第271話 『陰にいる者(後編)』  (Bパート)

 

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【メビウスの部屋】
 
一見、わけのわからない部屋でしたが、
天井が透けて、鏡になっているらしく、
全景が見えて、初めてわかりました。
 
迷路のような、通路状の部屋は、
そのほとんどが、メビウスのようにループし、
入口も出口も無い、無限回廊でしたが、
正解らしきルートは、渦巻になっていました。
その渦巻き状の部屋の、一室にいます。
 
クロス
「渦巻ルートでも、最後は中心で、
 行き止まりに、なってしまうが…
 
 他は全部、堂々巡りを繰り返すだけだな?」
 
クロスは少し考えますが、最後は何となく直感で、
渦巻状の部屋の、中心へと向かいます。
 
次々にドアを開け、渦巻貝殻の奥へ進むクロス。
あるドアを開けた時、貝殻人間の団体に出くわします。
 
貝殻人間A
「ここは完全に近いが、まだ完成した完全じゃない。」
 
貝殻人間B
「ここは渦巻だ。完全じゃない。」
 
貝殻人間C
「完全な完成は球だ。」
 
ブツブツ言いながら、通り過ぎる貝殻人間。
 
最奥、行き止まりの、中心の部屋に来ると、
何もない部屋の真ん中に、井戸がありました。
 
井戸の底に、降りて行くクロス。
 

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【壺の中~底】
 
井戸の底は、そのまま閉ざされた、
しかし、広い空間でした。
 
壺の内側~壁や天井は、
輝き流れる、砂で出来ていました。
それが地球の、絵になっています。
 
そしてそこかしこにある、回転ドアから、
出たり入ったりをしている、奇妙な生物。
その大半は、葬列でした。
 
一本角の、うさぎとライオンが、
意味不明な言葉で、交通整理?をしています。
 
手近の回転ドアを、いくつか確認し、
クロスは、とっさに、
花の絵のマークの、回転ドアに入ります。
 

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【顔の無い貴婦人の部屋】
 
そこは豪華な部屋でした。
見事なレースの毛皮やじゅうたんで、贅沢に飾られ、
中央、奥には、四本柱のベッドが置かれていました。
 
手前には化粧テーブルや食器棚、本棚があり、
どれも豪華で、優美な作りでした。
 
一瞬、場違いな場所に来た気がして、
立ち止まるクロスですが、奥のソファに、
後ろを向いた貴婦人がいるのを見て、声をかけます。
 
クロス
「あのう…」
 
貴婦人が振り向くと、顔がありませんでした。
顔の中央には、ぽっかり穴が開き、
良く見ると中には、宇宙が広がっています。
 
顔のない貴婦人は、黙ったまま(しゃべれない?)
部屋の一番、奥を指さします。
そこにはバルコニーが、ありました。
 
慎重に…しかし、逆らわずに言われたまま、
クロスは部屋を横切ると、バルコニーへ。
 
出たところのすぐそばに、大きな木が生え、
そこからロープが、垂れ下がっています。
 
ロープを伝って、降りるクロス。
 

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【月夜】

 
クロス
「参ったなあ。
 
 これ、正しいルートで進んでるのか?」
 
そこは荒涼とした、月夜の野原でした。
ところどころに、花札が立っています。
 
遠くには山脈と、大きなつり橋がありますが…
 
クロス
「とても、あそこまではいけない。」
 
花札を、一枚一枚確認すると、
十月の鹿に、何となく違和感を感じます。
 
しばらく、見つめていると、
やがて、耐えられなくなったように、
鹿が絵の向こう側に、逃げ出します。
 
クロス
「ここか?」
 
鹿が無くなり、紅葉だけが残った、
白い絵の中に入って行く、クロス。
 

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【ひょうたん】
 
そこは壁が、宇宙になっている、
大きな大きな、ひょうたんの中でした。
 
「宇宙はひょうたん。
 ひょうたんは無限。
 
 ここには全部ある。
 ここに来てしまったのか?」
 
話ながら、魚が空を飛んで行きました。
 
少し離れたところに、市松模様の台座があり、
その上にいくつも、扉が並んでいます。
 
クロス
「落ち着け。
 
 前は出ようとしたら、ループした。
 だが、逆には進め、
 現象の中心地、中心人物に星人はなっていた。
 
 都、全域をフィールドでカバーした場合、
 中心となる場所、人物のいる場所はどこだ?
 
 どこを目指して、どう進めば良い?」
 
今度は座り込んで、ゆっくり考えると、
後ろの扉から、ユルガ隊長が出て行きます。
 
クロス
「隊長?
 
 いや、まさか!?」
 
ユルガ
「クロス… なのか?」
 
お互い見比べるように、少し見ますが…
 
突然、殴り掛かるユルガ隊長。
が、クロスは体を避けながらかわすと、
さらに左手で受け流し、同時に、
右拳、左足で攻撃します。
それをまた、さらにかわすユルガ隊長。
もう一度拳を出し、避けられると一瞬離れ…
 
そこでやっと、表情が緩みます。
 
ユルガ
「外見だけで、妙な笑い声を出す偽者に、
 こう言う事が、出来るとは思えん。
 
 本物だな。」
 
クロス
「隊長も。」
 

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ユルガ
「なるほど。
 都心に向かって進んだわけか。
 
 私も同じだし、それはおそらく、
 みんなも同じと思う。」
 
クロス
「期待の気持ちも、ありますが、
 “ひょうたん”は、
 すべてや無限が、入っているとも聞きます。
 
 おそらく、ここから、
 目的地へ行けるとは、思うんですが…」
 
ユルガ
「一面、扉だらけで、
 どれが目的地か、わからんと言うわけか。
 
 確かに、どれかが正解とは思いたいが…。」
 
扉を一つ一つ、開け始めるユルガ隊長。
 
クロス
「た、隊長?」
 
ユルガ
「大丈夫だ。
 開けて覗くだけで、吸い込まれはしない。
 
 ここだ。」
 
クロス
「?」
 
見ると標識に「1000014 永田馬場」とあります。
 
ユルガ
「お前もここを探してたんだろ?
 永田町だよ。」
 
扉にマークをつけると、手招きして入って行くユルガ隊長。
2人が入ると、扉が閉まります。
 
入れ替わるように、別の扉が開くと、
入って来る、ゴウリ。
 
ゴウリ
「うおあっ!?
 
 なんじゃ、ここは!?」
 

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【国会議事堂】

 
無人の議事堂内を、足早に探っている2人。
 
クロス
「基地を抑えられた時は、作戦室に星人がいました。
 
 だからぼくも、東京を抑えられたなら、
 拠点はここじゃないかと、思ったんですが…」
 
本会議場に入る2人。
 
ユルガ
「ここも無人か。」
 
クロス
「思ったより、広く無いんですね?
 
 TVの国会中継だと、広く思えるんですが。」
 
ユルガ
「良い勉強…と言いたいが、
 今は、国会見学に来たんじゃない。」
 
クロス
「ここじゃないと、すると、
 後、バイタルパートは?」
 
ユルガ
「おそらく御休所だろうが…、

 

 クロス。」
 
クロス
「はい?」
 
ユルガ
「国会内は、バイタルパートとは言わんぞ。」
 

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【御休所】
 
プラトン立体を背に、椅子に座っている人物。
2人が入ると、立ち上がります。
 
両脇の数人が、フォンキルカル星人となり、
阻むように、前に立ちふさがり、
座っていた人物も、立ち上がると、
トーネルカーネ星人になります。

 


 

 
剣と棍を出し、フォンキルカル星人を一蹴する、

ユルガ隊長とクロス。
 
リモートレーザーで、立体を撃つも、
透過してしまうのを見て、
すかさず、物理弾に切り替え、
再び立体を撃つ、クロス。
 
今度は、ヒビが入ったのを見て、
レーザーをショットモードに、変えて撃つと、
命中して砕け散ります。
 
星人が何かすると、外に怪物が現れ、
星人は地下へと、逃げて行きます。

 


 

一瞬、判断に迷うクロスですが、
 
ユルガ
「星人は私が追う。
 みんなが来るまで、なんとか外を頼む。」
 
と、星人を追い出すユルガ隊長を見て、
うなづいて、外へ飛び出します。
 

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【議事堂 外】
 
真っ暗になっている、外に、
次々に3体の、怪物が現れます。
 
リモートレーザーを、数発撃ちますが、
すぐエネルギー切れに、なったのを見て、
ウルトラホープを、掲げるクロス。
 
閃光と共に、ゾフィが現れます。
3体の怪物と、向かい合うゾフィ。

 


 

 

 

 
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【議事堂地下】
 
円盤の前まで走って来ると、振り返る星人。
 
ユルガ
「これが、幾何計画か?
 
 地球を、わけのわからない、
 しっちゃかめっちゃかな、世界にする事が?
 
 地球を征服も、攻撃もしないと言ったが、
 これでは、同じではないか?
 
 滅茶苦茶にして、捨て去る事が目的か?」
 
トーネルカーネ星人
「それは違う。
 滅茶苦茶は一時的な、過程に過ぎない。
 
 我々の目的は、あくまで地球を、
 幾何学的に、整える事。
 
 生物・知性体は、環境の影響を受ける。
 乱れた場にいれば乱れ、整った場にいれば整う。
 
 地球が乱れ過ぎているから、そこに住む人間も乱れ、
 争いを起こし、さらに場が乱れ、それで精神も…と、
 悪循環を繰り返している。
 
 一度強制的にでも、大きく整えないと、
 自助努力や、対処療法では変わらない。
 
 争いは止まず、平和は来ない。」
 
ユルガ
「こんな状況では、余計混乱するだけだ。」
 
トーネルカーネ星人
「だからそれは、一時的な過程だ。
 
 部屋全体を、片付けようとするれば、
 最初はかえって、乱雑になる。
 
 大きな秩序を、求めるほど、
 一時的には、混沌になる。」
 

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【議事堂 外】
 
漆黒の背景の中、戦うゾフィと3体の怪物。

 


 

 
が、闇に溶けるように、変幻自在に戦う、

3体の怪物に、苦戦するゾフィ。
 
突然消え、分身し、残像を残して移動する怪物に、
拳は空を切り、スラッシュショットは当たりません。
 
次第に風が吹き、雨が降り、雷が鳴ります。
どこからか飛んで来る光線に、不意をつかれ、
倒れてしまうゾフィ。
 
出てきたゴウリが、その様子を見て、
吊光弾を、空に撃ちます。
 
一時的な明かりに、浮かび上がる怪獣。
 
ゴウリ、そしてユリコが、
それぞれ怪獣に、攻撃を仕掛けます。
 
少し怪獣側の注意が、散漫したのを見て、
体勢を立て直すゾフィ。
 

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ユルガ

「それをあなた方が、してくれると言うのか?
 
 幾何的に整えなおして、地球の平和を、
 無償でご親切に?」
 
トーネルカーネ星人
「当然だ。
 
 別に善意や奉仕ではない。
 幾何的に乱れていれば、整えたいのは自然の理だ。
 
 白い石の中に、一つだけ赤い石があれば気になる。
 うさぎの群れの中に、一匹だけ蛇がいれば気になる。
 
 輪の一か所だけが切れていれば、切れた箇所が気になる。
 街の中に一つだけ、上下逆の建物があれば気になる。
 
 それは当たり前の、自然の理だ。」
 
ユルガ
「あなた方から見れば、そうかも知れないが、
 我々は、輪や建物ではない。
 
 自分達に意思もあれば、行動も起こす。
 
 はっきり言って、余計なお世話だ。
 あくまで善意で、悪意で無いのはわかったが、
 地球の事は、ほおっておいていただきたい。」
 
トーネルカーネ星人
「駄目だ。
 君達自身では、整えられない。
 ほおっておいて整うなら、もうなっている。
 
 混沌は大き過ぎれば、逆に秩序を消す。」
 

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【議事堂 外】
 
ゾフィが右手を、宙に伸ばすと、
銀色の光の玉が、中天に向かいます。
 
空中で弾けると、光の帯が伸びながら、
ゆっくり回転して、そこから地上へ、
次々と、光の雨を降らせる
ウルトラ・ギャラクシー・スコール。
 
闇が払われると、怪獣3体の姿が現れ、
一気に攻勢が、逆転します。

 

 


 

 

 
前後に瞬時に蹴りを入れ、投げ飛ばし、

最後はマルチ・スラッシュ・ショット。
 
撃ち出した光刃が、無数に分かれて、
3体の怪獣を、下から切り刻みながら上昇。
空中でUターンすると、再び本体に命中。
それぞれ、大爆発を起こします。
 
ゴウリ
「あ、くそ、俺の獲物が無くなった…」
 

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ユルガ

「待ってくれ、
 それなら、我々のような巨大な混沌に関わると、
 あなた方も秩序を失い、混沌になるぞ。
 
 あなた方のほうが、逆に影響を受ける事になる。」
 
トーネルカーネ星人
「それは困る。
 
 本当の事を言うと、地球ほどの混沌は見た事が無い。」
 
ユルガ
「だろう?
 地球の混沌を克服出来るのは、地球自身の混沌だ。
 混沌を制すのは中からの混沌で、外からの秩序ではない。
 
 重ねて言う。
 行為はありがたいが、ほおっておいていただきたい。
 
 地球人の事は、地球人で片づける。」
 
トーネルカーネ星人
「…………
 
 わかった。
 君の言葉を尊重しよう。」
 
ユルガ
「感謝する。」
 
ゆっくりと去る、
トーネルカーネ星人を見送る、ユルガ隊長。
 

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【議事堂 外】

 
出て来たユルガ隊長と、再会する、
ゴウリ、ナワテ、ユリコ、クロス。
 
と、円盤が現れ、空に去り出します。
 
思わず構える、ゴウリですが、
静止させる、ユルガ隊長。
 
ユルガ
「良いんだ。
 もう話は済んだ。
 
 彼らは帰るだけだよ。」
 
通信が回復した現地は、作戦室からの連絡も受けます。
 
ユリコ
「はい、解決しました。
 
 はい。
 はい。
 詳しい話は、帰ってからまた…。」
 
ナワテ
「やれやれ。
 
 なんだったのかなあ。」
 
ユルガ
「どうもな、本音で、
 『歩いていたら、舗装された道に石が落ちていた。
 気になるし邪魔だから、脇へどかそう。』
 
 みたいな事、だったらしいよ。」
 
ゴウリ
「冗談じゃねぇよ。
 散々、人騒がせな事、しやがって。
 
 俺らは、石っコロかよ。」
 
不満そうに言い捨てるゴウリに、苦笑するクロス。
 
一方、ナワテは近くの警官、
警備員らに、詰め寄られていました。
 
ナワテ
「違うんです!
 ぼくらはUST、地球防衛機構の者で…」
 
警備員
「その、仰々しい武器は…」
 
ナワテ
「だから、そりゃ、武器は持ってますよ!」
  
ユリコ
「こりゃ今回は、後始末と報告書が大変ねえ。」
 
ため息をつき、銃を戻すユリコ隊員。
 
そして、地上の混沌には、関係無いと言うように、
円盤は徐々に、速度を上げると、
空の彼方に、消えて行きました。  

 
【第271話・終わり】

 
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