…」
 
ナワテ
「政府か何かから、命じられ、
 仕方なく、来たって事か?」
 
トーヴ次元人
「いや… 言われているうちに、私も、
 必要な事なら、やむを得ないと、段々…」
 
ナワテ
「じゃやっぱり、攻撃に来たのか?」
 
トーヴ次元人
「いや… 武器での攻撃は、やはり、
 被侵略側の事を考えると、より大きな…
 
ナワテ
「なんなんですか、班長、こいつは?」
 
シズカ
「いや…
 私にも、何と言って良いのか?
 
 星人全体の、メンタリティなのか?
 この星人固有の、性格なのか?も。」
 
ナワテ
「もう、侵略なら侵略で良いから、
 結論を、言って下さいよ?
 
 あなたは侵略に来たのですか?」
 
トーヴ次元人
「いや…
 そう言うわけでもなくて…」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆海岸 地花湖香(ちかこか)】
 
ユリコ
「待ちなさい、そこの男。
 
 止まらないと撃ちます。」
 
逃げていく数人の男に、叫びかけるユリコ。
が、 
男たちは逃げ続け、怪ロボットが現れます。
 

「いくらUSTの、超兵器だろうと、
 1人でアゾカナス11に、かなう物か!」
 
と、地面を割り、
その脇に現れる、一角怪獣ランスター。

 


 
状況を見てユリコは、すかさず反転して駆け戻り、
怪獣は男達の中に、攻め入って行きます。
 

「くそお、余計な邪魔が…
 
 アゾカナス11、こいつを先に片付けろ!」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆 手前】
 
接近して来ると、ドッキングする、
≪アーク・ソード≫と≪アロー・ウイング≫。
 
さらに輸送軍の、空中給油機が接近すると、
燃料、弾薬の補給を行います。
 
ゴウリ
「急いで下さい。
 
 今、現場では、ユリコ隊員が、
 一人で、がんばっている。」
  

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
【伊豆海岸 地花湖香(ちかこか)】
 
浮上する円盤。
どこからともなく声がします。
 
『卵は我々、インカロス星人がいただく。』
 
『そうはさせない。
 卵は我ら、リノ星系亜人の物だ。』

 


 

「ふざけるな。
 よそ者が勝手な事、言いやがって。
 
 卵は、マオバス団の物だ。」
 
怪獣、円盤、ロボットが、散発的に、
お互いに攻撃を、始めます。
 
ユリコ
「あなた達だって、よそ者でしょうに。
 ここは日本よ。」
 
巨大化したリノ星系亜人と、その怪獣ギランダー。
巨大化したインカロス星人、ロボットアゾカナス11。

 


 
一角怪獣ランスター、変質怪獣グラゼロンと、
円盤がそれぞれ争う中、徐々に現場に駆けつけて来る、
≪アーク1号≫、≪アーク2号≫、
≪エキルダー・ホーク≫。
 
マキノハラ
『こちらマキノハラ、今B班に来とるが…
 
 最初に卵が来た時の、怪電波な、
 どうやら、言葉らしいんだ。
 
 暫定だが、翻訳すると…』
 
と、そばで上がる爆発。
 
ユリコ
「ごめんなさい、博士。
 
 今、取り込んでるので、またあとで…」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
 
インカロス星人に攻撃中、反撃され、
倒れたところを、ランスターに襲われて、
爆発して吹き飛ぶ、アゾカナス11。
 
肩足怪獣ティンダーラが、地中から顔を出し、
当りの様子をうかがっている時に、陸軍が発見。
 
いち早く、猛砲火を浴びせると、
そのまま再び地中に潜り、逃走します。
 
閃光と共に現れた、ゾフィが飛び込み、
前後のリノ星系亜人、インカロス星人を、
手刀と後ろ蹴りで、吹き飛ばします。


 

 
そこに、襲い掛かろうとするグラゼロンに、
猛砲火を浴びせる≪アーク1号≫。
 
宙に浮かび、逃げようとするリノ星系亜人。
気が付いたゾフィが、トリプルビームを撃ち、
途中で、三方に分かれたビームが、
リノ星系亜人、リノ円盤、インカロス円盤に命中、
それぞれが爆発して吹き飛んだり、落ちて来ます。
 
悔しがるインカロス星人が、ゾフィにビームを、
シャワーのように、浴びせますが、
すかさず、サイクロンバリアで巻き取ると、
光球弾にして、攻撃しようとしていた、
ギランダーにぶつけると爆発、煙を吹いて倒れます。

 


 
陸軍のビーム攻撃で、膝をつくインカロス星人。
そこに≪アーク1号≫が冷凍弾、さらに、
ロケット弾攻撃を加えると、爆発しながら崩れる星人。
 
起き上がったギランダー、変質怪獣グラゼロンに、
続けざまにM87光線を掃射すると、それぞれ爆発。
 
最後に組み付いた、一角怪獣ランスターを投げ飛ばすと、
トライ・グレイダー~小型の光の三日月3つが組み合わさった、
光輪状のカッターを投げつけると、首が切断。
部位が爆発すると、そのままバッタリと倒れます。

 


 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

 


 
【伊豆海岸 地花湖香(ちかこか)】
 
一時的に静かになった、地花湖香の海岸。
巨大な卵を見上げる、UST一同。
 
ナワテ
「隊長、こんなのいつまでも、続けられませんよ。
 
 今回はたまたま、総力戦で何とかなったけど、
 卵はいつまで、このままかわからない。
 
 一年、半年… いや、一ヵ月だって、
 毎日この調子じゃ、みんな持ちません。
 
 3軍がこれに、掛かり切りじゃ、
 他の仕事だって、何も出来ない。」
 
ゴウリ
「それはわかるが、今はどうしようもないだろ?」
 
ユリコ
「卵がこのままなら、みんな参ってしまう。
 
 でも…
 仮にこの卵が、孵化したら?
 
 卵だけで、これよ?
 一体どんな、怪物が生まれるの?
 
 世界が無事とは、とても思えないけど。」
 
クロス
「しかし、このサイズ、
 宇宙へ捨てるどころか、ここから、
 1センチ動かすのだって、不可能でしょう。」
 
ユルガ
「みんなの心配は、もちろんわかる。
 
 だが、我々は基本、現場の人間だ。
 今は卵を狙う者から、これを防ぐしかないと思う。
 
 いつまでもは、持たない事も、
 卵をどうしたら、最善なのかも、
 それは、上の者が考えてくれるはずと信じるよ。」
 
クロス
「卵をここに、設置した存在は…
 
 少なくとも、
 孵化前の破壊は、望んで無いように思う。
 
 味方してくれる気配も、無さそうだが、
 何かあればそれも、敵に回しかねない。」
 
ナワテ
「ああ~、なんで、もう、
 こんな面倒な事に、なっちまったんだ!?
 
 こっちは、何も悪くない。
 とばっちりじゃないですか。」
 
その時、本部から連絡が入ります。
 
ヒデコ
「2体の怪獣らしき、振動反応と、
 宇宙からの侵入者と思える、円盤が、
 現在そちらに、向かっています。
 
 輸送軍が、後10分で着きますので、
 まず補給を、受けて下さい。
 
 私も≪アーク3号≫で、これから行きます。」
 
ユリコ
「こりゃ、片付くまで、
 当面、現場に缶詰めねえ…」
 
超巨大卵を、見上げる5人。
卵は今は、ただ静かに佇んでいました。
 
【第292話・終わり(続く)】

 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ にほんブログ村  特撮ランキング