第119話 『遥かな里の物語』

 
三角獣 デモルフォドン 

     

もし、ウルトラセブンの最終回のあと、
TVでゾフィが始まっていたら?の妄想ストーリーの第119話。

 

極東基地に、不思議な手紙が舞い込みます。

最初はいたずらかと思われましたが…!?

 
ミシマ(防衛空軍参謀・IDMF司令)

ユリコ(UST=防衛チーム)
ヒデコ(UST=防衛チーム)

リオ (Bチーム=情報技術班)
ユウ (Bチーム=情報技術班)

 

【UST=防衛チーム】
 
ユルガ(隊長)
ゴウリ
ナワテ
クロス
 
【IDM=地球防衛機構】
 

(Bチーム=情報技術班)
シズカ(班長)
ユウキ
ドノバ
アカイ
 
カジ(UST参謀)
マキノハラ(科学センター・所長) 
フジハラ(長官)
 
【その他・ゲスト】
 
二村保子(にむらやすこ 村の娘)

 

 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

   
昔々の その昔 
とある東北の 山中に
阿賀野の里と 呼ばれる
小さいけれど 美しい村がありました
 
今回は そんな村でのお話です
 

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【夜、極東基地 クロス私室】
 
夜、なにやらブツブツと、
独り言を、言っているクロス。
 
クロス
「…で、助けるんだぞ。
 いいな。」
 
と、その時、ノックの音が聞こえます。
 
何かを、ペンダントの中に入れながら、
返事をするクロス。
 
クロス
「はい、どうぞ。」
 
ユリコ
「こんばんはー。
 交代時間よ。」
 
クロス
「オーケー!
 ちょうど良かった、ユリコ隊員、これ!」
 
ユリコ
「なあに? ペンダント?」
 
クロス
「お守りだよ。
 ほら、明日から休暇と言う名の、特別作戦だろ?」
 
ユリコ
「大げさねえ。
 仕事と言っても、単なる調査よ。」
 
クロス
「それでもまあ、何が起こるかわからないからさ。
 
 万が一の時には、このペンダントに祈ってみて!
 中にお守りを、入れてみたから。」
 
ユリコ
「クロスさんがゲン担ぎするとは、知らなかったけど…
 うれしいわ、ありがとう。」
 

クロス

「阿賀野の里…か。」

 

時計を見ながら、ポツリとつぶやくと、
ユニフォームに着替えたクロスと、2人で出て行きます。
 

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【翌朝 UST作戦室】
 
カジ
「えー、かねてから話していたように、
 今日から3日間、ユリコ、ヒデコ両隊員と、
 B班、リオ、ユウ君が、休暇に入る。
 
 その間の、代理として、
 ファネットから、島沢春奈、
 小泉アキ、小泉優香の3名が、
 助っ人に、来てくれた。」
 
ナワテ
「いいなあ。
 女性4名で、旅行なんて。」
 
ユルガ
「実は全員では、5名でな。
 もう1人、男性がいる。」
 
ナワテ
「だだだだだ、誰ですその、
 不埒… いや、羨ましいのは!?」
 
ユリコ
「ナワテ隊員、旅行ったって、
 旅行にかこつけた、調査ですから。
 
 実質、仕事ですよ。」
 
ゴウリ
「そうは言っても、なんか、こう…
 
 作為を感じる、人選だよなあ?」
 
ヒデコ
「あら、うらやましいなら、ゴウリ隊員、
 次の休暇には、ご一緒してあげましょうか?」
 
ゴウリ
「いや…いい。
 
 チンクシャは、ちょっと、その…。」
 
ヒデコ
「なんですってえっ!!!!」
 
島沢春奈
「チームワーク良い組織で、
 うらやましいですね。」
 
小泉アキ
「あ、あははは。」
 
カジ
「お前達、くれぐれも、
 妙な面倒だけは、起こさんでくれよ。」
 

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【福島北西部 阿賀野の里 手前】
 
着陸する、大型戦闘輸送ヘリ≪ルインドルート≫。
ハッチが開くと、5人が降りて来ます。
 
ユリコ
「ここね。
 ここから先は、歩いて行かないとつけません。
 
 後は、手紙が頼りね。」
 
リオ
「両手両足に花で、良かったですね、参謀。」
 
ミシマ
「冗談じゃねぇよ。
 
 なんで俺がこんな、女子供のおもりを…」
 
ヒデコ
「仕事扱いになる、オトクな東北旅行って言ったら、
 喜んで乗って来たの、参謀じゃ無いですか?」 
 
ミシマ
「そりゃ、乗るわ!
 中身がこんなだとは、誰も思わん!」
 
リオ
「どうせ、おっさん同士で、
 申し訳程度に、調査して、
 後は飲めや歌えを、想像してたんでしょ?」
 
ミシマ
「してたよ!
 
 おっさん同士の方が、気楽なんだよ!
 俺以外みんな女とか、思うわけ無いだろ!」
 
ヒデコ
「空軍は男所帯だもんねえ。」
 
ユリコ
「とりあえずは、お仕事ですから!
 
 文句言っても、良いけど、
 やる事、やって下さいよ。」
 
ミシマ
「貧乏クジ、引いたなあ。
 行く前から、帰りてえよ。」
 
ヒデコ
「ああ、もう、しっかりして下さいよ!」
 

 
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最初は一通の、書簡からでした。
 
福島県、阿賀野の里、
桧瀬隋道(かいせずいどう)
二宝園(にほうえん)の、二村保子。
と言う、
番地さえない田舎から。
怪獣が出て、難儀しているとの事でした。
 
さっそく、出動しようとしましたが、
空軍からの報告では、その場所には村は無く、
ずっと昔に、廃村になったらしい、
痕跡だけしか、なかったのです。
 
最初は何かの間違いか、悪戯?
と、思っていましたが、
手紙はその後も2通、3通と続きます。
 
ところが、本格的に調査に乗り出し、
空と陸から、該当候補地区を、
何度探しても、村は存在せず、
見つける事は出来ません。
 
近隣の村に当たっても、心当たりは無く、
もちろん悪戯などした者も、いないと言います。
 
一方で、手紙をさらに調べると、
紙は、400年前後前の物とわかり、
その時代を調べると、それらしい村が、
確かに、あった事がわかり、
さらに怪獣も、いたらしい事がわかります。
 
どうやら村は、怪獣に荒らされ、
残った村人達は、村を捨てて逃げ、
各地に、散り散りになり、
どうも廃村になっていたらしいのです。
 
それがわかった時点では、
「昔の人の幽霊では無いか?」
と言う、
噂まで流れましたが、
陸軍が現地で、怪獣の物らしい、
爪等の痕跡を発見すると、風向きが変わります。
 
少なくとも怪獣は、いる可能性はあり、
すると誰かが、無くなった村を騙って、
助けを、求めているのではないか?
 
あるいは、再び村に戻った一部の有志が、
村再建の途中で、再び怪獣に、
悩まされているのではないか?
と、
一気に可能性が、広がってしまったのです。
 
しかしどうしても、通常の方法では、
村まで、辿り着く事はおろか、
村の存在さえ、確定出来ず、
微かな廃墟の、村の跡だけのため、
その事を、手紙の返信で伝えると…
 
次の手紙で、村への行き方が、
書かれていたので、その案内通りに、
徒歩~陸路で、村へ向かう事になったのです。
休暇の名目で、5人が。
 

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【山中の道】
 
ヒデコ
「この先のトンネルを、抜けると、
 三本杉があって、稲荷神社があり、
 村の入り口…とありますね?」
 
ユリコ
「ああ、隋道ね。」
 
リオ
「なんすか、それ?」
 
ユリコ
「トンネルの事よ。」
 
ミシマ
「これで無かったら、くたびれ儲けだが…」
 
リオ
「何も無い事が、わかれば、
 それはそれで、良いじゃ無いですか?
 
 悪戯目的は、ちょっとシャクですが。」
 
が、トンネルを抜けると、
そこには三本杉、稲荷神社があり、
道の先は、確かに小村へと続いていました。
 
リオ
「あっ… た…!?」
 
ミシマ
「信じられん。
 
 あれだけ探して、何もない場所に!?」
 
ユリコ
「と、とにかく、行ってみましょう。」
 

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【阿賀野の里】
 
村に入ってすぐに、村の娘~手紙の主である、
二村保子(にむらやすこ)に会えた5人は、
彼女から事情を聴きます。
 
するとやはり、手紙の内容は全部事実で、
山奥から怪獣が、次第に現れるようになり、
徐々に村が衰退して行っている事。
何とかして欲しい事を、訴えます。
 
二村保子
「見ての通りこの村は、山中の7合目辺り…
 
 中腹にある、いわゆる閉ざされた村なので、
 ふもとの町くらいしか、行き来がありません。
 
 何もなければ、のんびりと良い村なのですが、
 こう言う事が起これば、情報も限られていますし、
 村だけでの対処は、ほとんど出来ません。
 
 今は、わずかばかりの男達は、出稼ぎですし、
 後は女子供や、年寄りばかりで…」
 
ミシマ
「こっちの台所も、まあ…
 女子供が大半なのは、似たようなもんだが。」
 
ヒデコ、リオ
「ちょっと、参謀!」
 
それから二村保子は、稲荷神社にお参りし、
村とその周辺を簡単に案内、説明します。
 

 

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二村保子
「稲荷神社は、大きな神社を持たないこの村の、
 唯一の守り神で、拠り所です。
 
 今回も、この稲荷神社にお祈りしたところ、
 あなた達に助けを…と、お告げ下さいました。」
 
ミシマ
「お、お告げね…?」
 
リオ
「ちょっと調べりゃ、防衛機構くらい、
 わかりそうなもんなのに。
 
 それすらってくらい、田舎って事?」
 
二村保子
「私は、稲荷神社のお告げで来て下さった、
 あなた達の事を、信じます。
 
 どうか怪物を必ず倒すと、お誓い下さい。
 そうすればきっと、稲荷神社様も、
 村を守るために、お力を貸して下さいます。」
 
ヒデコ
「そんな事誓わなくても、毎度毎日やってるけど。
 
 まあ、それで、村の人が安心してくれるなら。」
 
ミシマ
「信じるんが、俺らじゃなくて、
 稲荷神社ってとこが、ちょっとアレだけど。」
 

 
その後、案内された村は、確かにこじんまりと、
小さな村と言う、印象を得ましたが、
何事も無ければ、のどかで風光明媚、
村人達も気さくで、居心地良さそうに思えました。
 
とりあえず公民館で、一服します。
村の自慢と言う、笹団子で歓迎されました。
 
ミシマ
「団子がうまいのは、良いんだが…
 
 出来れば、その…
 こっちは無いのか?」
 
ユリコ
「ちょっと参謀、作戦会議中に、
 一杯、引っ掛けないで下さいよ。」
  
リオ
「とは言え、何も無いですねえ。」
 
ヒデコ
「この自然いっぱいで、花も草も木も、
 山も川も鳥も動物も、何でもある村を、
 何もないと、考えるのは…」
 
リオ
「あちゃー。
 
 都会に、毒されてましたかね?
 いっけね☆」
 
ユリコ
「で、周囲の地形は?」
 
ミシマ
「それそれ。」
 
二村保子
「こちらが、村周辺の地図です。」
 
と、渡された図を見ると…
 

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村は山の中腹、ほぼ崖に面しており、
正面の道が、回り込んだ崖を超える、
大きな橋になって、隣の山中の道につながり、
裏道に当たる、細い村道が、
例のトンネルから、反対側へ抜けています。
 
ミシマ
「なるほど。
 一見して守りに良く、攻めにくい感じだな。
 
 怪獣サイズが、村に侵入しようとすると、
 正面の大橋を、通るしかないわけか。」
 
二村保子
「そうです。
 怪物も、橋は人工物で余り来たがらないのか、
 これまでは、村への侵入はありません。
 
 が、橋向こうの田畑は荒らされ、
 本道を通っての、行き来が出来なくなり、
 現状、村は孤立しています。
 
 怪物も徐々に、橋向こうに獲物が無くなり、
 橋にも、慣れて来つつあるようで、
 今はいつ橋を渡って、村に攻め込むか?
 村のみんなは、怯えて暮らしています。」
 
ユリコ
「わかったわ。
 
 怪獣の存在や、性質が確認出来たら、
 USTを呼んで、一気に退治しましょう。」
 
ヒデコ
「大した怪獣じゃ、無いでしょう。
 
 こっちは、怪獣退治の専門家です。
 我々が来たからには、任せて下さい。」
 
ミシマ
「話の様子、程度なら、
 うちの軽巡一隻で、カタがつくわ。」
 
二村保子
「ありがとうございます。
 そう言っていただけると…
 文字通り、百万の味方です。」
 
個人装備を、村の公民館に降ろし、
ユウを留守番に残して、4人は、
大橋を渡り、向かいの山中に、
怪獣探索に向かいます。
 

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【隣山】
 
ユリコ
「確かに、あちこち荒らされてるわね。」
 
リオ
「これは爪の痕でしょうね。
 
 分析しないと、断言は出来ないけど、
 さすがに人為の、デッチ上げは無いでしょうし。」
 
ヒデコ
「いるわ。
 鳴き声、聞こえる」
 
向こうまた、人の気配に引かれたのか、
怪獣が木々の間から、顔を出します。

 


 
ユリコ、ヒデコがリモートレーザー、
ミシマ参謀も、レーザー銃で応戦。
 
攻撃を受けた事が、無いせいか、
怪獣は驚いて、逃げ去りましたが、
ダメージはさして、与えて無いようでした。
 
ミシマ
「やっぱり、大した奴じゃ無さそうだが。
 
 携行装備オンリーじゃ、多少キツイかな。」
 
ユリコ
「存在確定だから、本部に連絡します。
 
 ≪アーク≫で一気に、片づけましょう。」
 
が…。
 
ユリコ
「連絡が… つかない。」
 
ヒデコ
「え、そんなまさか?
 
 もしもし!
 隊長!
 カジ参謀!
 
 …駄目だ。」
 
ミシマ
「しょうがねえなあ、
 装備が自慢のコマンド軍がよ。 
 
 おい本部。
 
 あれっ?
 こら、第4師団!
 
 オオキっ!
 何か言え!
 
 マジ…!?」
 
リオ
「何らかの影響で…
 この辺り一帯で、電波が遮断されている。
 
 のかな?」 
 
段々、真顔で青くなる4人。
 
ミシマ
「ちょ… ちょっと待て!
 
 それはお前、冗談じゃないぞ!?」
 

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【村の入り口】
 
トンネル前で、不安そうに見守る4人。
 
と、トンネルの中からミシマ参謀が、
両手で大きなバツを作りながら、駆けて来ます。
 
ミシマ
「だめ!
 
 向こう側に出て、通信するどころか、
 トンネルの向こうに行けない。
 
 自分でも、明らかにおかしいと思うが、
 どれだけ進んでも、出口に出ない。」
 
リオ
「じゃ、最初に一度、戻って来たのは?」
 
ミシマ
「戻ってねえよ!
 まっすぐ進んだのに、こっちに出ちまった。」
 
ユリコ
「どう言う…事かしら?」
 
ユウ
「ここに、閉じ込められて…
 
 通信も連絡も出来ない… の?」
 

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