第100話 『ゲームの星人』  (Bパート)

 

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【UST作戦室】
 
ツベレ星人
「別れ道の先の、一方は、
 正直者しかいない、正直村。
 一方は嘘つきしかいない、嘘つき村。
 
 別れ道に、人が1人いるが、
 正直村の人か?嘘つき村の人か?はわからない。
 
 一度だけ、質問して、
 正直村への道を、見つける方法は?」
 
ヒデコ
「正直村はどっちですか?
 
 だと、
 嘘つき村の人だった場合、
 嘘つき村を指さすわけかぁ。」
 
ユルガ
「ヒデコ君、
 B班と科学センターにも連絡。
 なるべくみんな、来てくれ。」
 
ヒデコ
「あ、ハ、ハイ。」
 
ナワテ
「あなたの村はどっちですか?
 ですね。
 
 正直村の人なら、そのまま正直に、
 正直村を指差す。
 
 嘘つき村の人で、嘘をつけば、
 その場合も結局は、正直村を指差す。」
  
ツベレ星人
「双子の兄弟がいて、
 兄はロケットに乗り、弟は地球に残る。
 
 兄が準光速ロケットで旅をし地球に戻ると、
 弟から見れば兄の方が動いているため、
 兄の時間が遅れて年を取る。
 兄が若い。
 
 だが、
 兄から見れば弟の方が動いているため、
 弟の時間が遅れて年を取る。
 弟が若い。
 
 実際に兄が、帰って来た時、
 どちらも相手より、年を取る事になるが、
 これは矛盾で、成り立たない。
 
 どう言う事か?」
 
ナワテ
「これはわかる。
 そう考えては、いけないんですよ。
 
 地球の弟は静止系ですが、
 ロケットの兄はそうでは無い。
 加速、減速があるんですから。
 
 地球離脱時の加速、到着時の減速時と、
 Uターンの時に、基準系が変わる。
 静止系や等速では無く、
 この時にいわゆる、時間が進むんです。
 
 静止系は弟で、兄が若いです。」
 
この時、ドアを開け、
バタバタと入って来るB班、マキノハラ博士ら。
 
ツベレ星人
「テセウスが乗っていた船は、古くなったので、
 櫂や甲板の木材を、次々に新しい物に変えた。
 
 すべての部品を、新しく取り換えた時、
 この船はまだ、同じ船、
 テセウスの船と、言えるだろうか?」
 
ユウキ
「これも定義問題だ。
 
 何をもってして『同じ』なのか?
 『同じ船』なのか?
 まずそこが、確定していないための疑問だ。」
 
ツベレ星人
「少し複雑な図形の話をするよ。
 
 長方形、ABCDがある。
 DCの長さをコンパスで取って、点Eを取る。
 
 このBEの垂直二等分線と、
 BCの垂直二等分線の、交点Pを取り、
 ここからABEDに、それぞれを引く。
 
 すると、
 三角形PABと三角形PDEは…
 
 辺PAと辺PDは、
 二等辺三角形PADの二辺で同じ長さ。
 
 辺PBと辺PEも、
 二等辺三角形PBEの二辺で同じ長さ。
 
 辺ABと辺DEは、長方形の二辺で同じ長さ。
 
 つまり三角形PABと三角形PDEは、
 三辺相等で合同になる。

 


 
 しかし、
  
 角PADと角PDAは、二等辺三角形の両端角。
 角DABと角ADCは、長方形の内角で直角。
 それぞれを足して、
 角PABと角PDCは、同じ角度。
 
 三角形PABと三角形PDEは、
 三辺相等で合同なのに、
 角CDEが余るのはなぜか?」
 
ユルガ
「え?」
 
ゴウリ
「さっぱりわからん。
 
 問題自体わからん。
 ナワテ、行けっ!」
 
ナワテ
「ちょ、ちょっと待ってよ。
 
 犬、けしかけるみたいに、言わないで、
 自分のペースで、考えさせて。」
 
ユウ
「問題は、わかるけど、
 私もこう言うのは…」
 
ユリコ
「ちょっと、待ってよ…
 
 確かに、おかしい。
 え、
 どう言う事?」
 
リオ
「アナログのおっさん!
 何とかして!」
 
アカイ
「おかしいな…!?
 描いてみるか。」
 
ナワテ
「いや、絶対どこかが、おかしい!
 
 …はずだけど、
 どこが、おかしいのか?
 説明はあってるような。」
 
マキノハラ
「いや、なにか…
 
 何か直感的に、おかしい気が…」
 
図を描き始める、マキノハラ博士。
 
ドノバ
「わかった!
 
 この条件の図を、描いたら、
 実際には、こうはならない。」
 
ナワテ
「ですね。
 BEの垂直二等分線と、
 BCの垂直二等分線の交点Pは、
 実際は、はるか先です。
 
 三角形PDEは、こうはならない。」
 
ツベレ星人
「正解。
 
 無限の客が泊まれる、無限ホテルがある。
 
 今、この無限ホテルが満室の時に、
 泊めて欲しいと、一人の客が来た。
 泊める事は出来るか?
 
 また、この無限ホテルが満室の時に、
 泊めて欲しいと、無限人の客が来た。
 泊める事は出来るか?」
 
ゴウリ
「いや、これは…
 出来ないだろう?
 
 いくら無限の部屋があっても、満室なら。」
 
シズカ
「満室と言うなら、確かにそう思えるが…」
 
マキノハラ
「いや、出来る。」
 
ナワテ
「出来ますよ。
 無限なら出来ます。」
 
ユリコ
「どう言う事?」
 
ナワテ
「言葉通りです。
 無限なら出来るんです。
 
 満室の時、1人来ますよね。
 その時に、
 「お客様全員、今いるお部屋の、
  一つ先の番号のお部屋に、
  移動して下さい。」
 と言ったら?
 
 1号室の客は2号室に、
 2号室の客は3号室に移動します。
 
 それを無限に繰り返す事が出来、
 1号室は空きます。」
 
ゴウリ
「い、いや、待てよ、
 それ、おかしいだろ?
 
 いくら無限に、移動出来ても、
 満室なら、1対1で対応していて、
 最後の部屋まで、満室だろう?」
 
ナワテ
「有限の部屋ならそうなります。
 でも無限なんですよ。
 
 最後の部屋は無い。
 その移動を無限に繰り返せるんです。」
 
ユルガ
「どうも、何と言うか…
 
 直感的には、ピンと来ないが…」
 
ドノバ
「そりゃ、当たり前です。
 
 日常は、たいてい有限で、
 無限と言うのは、日常的ではない。」
 
ユリコ
「じゃ、じゃあ、
 
 無限ホテルが、満室の時に、
 泊めて欲しいと、無限人の客が来ても…」
 
ナワテ
「泊められます。
 
 「お客様全員、今いるお部屋の、
  倍の番号のお部屋に、
  移動して下さい。」
 と言えば良いんです。
 
 1号室の客は2号室に、
 2号室の客は4号室に移動します。
 それを無限に、繰り返す事が出来、
 無限の部屋が空きます。」」
 
ゴウリ
「駄目だ。
 
 説明されても、
 理解出来るような、出来ないような。
 
 俺の頭では、ついていかん。」
 
カジ
「倍の部屋に移動すれば、確かに半分空くが…
 
 無限の半分と言うのが、何ともイメージ出来んな。
 無限の半分も、無限と言う事なのか?」
 
マキノハラ
「そうだよ。
 無限なのだから。
 
 そここそが、有限と無限が違う部分で、
 『満室』と『もう泊められない』は、
 イコールではない。
 
 有限なら、
 『満室』イコール『もう泊められない』だが、
 無限だと、
 『満室』は『もう泊められない』では無い。
 が、起こる。」
 
シズカ
「そうか。
 最初は、言葉遊びのように聞こえたが、
 ゴウリ隊員の言っていた、
 『最後の部屋まで満室』では無い、
 が、起こるのか…」
 
マキノハラ
「置き換えて“仮に”、
 最後を固定した、イメージで考えるなら、
 その中間が増えると、考えれば良い。
 
 密度や濃度のような物が、変わるイメージだ。
 
 10号室までの無限ホテルに、10人泊まって満室。
 だが、0.5号室。
 0.25号室と、無限に増築出来るとしたら?」
 
ツベレ星人
「いいね。
 
 じゃあ、少し空気を換えて、
 乙女浜駅跡で待ってるよ。」
 

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【どこかの山中】
 
歩いているツベレ星人。
 
何かの気配を感じて、振り返ると、
車椅子に座った、老人と、
それを押す少女と、目が合います。
 
ツベレ星人
「ティム… か?
 
 どうして、こんなところに?」
 
老人
「そりゃ、こちらのセリフだ。
 
 どうして、こんなところにいる?
 ツベレ星人。
 
 物見遊山か?
 
 それとも…」
 
じっと見つめられた、ツベレ星人は、
慌てて、両手を振り、
 
ツベレ星人
「やだなあ。
 ただの戯れ、気晴らしですよ。
 
 知ってるでしょう?
 私には遊戯しかないし、遊戯がすべてだ。
 
 フェアに、遊んでいるだけなんですから、
 そちらこそ、
 変なちょっかいは、出さないで下さいよ。」
 
老人
「なら、良いが…
 
 本当に、フェアに遊んでいるだけならね。
 
 ま、
 おいたは、ほどほどにしとけよ。」
 
ぼやけるように消えていく、老人と少女。
 
息を吐くと、肩をすくめるツベレ星人。
 
ツベレ星人
「食えない、ジジイ…
 
 ご老人ですな。」

 

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【乙女浜駅跡】
 
ツベレ星人
「今度は、問題は簡単だよ。
 誰でも一度は、考えた事あるような質問だ。
 
 鏡の中では、左右が逆になる。
 だが、本来、
 左右方向と上下方向に、優劣は無い。
 
 左右は、逆になるのに、
 なぜ上下は、逆にならないのか?」


 
ゴウリ
「左右は逆で… 上下は逆にならない。
 
 あ、本当だ!?」
 
ユルガ
「しかし…
 
 寝っ転がって、鏡を見れば、
 今度は上下が逆で、左右は同じじゃないか?」
 
ヒデコ
「こう言うの、全然わかんない。」
 
ユウキ
「これは…
 B班は全員、わかるだろう?」
 
ユウ
「あ、あたしは、わかんないです…」
 
ゴウリ
「ナワテは…わかるよな?」
 
ナワテ
「わかりますが、
 むしろこの、『鏡の左右の話』は、
 どう説明したら、わかりやすいのか?
 って、
 話だと思うんですよ。」
 
ゴウリ
「な、なんじゃ、そりゃ!?」
 
ナワテ
「そうだな…
 じゃ、よござんすか?
 
 鏡の中で、本当は、
 左右は反転していません。」
 
ゴウリ
「え?
 
 あ、いや、
 してるだろ?」
 
ナワテ
「運転中、車のバックミラーに映った後続車は?
 
 左右が反転してますか?」
 
ゴウリ
「ああ、いや…
 
 あれっ、してないな。
 
 右は右だ。
 右ウインカーは右ウインカー…
 
 どう言う事???」


 
ナワテ
「だから、本来、
 鏡の中で左右は反転してないんです。
 それが大前提。
 
 実際に反転するのは、鏡に対して前後方向です。
 
 バックミラーに映った車は、
 それをそのまま、鏡から出して考えるので、
 左右方向は、逆にならないで正のまま。
 
 ところが普通は…
 自分の顔なんかの時は、鏡から出す時に、
 左右方向に180度、
 自分で反転させちゃうんですよね。
 
 だから、左右が逆になる。
 鏡から出す時に、自分で180度、逆にしてるんです。」


 
マキノハラ
「もし、上下、左右、前後すべてが、

 逆にならない鏡があったら、こう映る。

 

 

 おそらく、左右と言う言い方で、
 誤解が生まれやすく、なるのではないかな?
 
 左右と言うのは、普通・無意識に、
 自分を中心に考える。
 自分と言う座標系から見て、左右だ。
 
 自分を、さらに外から見れば。
 あるいは、東西・南北・上下や、
 xYZのような、
 ニュートラルな基準系で考えれば、
 
 鏡が反射し、逆転させているのは、
 鏡に対して左右や、上下方向では無く、
 手前~奥の、前後方向だと言う事がわかるはずだ。
 
 その「前後の逆」を直そうとして、
 鏡から出す時に、自分基準に無意識に、
 左右方向に180度、回転させてしまう。
 
 だから“そこで”左右が逆になる。
 
 車のバックミラーの場合は、
 「そのまま見る・出す」ために、
 左右方向、180度回転が行われず、
 左右はそのまま、正しい認識出来る。」
 

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