第270話 『幾何計画(前編)』  (Bパート)

  

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【神社】
 
神社の鳥居の前で、気が付きます。
 
高台の、こじんまりとした神社で、
風が吹き抜けて、木々の葉っぱが揺れます。
 
「こちらへ。
 神主様が、お待ちです。」
 
一本足の怪物と海坊主が頭を下げ、招きます。
 
いくつもの鳥居をくぐりながら、階段を上ります。
 
段々鳥居が、小さくなっていく中、
本殿に到着するクロス。
 
左右に並んだ人が、うやうやしく頭を下げると、
大きな扉が、観音開きで開きます。
 
そこは… 極東基地のすぐ外、
シークレットロードの、出口でした。
 
クロス
「同じところを、回っていて、
 外に出れて、いないのか?」
 
疑問に思いながらも、入って行くクロス。
  

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【石の河原】
 
そこは渓谷の上流のような、山間の河原でした。
 
見ると足元には、河原の石ではなく、
様々な色の立方体が、敷き詰められています。
 
何人もの子供が、その立方体を積み重ね、
重ねては崩し、崩れ、また重ねるを繰り返します。
 
眩しい?と思って見ると、空には大小、
いくつもの太陽が、浮かんでいて、
どうやら、立方体の積み重ねによって、
また現れたり移動したり、しているようでした。
 
その太陽を、持っているプリズム越しに眺めながら、
一人の男の子が、歩いてきます。
 
男の子
「あっ!?」
 
男の子はクロスに気が付くと、少し驚き、
反対方向に走って、逃げて行きます。
 
クロス
「待ってくれ。
 
 君…」
 
呼び止めようと、声を発すると、
しゃがんで、立方体を積んでいた子供も、
一斉に立ち上がって、蜘蛛の子を散らすように、
バラバラの方向に、逃げて行きます。
 
途端、
積んであった立方体が、あちこちで崩れ始め、
太陽がどんどん小さくなったり、沈んで行きます。
 
ついに真っ暗になる河原。
 

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【ひまわりの高原】
 
気が付くとそこは、ひまわりの群れが歌い踊る、
どこかの高原のようでした。
 
四方に四つの扉があり、そのずっと後ろ、
扉の向こうには、それぞれ四つの塔があります。
 
四つの塔は白、黒、赤、青で、細いながらも、
見える限り、雲の上まで伸びていました。
 
空を見ると、昼と夜とが縞になり、
どんどん動いて、空をめぐっています。

ひまわりがめいめい口々に、勝手に歌います。
 
「正解は一つだけ」
 
「正解は二つある」
 
「正解は一つもない」
 
「こっちが出口」
 
「出口は無いよ」
 
声に誘われるかのように、それぞれの扉の前で、
クロスは開けずに、観察するものの、
正解があるのかどうか?どれが正解か?
違いや区別は、わかりませんでした。
 
意を決して、一つの扉の取っ手に手をかけ、
少し開けて中を覗きます。
 
そこは… 極東基地のすぐ外、
シークレットロードの、出口でした。
 
クロス
「やはり、基地からまだ出れていないらしい。
 
 あるいは、何かの空間に飛ばされ、
 現実世界との接点が、基地内なのか?
 
 基地の外には出れないのか?」
 
少し考える、クロスですが、
とどまっても、仕方ないように思え、
扉を開けて、基地の外へ出ます。
 

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【アパートの一室】
 
そこは奇妙なアパートの一室でした。
 
天井にも床にも、ふすまがあり、
いくつも鏡が、かかっています。
 
ふすまの一つを開けると、同じような部屋があり、
さらに先に進んでも、やはり同じ部屋でした。
 
クロス
「閉じ込められた?」
 
が、鏡の中から声が聞こえます。
 
「まもなく、バスが到着します。
 
 お急ぎ下さい。」
 
鏡の中に部屋の中では無い光景と、矢印が浮かび、
試しにその、矢印の通りにすすむと…
 
バス停に出ます。
 

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【レトロなバス】
 
バスに乗っているクロス。
 
レトロなバスは、山間の砂利道を進みます。
 
見ると運転手もバスガイドも、人間ではなく、
制服を着た体は人間でも、顔はチェスの駒でした。
 
バスガイド
「次は半坡(はんは)
 半坡(はんは)でございます。」
 
バスガイド
「次は地峡(らもはら)
 地峡(らもはら)でございます。」
 
バスガイド
「次は契丹(きったん)
 契丹(きったん)でございます。」
 
バスガイド
「次は巴蜀(はしょく)
 巴蜀(はしょく)でございます。」
 
次々に聞き覚えの無い、バス停をアナウンスし、
バスは細く長い橋や、棒状の橋、市松模様の橋、
狭いトンネルを抜けながら、走って行きます。
 
やがて高い駅に着くと、
 
バスガイド
「終わりでございます。」
 
と告げられ、降ろされます。
 
クロス
「なぜ終点ではなく、終わりなんだろう?」
 
と思っていると、高い駅の一角のエレベーターで、
どんどん下へ下へ、降下して行きます。
 
徐々に速度の上がる、エレベーターは、
遥か高い場所から、一気に地面に降り、
さらに地下に潜って、真っ暗になります。
 

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【遊園地】
 
地下深くにずっと下降した…と思った先で、
ドアが開くと、そこは遊園地でした。
 
観覧車、メリーゴーランド、コーヒーカップ、
ゴーカート、ジェットコースターなどがあり、
にぎやかですが、少しレトロな感じでした。
 
クロス
「どうも、同じ場所を回っている…
 基地から出れていない、気がする。
 
 どうしたら、先へ進める?
 状況を、変えられるんだ?
 
 どうやっても、出れないのか?
 何か方法は…?」
 
何の気なしに、お化け屋敷に入るクロス。
 
考えながら、順路を通って行くと、
ボール突きをする、少女が、
障子の向こうに、影になって映ります。
 
クロス
「君は…」
 
少女
「中よ。」
 
クロス
「中?」
 
考えながら、さらに歩くクロスは、
出口の手前で、足を止めます。
 
クロス
「もしか…したら!?」
 
逆方向に進みだすクロス。
 
クロス
「ぼくは何とかして、基地の外へ…
 
 ここが、まだ基地の中と思い、
 プラトン立方の、事もあって、
 元凶は外に、あるような気がして、
 中から外へ、出ようとしていた。
 
 もし、そうじゃ無かったとしたら?」
 
お化け屋敷の、入り口から出ると、
外はパニックで、そこかしこに火の玉
~隕石が降り注ぎ、大惨事になっていました。
 
人魚の客が、右往左往しながらも、
声を掛け合って、一方向に避難します。
 
客A
「世界の終わりだ。
 世界の終わりに来てしまった。」
 
客B
「早く戻るんだ。
 逃げて戻らないと。」
 
客C
「あなた!
 早くこっちへ!」
 
客D
「そっちじゃないよ!
 こっちへ逃げるんだ!」
 
が、
みんなに声をかけられ、逃げる方向とは、
一人だけ、逆向きに、走っていくクロス。
 
最初に来た、らしき場所で、
エレベーターを見つけると、乗り込みます。
 
今度は空に向かって、上昇するエレベーター。
 

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【極東基地】
 
ドアが開くと、そこは極東基地内でした。
 
見慣れた通路を、小走りに駆け、
作戦室へと戻って行く、クロス。
 

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【UST作戦室】
 
ドアが開くと、フジハラ長官一人が立って、
こちらを見ると、声を掛けました。
 
フジハラ
「どうしたのだね?
 クロス隊員。
 
 エッエッエッ…」
 
聞き覚えのある笑い声に、クロスはすかさず、
リモートレーザーを、抜いて撃つと、
星人が正体を現します。
 
星人が光線を、放ちますが、
ウルトラホープを、構えたクロスは、
そのまま光線を跳ね返し、変身します。


 

 
等身大で構え、向き合うゾフィと星人。
  
と、
星人は、未知の空間を作り出し、
そこに飛び込んで行きますが、ゾフィも追いかけ、
続いてそのまま、空間に飛び込んで行きます。
 

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【極東基地内】
 
警報が鳴る、極東基地。
 
突然ドアから出る、ゴウリとユリコ。
 
ゴウリ
「ここは…!?」
 
ユリコ
「基地の中だわ。」
 
アナウンス
『怪獣出現!
 
 繰り返す、
 基地直上に怪獣出現。
 
 各軍は任意に迎撃を…』
 
ユリコ
「ゴウリ隊員!」
 
ゴウリ
「よっしゃ!」
 

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【未知の空間】
 
戦っている、星人とゾフィ。

 


 

 
ゾフィが全身を発光させると、空間の幕が消え、
周囲の色が、少し明るく変わります。
 
動揺するかのような星人。
 
すかさず組み付き、そのままサンダーバスターで、
スパークさせると、星人は煙を吹き倒れます。
 
起き上がったところに、サブ・グレイダー。
 
真っ二つになった星人は、消えて行きます。
 

 
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【極東基地 外】
 
暴れながらも、陸軍、空軍の攻撃を受けている、
怪物、ノーザンスタング。
 
そこに飛んで来る、≪アーク1号≫。
 
一方ナワテも、地上から特殊弾を撃つと、
一瞬、怪物は硬直します。
 
そこに≪アーク1号≫の、攻撃が命中すると、
大爆発し、残った下半身は崩れ落ちます。
 
ナワテ
「やったー!」
 

 
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【UST作戦室】
 
再会した全員。
 
ユルガ
「半ば…
 
 何がどうなって、何が起きていたのか?
 よくはわからんが?」
 
カジ
「ひとまず危機は去った…?
 
 と、考えて、良いのですかね?」
 
が、
沈痛な面持ちの、マキノハラ博士。
 
マキノハラ
「いや… 何とも言えん。
 
 本当に当面の危機は、一時去ったかも知れんが。
 
 おそらく、星人は健在だ。」
 
ゴウリ
「なぜです? 博士?」
 
マキノハラ
「星人の死体が、一度ここに降って来ているが…
 
 両断された星人には、脳に当たる部分が無かった。」
 
ゴウリ
「そ、それは、どう言う?」
 
マキノハラ
「フォンキルカル星人と言うのは、
 事実上、存在しない。
 
 もしくは、真の星人の、
 何らかの使役物や、傀儡の実行犯、
 空蝉としてのみ、存在している。」
 
シズカ
「私は星人の、最初の言葉が気になります。
 
 こちらは、代理・フォンキルカル星人。
 
 星人のうちの、代理なのか?
 代理の立場の、星人なのか?」
 
カジ
「どちらにせよ…
 
 黒幕はまだ、いると言う事か?」
 
『我々は地球を侵略したり、攻撃はしない。
 
 ただ地球を、幾何学的に、
 整えるに過ぎない。
 
 ただ、幾何学的に整える。
 エッエッエッエッ…』 
 
ヒデコ
「いるわ。
 どこだかはわからないけど。
 
 ここに…」
 
【第270話・終わり(続く)】

 
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