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サバンナとバレエと

ブラジルからの便り

子供の頃。。。
母は一緒にお風呂に入る度
私はスチュワーデスになるべきだと言った。
一緒にお風呂に入るのは
日常生活の中でとっても大切な出来事だったので
今でも鮮明に思い出すことができる。

寒い冬。
熱い湯船に漬かって美しい肌の母。。。
ご機嫌で優しい母。。。

いつか私の右手の小指が以上に短いと気がついた時
スチュワーデスから変わって
作家になった。

00さん(ある有名な作家)もね貴方のように小指が短いんだよ。。。もしかして大作家になるかも。。。。

。。。。

色々と難しい母で
実に長年否定していた人だけど
この頃懐かしく感じることを覚えた、

湯船に漬かって輝く肌の母。。。
沢山の夢を語ってくれた母。。。

。。。。。。

あの頃
二つの夢があった。
あまりにも大切な夢だから誰にも語らなかった。

一つはバレリーナになること。。。
踊って踊って踊り続けること。。。

もう一つは母親になること。。。
愛して愛して愛し続けること。

二つとも叶った。。。。





私は50からは第二の人生だと思う。
色々なこだわりがゆっくりとスルスルと落ちていく
指の間からすり抜けて落ちていく砂のように。。。


物事に対して
素直に反応できるようになった。
喜びや悲しみ
感謝や不満
欲求や愛を
ストレートに受け入れることが可能になった。


すると
今まで見えなかった人生の要素が姿を表し始めた。
私の心
人の心
生きていくという奇跡。。。
美しいものだけではない
弱さや争い、エゴや無慈悲さ
苦しみ、葛藤。。。
自分の中にも他人にも、社会にも
光も陰もはっきりと目に映るようになった。
それらがどのように溶け込んでいるのも
闇の中でも愛おしいさを見つけ出すことを覚えたし
光の中の陰も見える。

もちろん自分に対して嫌いなものもある
でもそれらにたいして
立ち往生するのは少なくなった
受け入れるか
変わるために努力する。
ただそれだけ。。。


。。。。。。。。。。。

4年前には
落ちていくものにとても未練があって
苦しんでいた。

欲求の数々を捨てるは
生きる事への気力を無くし
ただ老いていくことのように見えた。
そして
社会から弾き出される。
老いを重んじる社会ではない
若さや欲が
内面より外面が重んじられる社会だ。

出来るだけ老いを隠したい。
そんな馬鹿らしい気持ちに振り回された時期もあった。
馬鹿らしいのは百も承知してけれど
どうしてもコントロールできない衝動だった。
そのような事に悩むのも恥ずかしいので
何気ないふりをして。。。

今まで着ていたものが突然似合わなくなり
きばって若作りって感じも嫌で
目標にしたいイメージもなく。。。

それらの不満がたまり
死んだような表情になってしまった自分が嫌でたまらなかった。
ため息はきながら鏡を見つめることが多くなった。
小さなしわやシミを目の敵にして
高いクリームや美容法も試してみたこともあった。


まるで思春期に戻ったようだった。
もちろん
こだわりかたや歩み方は違っていたが
不安の中を通り抜けていく心境は
あの頃ととても似ていた。

でも良かったと思う。
全ての欲望は
それらを心から体験し
潜り込みこまなければならないから。



時がたち
あれほどしがみついていた
欲求の数々が自然と落ちていく。
そして
より深く
より純真な欲望に身をゆだねることが可能になっている。。。


出会い。
友。
踊り。
愛。
旅。
見知らぬ土地。

芝生を踏む裸足の感覚。
香り。
海の青さと潮風。
太陽。
自由。


これからの
限りない可能性を夢みる。
身体と精神が健全ならば。。。