第286話 『友好使節団の訪問』  (Bパート)

 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆
  

 
【UST作戦室】
 
シズカ
「…と言うわけで。
 
 ≪エル≫で、地中を急襲。
 
 地上まで追い出したところを、攻撃し、
 出来れば池…日多林(にったばやし)西側の、
 原摩湖(はらまこ)に落とす作戦が、有効と思われます。」
 
ナワテ
「地底怪獣なのに、野戦が有効なのか?」
 
シズカ
「一体は不明ですが、一体は明らかに昼行型です。
 
 より以上に有効と思えるのが、池の活用ですが。」
 
ヒデコ
「こっちから仕掛けて、大丈夫なんですか?
 
 ただでさえ、この状態なのに。」
 
ゴウリ
「いや…どうせなら、こっちから行く方が、
 まだペースを、保てる気がする。」
 
ユリコ
「そうね。
 遅かれ早かれやるなら、先に動いた方が、
 主導権を取りやすいと思う。
 私も賛成。」
 
ナワテ
「あのう…
 いっそ星人に、お帰りいただくまで、
 待つと言うのは?」
 
ユルガ
「一応は考えたが、まだ3日ある。
 
 怪獣がいつ出るか、わからんのに、
 それだけの時間、遊んでいるのもな。」
 
カジ
「じゃあ、日中は様子を見て、
 何もなければ、夕方から作戦開始だ。」
 
ビヒブルミンカ星人A
「夜戦と池は… あまりお勧め出来ない。」
 
ビヒブルミンカ星人B
「私も。」
 
ビヒブルミンカ星人C
「私もお勧めは、出来ない。」
 
カジ
「なぜ…だね?」
 
ビヒブルミンカ星人A
「それは…」
 
ゴウリ
「なんなんだよ、
 来なくて良い時は、散々ついて来て、
 邪魔じゃ無いのなんのと、言っときながら。
 
 今度は、やめとけとか。」
 
ユウキ
「何か、理由があるなら、
 包み隠さず、お話し願いたいが?」
 
ビヒブルミンカ星人A
「いや…
 確たる物では、無いのだが。」
 
ヒデコ
「何かの超感覚とか、予知とかかしら?」
 
少し考える、カジ参謀でしたが。
 
カジ
「汲めるものなら、意向を汲みたいが、
 根拠不明で、ただやめとけ…は困る。
 
 作戦は決行しよう。」
 
ヒデコ
「じゃ、陸軍にも?」
 
カジ
「頼む。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
そして…

何事も無く日中が過ぎ、夕方になります。
 
【UST作戦室】
 
ヒデコ
「陸軍、配置についています。」 
 
カジ
「よし、出撃だ。」
 
ユルガ、ゴウリ、ナワテ、ユリコ、クロス
「了解!」
 
アカイ
「じゃ、俺も。」
 
シズカ
「しっかりな。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【≪アーク1号≫ コクピット】
 
ユルガ
「発進。」
 
ゴウリ
「発進!」
 
ビヒブルミンカ星人B
「やっぱり、行くのか…」
 
ナワテ
「黙ってて、くんないかなあ…」
 

 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【北香第2ダム】
 
ダム前面が開閉して排水した後、湖底部がスライド。
夕焼けの中を上がって来る、≪アーク1号≫。
 
エレベーターが所定位置で止まると、発進します。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【≪アーク3号≫ コクピット】
 
ユリコ
「各種機器、異常無し。
 
 ≪アーク3号≫、発進します。」
 
クロス
「了解、発進。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【多良岬の岩棚、三迫の入江】
 
岩棚が開いて、発進リフトがセットされ、
灯台に続く防波堤がスライドして、滑走路が現れます。
 
灯台がそのまま下がって、赤い光が青になると、
夕闇の中、飛び立ってゆく≪アーク3号≫。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 

 
【UST作戦室】
 
何となく落ち着かない、カジ参謀。
 
シズカ
「コーヒーでも、飲まれて下さい。」
 
カジ
「あ、ああ、そうだな。」
 
ドアが開くと入って来る、マキノハラ博士。
 
マキノハラ
「いや、何となく、落ち着かなくてな。」
 
シズカ
「気持ちはわかりますよ。」
 
ヒデコ
「星人が、全員そろって止めろとか。
 
 これまでには、無かったですからねえ。」
 
マキノハラ
「それなんだが…
 
 もしかして、もしかすると。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【日多林(にったばやし)】
 
着陸している≪アーク1号≫≪3号≫。
 
≪3号≫のハッチが開くと、≪エルグランザー≫が出て来ます。
 
クロス
「≪エル≫、クロスです。
 作戦開始します。」
 
ユルガ
『慎重にな』
 
ビヒブルミンカ星人F
「やっぱり行くのか…。」
 
クロス
「なんだよ、気になるなあ。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【日多林(にったばやし)西方】
 
丘から湖にかけて、展開している陸軍部隊。
 
伝令
「UST、作戦開始しました。」
 
シノバズ(第12旅団長・IDMA)
「了解。
 こちらは?」
 
伝令
「北側は、≪桜堀≫(さくらぼり)
 南側は≪塩浜≫(しおはま)を中心に、
 すでに電源車、探照灯、電ドラ、
 準備完了です。」
 
シノバズ(第12旅団長・IDMA)
「よし、後はタイミングだけだな。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【地中】
 
進む≪エルグランザー≫が、空洞に出ます。
センサー、探査装置のスイッチを入れると…
 
クロス
「いる。
 
 ちょうど、手前側に1体と…
 奥にもう1体。
 
 うまくやれば、一度に出せる。
 
 クロスです。
 目標2体発見、攻撃に移ります。」
 

 
爆砕砲を数発撃つと、方向転換、
進みだす≪エルグランザー≫。
 
怪獣の周りで、爆発が上がります。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【日多林(にったばやし) 地上】
 
ナワテ
「クロス隊員、やりました!
 
 1体ともう1体、地上に出て来ます。」
 
ユルガ
「よし、発進。
 
 目標を確認したら、攻撃だが、
 打ち合わせ通り、最初は西へ。
 
 湖へ追い込む。」
 
ゴウリ
「了解!」
 
ビヒブルミンカ星人C
「やはり、やめた方が良くは無いか?
 
 悪い事は言わない。
 一時、中止して。」
 
ナワテ
「ああ、もう、なんなの?
 理由があるなら言ってよ?
 
 でも、そうじゃないなら、
 黙ってて欲しいです。」
 
ビヒブルミンカ星人C
「理由は無いが…
 
 やはり、無理しない方が…」
 
ナワテ
「理由が無いなら、やめませんよ。
 黙ってて下さい。
 
 ええい、無心だ、無心。
 何もいないんだ!
 
 カーッ!」
 
ゴウリ
「うるせえぞ、ナワテ!」
 
浮上する、≪アーク1号≫。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
怪獣が2体、前後して地上に出て来ます。
そして後を追うように、≪エルグランザー≫。
 
【≪アーク3号≫ コクピット】
 
クロス
『まだ弾薬あるので、ぼくはこのまま≪エル≫で行きます。』
 
ユリコ
「了解。
 
 私は≪エストブリダー≫で出ます。
 夜は、扱いやすい。」
 
ビヒブルミンカ星人D
「本当に行くのか?
 止めた方が…」
 
ユリコ
「行くわよ、黙ってて。
 
 行きます。」
 
アカイ
「わかった。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
暴れ出す怪獣の手前、≪アーク3号≫から、
発進していくジェットヘリ、≪エストブリダー≫。
 
陸軍部隊の投光、砲撃も始まります。

 


 
まだ本調子では無いながらも、何とか踏ん張り、
徐々に、タイミングをつかんで攻撃、
怪獣を西側の湖へ、追い込んでいきます。
 
ビヒブルミンカ星人A
「湖は… 湖はやめた方が…」
 
ユルガ
「わからん?
 
 星人はなぜ、中止に固執する?
 湖に、何かあるのか?」
 
ビヒブルミンカ星人A
「ああ…
 
 やめて、やめてくれ…」
 
ユルガ
「どうした?
 
 何か苦しいのか?」
 
他、2人の星人の様子も、
徐々に、おかしくなっていく事で、
怪訝そうに、顔を見合わせる、
ユルガ隊長、ゴウリ、ナワテ。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
怪獣の火炎を避けるうち、尻尾に当てられ、
被弾する≪エルグランザー≫。
 
クロス
「ちょうど、弾も切れた。
 
 出て戦います。」
 
火器を持って、ハッチを開けるクロスですが。
 
ビヒブルミンカ星人F
「やめよう!
 こんなところで、戦ってはいけない!」
 
クロス
「こんなところ…?」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 

 
【UST作戦室】
 
ビヒブルミンカ星人E
「や、やめろ、やめてくれ。」
 
モニターを見ながら、明らかに様子のおかしい、
ヒデコ隊員についている、星人。
 
ヒデコ
「何?
 
 どう言う事?」
 
カジ
「作戦は、順調そうだが…」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
湖の水際を、エレキバズーカを持ってかけるクロス。
 
闇の中、探照灯が時折まぶしく照らし、
飛び散る岩塊が、水しぶきを上げます。
 
その中、果敢に接近すると、浅瀬から攻撃するクロスですが…
 
ビヒブルミンカ星人F
「もう、だめだ!」
 
突然、体から分離し、どこかへ飛び去る星人。
 
クロス
「え?
 
 は、はずれた!?
 
 …
 …
 
 あ、そうだ!」
 
慌てて、ウルトラホープを出して、フラッシュ。
閃光と共に、ゾフィが現れます。

 


 

 
手前の怪獣に、飛び掛かるゾフィ。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【UST作戦室】
 
ユルガ
『こちら≪アーク1≫ユルガです。
 今、突然、星人が、離れました。
 
 3人、全員のです。』
 
ユリコ
『ユリコです。
 
 私のも、離れました。
 飛び去って、行方不明です。』
 
ヒデコ
「あたしに、ついてたのも…
 
 どう言う事でしょう?」
 
マキノハラ
「誰か、星人の円盤を確認してくれ。
 戻って来て、無いかどうか?」
 
カジ
「確認させます。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 
【日多林(にったばやし) 原摩湖(はらまこ)】
 
怪獣と戦っているゾフィ。

 


 

 
火炎熱線を吐きかける、怪獣ですが、
巧みに側転で避け、最後はサイクロンバリアで、
火炎を巻き取り、火球にして投げ返します。
命中して爆発、後ずさる怪獣。
 
追い打ちをかけるように、駆け寄ると、
キック一発で、ひっくり返し、
起き上がったところを、首投げ。
 
怪獣が全力の、火炎熱線を出しますが、
両手を交差して、かわすと、
コピレーション・コメット。
 
らせん状に回転する、光弾が命中すると、
そのまま、大爆発を起こします。

 


 

 
一方の、四つ足怪獣も、
USTの攻撃で、徐々に追い詰められ、
最後、爆発して倒されました。
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*
 

 
【UST作戦室】
 
ユルガ
「恥ずかしかった… ですか?」
 
無言でうなずく、カジ参謀。
 
唖然とする、ユルガ隊長以下、
ゴウリ、ナワテ、ユリコ、ヒデコ、クロス。
 
マキノハラ
「どうも、その…
 
 あの星人は夜間の光や、水に濡れる事が、
 極端に、恥ずかしいらしい。
 
 それで、恥ずかしさに耐えられなくなり、
 友好使節の、任務を放棄、
 円盤に戻ってしまったと。」
 
ヒデコ
「あ、あ、あ、あ、あ、あンの野郎!
 
 こっちは着替えも、お風呂も、おトイレも、
 問答無用で、見られていて。
 
 やめてって、言っても、
 聞く耳、持たなかったくせに…
 
 夜の光や水に濡れるのが、恥ずかしいですってえ!?」
 
ユリコ
「お、落ち着いて、ヒデちゃん。」
 
ナワテ
「拍子抜けで、言葉も無いです。
 この数日間の苦労は、何だったんだ。」
 
ゴウリ
「何か、段々、腹立って来たけど、
 この怒りを、どこへぶつけたら…」
 
マキノハラ
「まあ、星人も悪気はなかったんだよ。
 何が恥ずかしいかは、人間でも人それぞれだ。
 
 結局、メンタリティが、違い過ぎただけで、
 別に何も、嘘はついて無かったわけだし。

 星人は純粋に友好に…
 
 って、
 何でわしが、弁解しとるんだ?」
 
ゴウリ
「悪気が無いのは、百も承知だが、
 その上であえて、ブン殴りてえ!」
 
ナワテ
「突き抜けて、空振りしますよ…。」
 

☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*

 


 
翌日
 
地球には、そこら中に水があり、
夜間も終始、照明はあると理解すると、
友好は、大切にしたいと言いつつ、
積極的な交流は、困難であると認め、
ビヒブルミンカ星人は、去って行きました。
 
去って行く円盤を、恨めし気に見上げるUST。
 
ゴウリ
「もう来んな!
 バカッタレ!」
 
ヒデコ
「同感!
 来なくて良いわよ!」
 
マキノハラ
「悪気も無ければ、友好的な星人だったんだがなあ…」
 
【第286話・終わり】

 
☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆*゚¨゚゚・*☆

にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ にほんブログ村  特撮ランキング