今日は昨日の続きです。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
6月頃に奇跡が起きた。
長女の成績は急に良くなり、予備試験でも1位、2位競うほどになった。
「ママェ、A校の試験も受けてみるね。」
A校は一流の予備校で月謝も長女が通っている予備校の二倍もした。
毎年、他の予備校に通っている成績の良い生徒を集めるための、月謝の割引き制度があった。
結果は50%の割引きと出た。
50%だったら実際に払っている月謝と変わりがなかったが、いい成績だったと喜んだ。
しかしとんでもない事が起きた。
二学期に入り、夫が教えていた4つの大学の中の2つから解雇されたのだ。
ただでさえも困難だった生活がまったく不可能になった。
どうしようと途方にくれた。
まず手始めに子供達の月謝が払えなくなった。
長女の予備校と次女の私立小学校。あの頃はちょっとした事情があって、次女も私立に通っていた。
周りの人達は皆、主人も親戚も含めて、この新しい状況に応じた処置をするべきだと言った。
つまり長女に予備校をやめさせ、次女を州立小学校へ転校させる。
長女がどれだけ必死になって勉強しているのかよく知っているのは私だけだった。
予備校を辞めなさいなんて、死んでも言えないと思った。
とにかく学校と話し合ってみようと思った。
状況を説明したら何とかなるかもしれない。
恥ずかしい気持ちを抑え、出向いた。
次女の権利は法律で確保されていた。
義務教育の場合は月謝が払えなくなっても通い続ける権利がある。
すみませんと頭をさげ謝った。
長女の予備校はもちろんそんな訳にはいかない。
でも (私は思った。)予備校にとっても受験に成功する確率の高い生徒は大切なのではないか。
しかし予備校のほうでは月謝の割引きを拒否した。
一銭たりとも引けませんと高飛車に断られた。
後で契約書を読むと初めて分かった。
8月以降の放棄の場合には三ヵ月分の月謝に値する罰金を払うことになっていた。
私は長女に言った。
「続けるんだよ、月謝は後で必ず払うから。」
「でも恥ずかしいよ。」
「続けても,やめても結局払う事になるんだよ。あなたの将来の問題なんだから、
恥ずかしいなんて考えないで通いなさい。」
「でも月謝を払わなかったらテキスト貰えないよ。」
「友達のテキスト借りてコピーしなさい。」
「そんなことしたら皆、私が月謝を払ってないこと知れてしまうよ。」
「あなたの人生なんだよ、よく考えなさい、何が大切か。」
長女は通い続けた。
毎朝、涙ぐみながら家を出て行く娘を見て、本当にすまないと思った。
こんな事がいつまで続くのだろうと。
そして八月のある日、夫が家へ一枚の紙を持って帰ってきた。
メールをプリントアウトしたものだった。
おめでとうございます。
アマゾン研究開発プログラムにて貴方のプロジェクトが選ばれた事をお知らせします。
そして推薦された研究者のリストには私と夫の名前が入っていた。
選ばれた。
二人とも。
読みながら手が震えた。
キッチンで家族4人、抱き合って泣いた。
泣き笑いしながら、これから変わるんだと予感した。
もう下り坂は終わったのだろう。
もう一番低い所に着いたんだ。
これからは上り坂だ。
示唆しぶりに未来が明るく見えた。
つづく
