第225話 『最終防衛線の戦い(彗星の群れ5/5)』(Bパート)

 

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【UST作戦室】
 
ヒデコ
「≪バルガード≫って…
 
 宇宙、行けたんですか?」
 
カジ
「≪バルガード≫は元々、宇宙仕様の万能戦艦だ。」
 
ヒデコ
「あ、
 超巨大彗星獣、ブラインドエリアから完全に離脱。
 通常レーダーで、探知出来るようになりましたが…
 
 し、し、島サイズあります。
 
 戦艦10隻でも、とても足りないし、
 こんなのに地球に、来られたら…」
 
マキノハラ
「そのための、インターソラー対粒砲だ。
 準備完了して、撃てさせすれば…」
 
フジハラ
「大丈夫…なんだろうね?
 
 もう、ここまで来ては、次は無い。」
 
マキノハラ
「インターソラー対粒砲は、本来兵器ではありません。
 通常の戦闘で使う、武器でも無い。
 
 巨大隕石等の、地球衝突を阻止するための物で、
 20~30の、巨大砲台を連動させて、
 発生させた、対消滅粒子エネルギーを、
 誘導射影フィールドに沿って、放出します。
 
 威力に不安は、無いですし、
 今回の、いわゆる兵器転用も、
 フィルが音頭を取ってるので、信頼は出来る。
 
 問題があるとするなら…」
 
カジ
「充分な発射態勢で、撃てるかどうか?」
 
マキノハラ
「そう。
 
 何せ相手は、等速運動でやって来る、
 抵抗も反撃もしない、巨大隕石では無い。
 
 そんな使い方は、想定していなかった。」
 
カジ
「それでも、今、
 こんな島サイズの生物が、重力圏に侵入したら、
 我々にはもう、防ぐ術は無い。
 
 着弾の衝撃と、影響だけでも、
 地球への影響は、計り知れない。
 
 宇宙空間で、粉砕するしかないし、
 単なる破壊でも、容積が変わらなければ、
 破片が降り注いで、被害は大差ない。
 
 その後、
 円盤等の、人工物の反応はどうだ?」
 
ヒデコ
「今のところは、報告無いようです。」
 

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工作艦隊前を、掃射しながら、
前進する≪バルガード≫。
 
【月沖 絶対防衛線 ≪バルガード≫ブリッジ】
 
ドリー
「ゲン、粒波砲だ。
 とりあえず、あの、デカいのが邪魔だ。」
 
彼洋ゲン
「え、こんな半ば、乱戦でですか?」
 
ドリー
「大丈夫。
 多分、何とかなる。」
 
彼洋ゲン
「多分…」
 

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【月沖 絶対防衛線 彗星獣集団 側面】
 
戦闘中のアフリカ、中東混合艦隊。
 
伝令
「い、今、一瞬、
 円盤のような物が…?」
 
アルジェリア司令
「確かか?」
 
伝令
「い、いえ…
 一瞬だった物で…
 
 でも確かに。」
 
アルジェリア司令
「レーダー?」
 
レーダー要員
「反応ありません。
 
 ただ… 近い距離だと、
 一緒になってしまっている、可能性も…。」
 

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【月沖 絶対防衛線 ≪アーク2号≫ コクピット】
 
ゴウリ
「大砲陣地は?
 大砲陣地は無事か?」
 
ユリコ
「工作艦隊は、無事です。
 前方の巨大彗星獣は… 消滅。
 
 撃破されたらしいです。
 
 星人等も、今のところは発見出来ません。」
 
ナワテ
「味方の誰だか、わからないけど、
 良くやってくれたなあ。」
 
ユルガ
「すると、当面の脅威は?」
 
ユリコ
「やはり後方の、超巨大彗星獣ですね。
 
 砲発射まで、黙っててくれれば問題無いですが、
 残存彗星獣を率いて、前進して来ます。
 そこにもう1体、大型彗星獣も一緒にいます。
 
 艦隊はこれ以上、地球圏に下がれないため、
 交戦せざるを、得ない状況です。」
 
ユルガ
「よし、回り込んで、攻撃をかけよう。
 
 敵戦力を、分散させると同時に削り、
 味方艦隊を守る。
 
 万が一、円盤を発見したら、
 それは我々でやる。」
 
ゴウリ
「了解!」
 
ユリコ
「銃座に回っておきます。」
 
クロス
「ぼくも。」
 
2人が出て行くと、加速する≪アーク2号≫。
 

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【月沖 絶対防衛線 彗星獣集団 手前】
 
伝令
「≪イサベリア≫が、突出して行きます。」
 
アメリカ司令
「どうした?
 呼び戻せ!」
 
伝令
「駄目です。
 
 ≪アカラ≫、≪エストロンド≫も、
 戦列を離脱、続きます。」
 
アメリカ司令
「多分、巨大彗星獣を、
 軸線まで誘導しようと、言うのだろうが…
 
 今は、無茶だ。
 思い通りに、動いてくれる物ではない。」
 
イサベリア艦長
「どうせ撃ち漏らせば、倒さねばならない相手です。
 同じ事です。」
 
アメリカ司令
「気持ちも理屈もわかるが…
 
 星人が本当にいるのなら、それも気になる。
 すべてがわからないうちに、賭けをするのは…」
 

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【月沖 絶対防衛線 後方 工作艦隊】
 
作業員
「まずいです。
 
 徐々に味方艦隊が交戦、前進し、
 乱戦に、なりつつあります。
 
 彗星獣だけを、狙えなくなりますし、
 このままでは、散っている敵の一部に、
 襲われる可能性も…」
 
レーダー員
「中、小型の彗星獣、下方から来ます。」
 
工作艦隊司令
「護衛の駆逐艦はどうした?」
 
と、
横から飛んで来た、レーザー、
ミサイルが次々に着弾、爆発して、
4~5体の彗星獣が、爆炎に包まれます。
 
工作艦隊司令
「た、助かった。
 
 どこの部隊だ?」
 
ミナミ
『間に合った。』
 
飛び込んで来た、ムーンベース艦隊が、
先頭の彗星獣集団を、掃討すると、
そのまま弧を描いて、回り込み、
工作艦隊前方の、彗星獣に向かいます。
 
ミナミ
「艦載機と駆逐隊は、彗星獣攻撃。
 
 巡洋艦は工作艦隊につけ。」
 

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【彗星獣集団 脇 ≪アーク2号≫コクピット】
 
戦闘中の≪アーク2号≫。
小、中の彗星獣に、次々と、
命中弾を与えますが…
 
ナワテ
「隊長、アメリカ艦隊の一部が、
 大型彗星獣誘導で、突っ込んだらしいです。
 
 あ、あれだ。」
 
ユルガ
「まずいな。
 このままでは、やられかねんが…
 
 引く気は、なさそうだ。」
 
ゴウリ
「少しでも近づいて、助けたいですが…
 
 こう言う、大兵力同士の衝突、乱戦になっちゃ、
 我々も大した事は、出来ませんよ。」
 
ユルガ
「星人、円盤は見えんか?」
 
ナワテ
「今のところは。
 
 レーダーには、反応無いし。
 いないんじゃないですか?」
 

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【≪アーク2号≫ 銃座】
 
じっと、通信を聞いていたクロス。
 
スクリーンを、前方に合わせると、
その巨大彗星獣が、戦艦群に迫っています。
 
一番手前の戦艦に、のしかかろうとする彗星獣。
 
ウルトラホープを出すと、フラッシュ。
閃光と共に、ゾフィが現れ、
瞬時に赤い光球となって、飛び去ります。
 

 
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【彗星獣集団 手前】
 
戦艦と接触直前に、飛び込んで来た赤い光球が、
巨大彗星獣に、アッパーカットのように命中。
 
一度大きく、グラリと揺れると、
そのまま後方?に、後退します。
 
アカラ艦長
「なんだ? あれは?」
 
光球が次第に晴れると、ゾフィが現れます。
 

 

 
イサベリア艦長
「きょ、巨人!?
 
 もしや、これが…」
 
体勢を立て直すと、スパークショットを放つゾフィ。
そのまま斉射して行き、頭部?眼球?らしき、
飛び出た器官を、順につぶしていきます。
 
そのまま端をつかみ、力を込めると、
超巨大彗星獣に、ゆっくり投げ飛ばします。

 


 

 
アメリカ司令
「す…すごい…」
 
インド司令
「各艦、戦場から離脱するんだ。
 離れろ!」
 
ロシア司令
「全艦離脱!」
 

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【月沖 絶対防衛線 後方 工作艦隊】
 
レーダー員
「目標、合致。
 同軸線上で、一つになりました。
 
 味方艦も、退避完了を確認。」
 
工作艦隊司令
「今だ、撃て!」
 

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工作艦隊、各砲艦から放たれる、
インターソラー対粒砲。
 
やがて一本の、光の束になり、
巨大彗星獣、超巨大彗星獣に照射され、
目標が次第に、消滅して行きます。

 


 
【≪アーク2号≫ コクピット】
 
ゴウリ
「お…、や、やった!」
 
ユルガ
「味方艦は?」
 
ナワテ
「全艦、離脱しています。
 ポイントシグナルが、ほら。
 
 あ、
 中、小型の彗星獣が、
 徐々に、去って来ますね。」
 
ゴウリ
「さすがに雌雄は決したと、悟ったんだろ。」
 
ナワテ
「彗星に、戻れなかったら、
 置いてきぼりに、なっちゃいますからねえ。」
 

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【≪バルガード≫ ブリッジ】
 
ドリー
「な。
 何とかなったろ?」
 
小泉優香
「ならなかったら、どうしてたんです?」
 
ドリー
「その時は、その時だ。
 また、何とかするさ。
 
 よし、帰還だ。」
 
彼洋ゲン
「了解。」
 

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【つつじの原宇宙線研究所】
 
トヤマ(第3研究室・科学センター)
「彗星最後尾、火星圏を離脱。」
 
タグチ(第3研究室長・科学センター) 
「どうやら、終着らしいな。」
 
トヤマ(第3研究室・科学センター)
「長かったですねえ。」
 
タグチ(第3研究室長・科学センター) 
「まあ、我々はまだ良いよ。
 
 現場の人達は、大変だったろう。」
 
キタムラ(第3研究室・科学センター)
「確かに。」
 

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【御頼砂代子(おんらいさよこ) 私室】
 
明かりを消した、薄暗い部屋で、
カードをめくっている、御頼砂代子。
 
最後の1枚をめくると、顔から緊張が抜けます。
 
御頼砂代子
「終わった。
 
 良かった…
 
 私は何も、してないけど…」
 

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【UST作戦室】
 
去り行くレオリア彗星群を見て、やっと一息の一同。
 
フジハラ
「ようやく…危機は完全に去ったようだな。」
 
ナガサウラ
「現時点ではそうですが、IDM全体の、
 宇宙戦力が、大ダメージ状態です。
 
 再建するまでの間は、油断は出来ない。」
 
スズタニ
「まあ、
 この規模の事態が、起こらない限りは、
 そうそう大事も、無いと思うが…」
 
ミシマ
「逆に言えば、
 時には、この規模の事態が起こる。
 
 そしてその時には、これだけの戦力がいる。
 まだまだ軍備は、必要…と言う事なんだよな。
 俗人の我々としては。」
 
カジ
「結局…星人の関与は無かったのか?」
 
マキノハラ
「多分ね。
 確認出来んので、これは推測だが。
 
 おそらくは、超巨大彗星獣が見せていた、
 ある種の幻影、幻では無いかと思う。」
 
カジ
「彗星獣… 動物が、我々に?」
 
うなづくマキノハラ博士。
 
マキノハラ
「そう。
 
 動物と星人…人間がいれば、
 人間が動物を、使役していると思うだろう?
 
 そう言う人間側の常識を、どこかで知り、
 それを、逆手に取る能力を、
 身につけたのではないか?と。
 
 人間がいる、関与がある、と思わせ、
 注意・関心を、分散、他に向けさせる。
 
 自分に全力集中、させないために。」
 
カジ
「あくまでも、視覚的な幻。
 もしくは、
 知性体の脳に、反応するような方法でか?
 
 それでレーダーや、探査機器には、
 一切、反応が無かったのか。」
 
フジハラ
「今回の事態には、良い面もある。
 一応は世界が、一つになれた。
 
 争っている、場合では無いと言う、
 外敵あっての、結果ではあるが。」
 
マトバ
「ありがちな手法では、ありますが…
 
 それだけに確かに、効果はあるし、
 嘘では、無いんだよなあ。」
 
カジ
「ネガ要素を、拾ってたら、
 そりゃあ、キリがありません。
 
 今は無事を喜び、部下を労いたいと思います。」
 
ミシマ
「あーっ、何かこう…
 
 みんなで、もう、3日位、
 パーッと、温泉にでも繰り出して、
 のんびり垢を、落としたいねえ。」
 
マトバ
「アホか。
 空軍だけで、やってくれ。
 
 俺は、これで充分だ。」
 
ヒデコ隊員が、配って回る、
コーヒーに口をつける、マトバ参謀。
 
ミシマ
「天下分け目の、決戦に勝利だぞ。
 良い子ぶるなよォ。
 
 そりゃ、俺だって、
 冗談半分で、言ってんだけどさ。」
 
キタワカ
「半分は、本気だったんですね?」
 
軽口を、叩きながらも、
今はほっとした、一同でした。
 
【第225話・終わり】

  
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