【紫式部日記】44・45番歌おもひたえせぬと、なき人のいひけることを思ひいでたるなり
ゑに、もののけつきたる女のみにくきかたかきたるうしろに、
おにになりたるもとのめを、こぼふしのしばりたるかたかきて、
をとこはきやうよみて、もののけせめたるところを見て
なき人にかごとはかけてわづらふもおのがこころのおににやはあらぬ
返し
ことわりやきみがこころのやみなればおにのかげとはしるくみゆらむ
訳:(「私のあなたへの思いは、死後も絶えることはありません」と
亡くなった方がおっしゃったことを思い出しました。
ものの絵に、物の怪がついた女の醜い姿を描いた後ろに
鬼になった元の妻を、小法師が金縛りにしている所を描いて、
男は経を読んで、物の怪になった妻を責めている絵があったのでそれを見て)
(思いは死後も絶えることはない、という観念を皆持っているから)
死んだ人が生者を恨むのだとして「困ったものだ」などと言うけれど
恨まれるような人の、その人自身の心の闇が、亡き人の姿を借りて
鬼となって現れるのではないでしょうか。
(返し)
全くもってその通りですね。恨まれる男の心が闇のように
暗いものであるから、鬼の姿もはっきりとした形をとって
現れるのでしょう。
(暗いからはっきりするとは不思議なものですが)
【七三段】 しのびたる所にありては~