サバンナとバレエと -15ページ目

サバンナとバレエと

ブラジルからの便り

学会で昔の学友と再会
一杯飲みながらの会話

「ねぇ、理想の海ってあるでしょう?」

へぇー。。。理想の海かー

海水の青さ?
砂の白さ?
波の美しさ?

東北部の
真っ白い砂丘がせり出した海岸に魅了されたり。。。

歩いても歩いても真っ白な砂浜。
いくら目を細めても
砂から反射される光は容赦なく瞳孔に入り込み
視界一杯真っ白に
そしてあの酔ったような視覚に
突然広がる超ブルーな海。
強烈な美しさ。。。


でも



私にとっては
もっとも美しい海はアトランチック森林が迫っている海岸。
潮とジャングルの匂いがする。
砂はライトベージュ。
海岸まで辿りつくまではジャングルをの中を通る。
昨夜のスコールでまだ濡れているランのやブロメリアの花。。。
猿やオウムや色とりどりの小鳥。。。
色彩の豊かさが好きだ。。。

理想の海とは多分サンパウロからエスピリトサントにかけての海岸。



そんな事は語っていたら

「いや、そんなことじゃないんだよ。
僕が言いたいのは 『理想の海』って歳をとるにつれて変わっていくって事だよ」

「私のは20代から変わってないけれど。。。」

「たとえばね、20代の僕にとって「理想な海」は無人海岸。
リュックを背負って15キ位歩いてやっとたどり着く海岸。。。
結婚して子供が生まれてからは穏やかな入り江を好んだな。。。
この頃はね、車で簡単に行ける所で冷たいビールが飲める海岸。。。
ようするにね、「理想の海」って歳をとるにつれて変わってくるんだよ」

「ふーん。。。」

すっかり考え込んでしまった。


私の中には
20代からそれほど変わったと感じない部分がある。

たしかに

あの頃に比べて酒の量は減ったし
早く寝るようになったし
ライブで朝まで楽しんで
5時間位寝たらまた平気なんてことは無くなった。
朝まで遊ぶと3日間位はズンビーになる。
でも
たしかに量は減ったが質は減ってないと
へんな確信をもっている。


昔の友に会うといつも聞かされる会話。

「昔は良かった」
「若い頃は良かった。」


私は
「若い頃」が現在より良かったとは決して思わない。

何故ならば

「若い頃」に出来たことは今でも出来るし

「若い頃」のように苦しむ事もなくなったし
「若い頃」に楽しんでいたことは
より純真に楽しめるようになった。。。。


昨日
ジムのマシンで走りながら
鏡に移る自分に見蕩れた。
なんて綺麗になっているのだろうと。。。(へっへー)

私の人生で一番綺麗なのは現在だと思う。

私の人生で一番賢いのは現在。

私の人生で一番幸せなのも現在。









そして


現在でも
私にとって「理想の海」は
15キロリュックを背負って歩きやっとたどり着く海岸だと思う。
もちろん一人で行くような度胸はない。
気の知れたグループと。。。

誰もいない海。
重いリュックを下し
汗だらけの服をライトベージュの砂に捨て
真っ裸になり
汗とほこりと
背負っている重荷を全てを洗い流す快感に
ゆだねることが出来る海水。

そして
泳ぎ疲れたら
砂浜で焚き火をし
リュックの中に運んで来たピンガを飲む。
遠い海岸だけど背中にギターを運んできた誰かがいつもいる。
パンデイロも。。。。
ジャングルが背後に迫る小さな海岸は
酔った歌声、リズムをとる拍手、そしてさざ波の音で満たされる。
そしてそれらの音は全て
焚き火の火の粉とともに空へ舞い上がる。


疲れきって
一体何時寝ついたか分からない。
ただ
目覚めた時、
頬についた砂を払いながら目に入るのは
ジャングルの音に満たされた朝日。。。

そっと立ち上がり
静かにオレンジ色の海に入って行く。。。




54歳の今でも「理想の海」は変わっていない。。。




そろそろ
クリスマスデコレーション始めましょうか。。。




前から仕舞ってあった
切れた電球。
中身を取り出すし
ドライフラワーと入れるとほら

可愛いでしょう?

ラベンダーも入れて。。。

これはキラキラなスパンコールを入れたよ。


ツリー、まだ寂しいな。
もっと作らなきゃ。。。





これはね
この前、リオへ行った時
道中のバスステーションで見つけた。

カソリックの白い鳩は聖人達のシンボル。
今回の父の病気を考えて
家族を守って下さいと壁に掛けた。





窓には薄紙で作った雪の結晶貼ってみた。


リース。
この小さいのしかないから
大きいのを作りたいなー



前に編んだクロッシェドイリーも結晶に似てる。
糊付して吊るしてみた。




それから




毎年飾り物1つづつ買うことにしている。
これは去年ゲット。


今年は

可愛いよね。



クリスマスまで一ヶ月。
七面鳥も探さなきゃ。。。





父の二回目の抗がん剤治療。
ポートを埋め込んでいるので
ポンプに抗がん剤を入れて
その後三日間自宅で自宅療養する。

一応副作用を予防する点滴で2時間程病院で過ごす。
ブラジリア大学病院のガンセンターは
新しい立てられたばかりで
気持ちのよい所だ。

黄色からクリーム色のグラデーションに塗られた
小綺麗な建物。
待ち合い室の人達も穏やかな感じ。
付き添いが半分でも
半分はガン治療を受けている人達のはずなのに。。。

もちろん身体の具合が悪そうな人は見かける
だけど
悲嘆にくれている人。
黒いオーラが
頭の上に雨雲のように浮かんでいる人なんて一人もいない。


朝日が入る抗がん治療室は
20位のチェアが備え付けられている。
壁にはテレビ。朝のニュース放送。
この前の治療の際と違って
デッカイクリスマスツリーが飾れられていた。
それからチェアの横にある酸素吸入器には
金色のスライプが入った赤いリボンが取り付けられている。
髪を失った女性達は
ちょっと洒落たカラフルなクロッシェの帽子をかぶっている。


父の後ろのチェアには
一回目にはいなかった女性が座った。
私位の歳。
鎖骨の上のポートが埋め込まれる場所は
テープで一杯だったから
たしか手術後、まだ抜糸してないのだろう。
それなら一回目の抗がん治療か?

一緒にいる男性はご主人だろうか。
彼女の手を握ってヒソヒソ慰めている。
時々枕を直したりシーツを掛け直したり。。。

元気な父に比べて肌がどす黒い。
大変だろうなーと思って見ていたら
突然目が会った。
ニッコリと笑顔を返した。
生気が無かった顔が
突然、生き生きと蘇った。


看護婦が鼻歌で点滴の用意をしていた。
彼女は突然あの表情を取り戻し
看護婦に言った。
「ああ、その曲マリア ベターニャの大好きな曲」
「私も大好き。まるで私のストーリーが語られているようで」と
看護婦。。。
「ああ、あの曲も好き、知ってる?」
澄んだ声で歌いだす。
看護婦もご主人も一緒に。。。
3人楽しそうに目を見つめ合って歌う。


どす黒い顔色はもう目に入らなくなった。
無邪気に笑いながら歌う表情はとても綺麗で
健康な頃には
いつもあのように生き生きとしていたのだろうと思った。

あのご主人には
今でもあの面影を見出す事が出来るのだろう。



ガン病棟と言えば
ソルジェニーツィンを思い出す。
ガンという病気について何も知らない頃読んだ小説
あれから暗い重い偏見をもっていた。

学ぶことが多いこの頃だ。