第003話 『消える湖』 (Bパート)
第003話 『消える湖』 (Bパート)☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* どこかの空間で、静止している潜航艇≪クラッチャー≫。 コクピットで4人が、徐々に目を覚まします。危機をチェックしたり、辺りを伺う4人。 ゴウリ「どこなんだ。 ここは?」 ナワテ「湖の中…の、はずですけど。」 クロス「ですね。 でも中央部に水が無い。」 ユリコ「人工の空間よ。ここは。」 クロス「宇宙人は、湖を前線基地化し、人目のある日中は活動しなかったんじゃないですか? 夜になると湖中央部のみを中空状態にして外部と出入りし、空洞部分は立体映像のような方法でカモフラージュしていた。」 ナワテ「そうか。 それで円盤出入りの時だけ映像が切られるので、湖が無くなってる瞬間が目撃されたのか!?」 ユリコ「なるほど。 湖の淵部分は普通の水だし、夜に湖中央まで行く人はいなかっため、視覚的カモフラージュでこれまではわからなかったんだわ。」 ナワテ「あ、ちょっと待って下さい。 謎が解けたのは良いけど、これからどうしますか? 偶然基地内には突入出来たものの、≪クラッチャー≫は半墜落状態で落下し、宇宙人の基地内で動けなくなってるんですよ。」 一瞬、お互い顔を見合わせますが… ゴウリ「いや、これは、千載一遇の、願っても無いチャンスだろう! こっちは、敵の懐に飛び込んでいるんだぜ。 どこでもそこでも、片っ端からぶっ壊して、脱出すりゃいいんだ!」 ナワテ「だから脱出ったって、≪クラッチャー≫が、動かないんですよ? 湖底で、潜航艇無しで、どうするんです!? 脱出は?」 ユリコ「ボンベは≪クラッチャー≫にあるはずよ。 隊員服は簡易の、宇宙服・潜水服になるから…」 ナワテ「ま、まさか、身一つで!?」 クロス「そうですね! それで行けると思います。」 ナワテ「クロス隊員までぇ!」 クロス「だって他に、名案あります?」 ナワテ「な、なんとか≪クラッチャー≫で…」 ユリコ「水をどうやって、安全に運ぶの? 破壊の激流に≪クラッチャー≫が巻き込まれたら、どうなるかわからない。 かえって危険だと思う。」 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 気が乗らないナワテを押し切り、4人は潜水装備で武装し、出て来て辺りを調べ始めます。が、隔離されたシールドエリア内のようで、そこから出られません。 ゴウリ「くそー。 まさに、敵の懐に、飛び込めたのに、この透明な壁みたいなのの出口か、消す方法はどこなんだ。 ぶっ壊して出るか?」 ユリコ「ただでさえ、見つかってるかも知れないのに、そんな事したら確実に気づかれるわ。 落ち着いて壁面を、順番に探しましょう。 星人だって、ここに出入りはするはずでしょう? きっと何かスイッチの類か、仕掛けがあるはずよ。」 全員で散開し、薄暗い中、手分けしてあたりを探り始めます。 クロスは密かに、カプセルケースから、一つの怪獣カプセルを選んで、取り出します。 クロス「カプセル怪獣を、この向こう側に飛ばして暴れさせれば? シールドも、解除出来るかもしれないし、 そこに宇宙人が集まれば、我々からは目はそらせる!」 カプセル怪獣ワイリスのカプセルを持つと、大切そうに話しかけながら投げ、テレポートさせます。 クロス「ワイリス、行け! 暴れまわって、機械を壊すんだ」 【カプセル怪獣 ワイリス】 ワイリスは、セブンから託された、4番目のカプセル怪獣です。恐竜~雷竜や竜脚類のような4足の怪獣で、背中の皮膚は鎧のように硬く、手はありませんが、強靭な長い首と尾で戦います。タフでパワフル、耐久力やスタミナには目を見張る物があり、長期戦・持久戦では威力を発揮します。離れた敵には、口から火炎熱線を吐いて攻撃し、自身も火や高熱には耐性があります。重戦車のような巨体の割には泳ぎも得意で、水上・水中でも、自由に活動出来ます。 しばらくすると、シールドの向こう側で凄い音が聞こえ、閃光が走り、爆発音、物が壊れる音が聞こえます。ゴウリ隊員の声が、マルチ・ビデオシーバーから聞こえて来ます。 ゴウリ『なんだ!? どうした? 誰か、何かやったのか?』 クロス「さあ… ぼくが一番近い場所らしですが、良くわかりません。 宇宙人が勝手に、事故を起こしたのかも?」 ユリコ『シールドが消えたわ! 本当ならチャンスね。 この混乱に乗じれば?』 ナワテ『待って下さい、話がうま過ぎます。 宇宙人の、罠じゃ無いんですか?』 クロス「我々は既に、閉じ込められてたも同然ですから、さらに罠にかけるのもおかしいと思います。 爆発が起きたのはシールド外ですし、爆発の規模の大きさで言っても、罠やトリックは、まず無いように思います。」 ユリコ『どっち道、シールドが消えて自由になったのなら、やる事は同じでしょう?』 ナワテ『そ、そう言われてみれば…』 ゴウリ『よし! 当初の作戦通り、各人、手近の施設を破壊しつつ、適当な頃合いで脱出だ。 無理はするなよ。』 ナワテ、ユリコ、クロス『了解!』 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【星人 湖底基地内 西方機械室エリア】 透明シールドの向こう側、湖底下の洞窟をくり抜いた、岩むき出しの壁もある、機械室のような場所で、暴れまわるワイリス。 首と尾を振って、辺りの機械、パイプをなぎ倒します。星人と、警備ロボットらしい物が数体出て来て、携行銃で応戦し始めますが、ワイリスは機械を倒し、尾を振って暴れ、火炎を吐いて追い打ちをかけます。 ロボット数体が巻き込まれたり押しつぶされ、星人は慌てて、出て来たゲートから戻って行きます。 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【星人 湖底基地内 北方 通路】 4人はそれぞれ脱出し、宇宙人や警備ロボット、防衛装置と戦闘しながらも、基地内の中枢部と思われるエリアを探して、進んで行きます。 警備ロボットを見かけるやいなや、リモートレーザーを抜いて、撃ち倒すゴウリ。 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【星人 湖底基地内 東方 通路】 ナワテと、ユリコ隊員が駆けて行きます。 不意に曲がり角から現れる、警備ロボット。警備ロボットが、銃を構えて一発撃ちますが、ユリコ隊員がすかさず避けながら、撃ち返します。 命中、ショートして、倒れるロボット。 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【星人 湖底基地内 南方 小部屋】 ロボットと出くわし、反射的に物陰に隠れるクロス。 ロボットが数発光線銃を撃ち、一度静かになると、クロスは機械部品を見つけて、向こう側へ投げます。 柱に当たって落ち、音がして、ロボットがそちらをキュインと向いた瞬間、飛び出して銃を撃つクロス。命中し、ロボットはショート、小爆発して、横倒しになって静止します。 クロス「ふう。」 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【星人 湖底基地内 少し開けたエリア】 前を行く、ゴウリ隊員、ナワテ隊員と、合流するクロス。 ゴウリ「多分、あの一番でかい、タワーっぽい建物が、司令する場所に違いない。 あそこに爆弾仕掛けたら、脱出だ!」 ナワテ「でも、どうやって? 地上への通路なんて、どう探すんですか?」 ゴウリ「あ… 」 クロス「基地が破壊されれば、湖中央を空洞に保っていた力も、消えるはずです。 ヘルメットとスーツをマリンモードにして、水中を行きましょう。」 ゴウリ「そ、そうだな。 外壁だって、上手く崩れるかも知れんし。 よし、ユリコ隊員、ヒデコ隊員にも連絡しとこう。」 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【湖岸 ≪アーク3号≫ コクピット】 ヒデコ「と言うわけで、隊長。 やはり湖中には、宇宙人の基地があった模様。 4人は現在、破壊活動中の模様です。」 ユルガ『わかった。 くれぐれも気をつけてな。 何か出来る事あったら、フォローしてやってくれ。』 ヒデコ「了解。」 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【星人 湖底基地内 少し開けたエリア】 宇宙人は抵抗しつつ、最後は司令塔上部を分離させた、円盤で脱出しようとします。 ユリコ「ゴウリ隊員、危ない!」 崩れ出すタワーの一部が、ちょうどゴウリ隊員の上に、倒れかかり始めた時でした。 クロス「!?」 同じく、崩れる破片を避けながら、物陰に隠れるクロス。右腕を上げると、ウルトラホープをフラッシュさせます。閃光が迸ります。 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 破片がゴウリ隊員の頭上に伸し掛かる、直前でした。不意に、破片より先に何かの影で暗くなると、上で大きな音がします。 身構えていたゴウリ隊員が、何事も起こらないので、かえっていぶかしげに目を開けると… ゴウリ「なんだこれ? 壁…? え、大きな手か!?」 手が静かに引かれると、その先には無事を確かめるかのような、顔がありました。 ゴウリ「ゾフィ… 助けてくれたのか? すまない。」 ゾフィは手で光の槍を作ると、投擲。壁を突き抜け、水が流れ込んで来ます。 ゴウリ「あそこから、出ろってか? ありがとう!」 手を振って走り出すと、見守るように立ち上がるゾフィ。 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【湖岸 ≪アーク3号≫】 爆発音や、湖面異常で、ずっと見守っていた中、ヒデコ隊員の目の前に、湖から浮かんで来る大型円盤。 ヒデコ「きゃ~~~~! い、いや、 こ、これだわ、言ってた円盤。 しっかりしろ、あたし! えーと。」 ゆっくり浮上する中、攻撃を開始する≪アーク3号≫。ふいに集中攻撃を受け、爆発、炎上して推力を失い、再び湖面に墜落して、大爆発する円盤。 が、さらに湖面が泡立つと、一体の巨大な宇宙人が出現。(どいつだ!?)と言う様に、周囲を見回すと≪アーク3号≫を発見。夜空を背景に両手を広げながら、湖から上がり、≪アーク3号≫に向かって来る、巨大宇宙人。 ヒデコ「ちょ、ちょっと、これは無理! 誰か、何とかしてー!」 マイクに向かって叫ぶ眼前に、みるみる星人が迫る中、不意に星人の動きが止まると、再び湖に吹っ飛ばされます。 ヒデコ「ゾフィ?」 星人の後を追ってきたゾフィが、後ろから星人に組み付き、引き倒すとそのまま後ろに投げたのでした。 ≪アーク3号≫に微かにうなづくと、踵を返して湖に突進して行きます。湖面を激しく波立たせ、組合、争う合い、ゾフィと星人。星人に蹴りを入れ、攻撃を腕を取ってかわしながら、投げ飛ばすゾフィですが、星人も負けずにやり返そうとします。 さらに陸に移動し、激しく戦い合う、ゾフィとヴァーム星人。星人は距離を取ると、うねる光線を放ちますが、ゾフィは避け、さらに手で弾き落とします。 力を込めて収束させた光線を放つ星人ですが、これもゾフィに受け止められ、弾き返されると、最後はM87光線を発射。こちらは、ノーガードの星人に正面から命中すると、そのまま大爆発を起こします。 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* 【竜間湖 湖岸】 徐々に夜が白み始めた、湖の岸。 自力脱出したゴウリ、ナワテ、ユリコが、ヒデコ隊員と一緒に焚き火にあたっていました。 ユリコ「え?それじゃ、ナワテ隊員は怪獣に助けられたの?」 ナワテ「どうも、そうとしか… 結果を見る限りではですが。 明らかに怪獣は、ぼくを背中に乗せて、湖の岸まで送ってくれたんですよ。 降りるまでは静かに、待っていたし。」 ゴウリ「最初は星人の、子飼いの怪獣かと思っていたが。 そうなるとまるで、我々の味方じゃないか? 星人の基地内で暴れるわ、星人やロボットは倒してくれるわ。 我々の脱出を、手助けしてくれるわと。」 ユリコ「その後から、ゾフィが現れたわよね? もしかしたら、ゾフィの味方の怪獣かも知れないわ。」 ヒデコ「そう言えば、アール星人の時も、 ウインダムが現れましたよね?」 ゴウリ「なるほど! 1度ある事は2度あるか!?」 ナワテ「そんな諺は無いです。」 ユリコ「それにしても、クロス隊員は?」 ヒデコ「無事…とは思いますけど。」 ゴウリ「奴の事だ。 やられるようなタマじゃない。 おおかた上がったのが、向こう岸とか何だろう?」 ユリコ「だと良いけど…」 と、その時、見え始めた朝陽に、シルエットが浮かびます。 人影は近づくと、片手を上げます。 クロス「やあ、みんな無事でしたか。 良かった! いやあ、参りましたよ。 脱出したのは良いんですが、波に運ばれてね。 気がついたら、上がったのが、向こう岸で。」 ゴウリ「ほらな。」 笑いながら輪に入るクロスを見て、つられて笑う4人でした。 【第003話・終わり】 ☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・* にほんブログ村 特撮ランキング