メモをしておくことにしているのだが
最近、そのメモをなくすことが多い…。
卒論の時のメモ、修論の時のメモなど
出てくればいいことが書いてありそうなのに
いつも行方不明に。
いっそネット上に置いておいた方が
なくならないかもしれない、と思い
ここにメモを残すことにする。
須磨御前にいと人少なにて、うち休みわたれるに、
一人目をさまして、枕をそばだてて四方のあらしを聞きたまふに、
波ただここもとにたち来るここちして、涙落つともおぼえぬに、
枕浮くばかりになりにけり。
琴を少しかき鳴らしたまへるが、われながらいとすごう聞こゆれば、
弾きさしたまひて、
恋ひわびてなく音にまがふ浦波は思ふかたより風や吹くらむ
<枕を欹てて嵐を聞く。枕浮くばかり。琴を鳴らす>
末摘花橘の木のうづもれたる、御随身召して払はせたまふ。
うらやみ顔に、松の木のおのれ起きかへりて、
さとこぼるる雪も、名にたつ末のと見ゆるなどを、
いと深からずとも、なだらかなるほどに、
あひしらはむ人もがなと見たまふ。
<うらやみ顔の松。自ら起き返った松が払う雪が
末の松山を越すという浪のように見える。雅有?>
夕顔切り掛けだつものに、いと青やかなる葛のここちよげに
はひかかれるに、白き花ぞ、おのれひとり笑みの眉ひらけたる。
「遠方人にもの申す」と、ひとりごちたまふを、御随身ついゐて、
「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申しはべる。
花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ咲きはべりける」と申す。
<青々とした葛が心地よげに這いかかっている。その葛には
白い花が咲いている。引歌
「遠方人にもの申すそこに咲けるは何の花ぞも」
(古今集歌。花の名を問うが遊女を連想させる)
花の名は人めく>
総角この常不軽、そのわたりの里々、京までありきけるを、
暁のあらしにわびて、阿闍梨のさぶらふあたりを尋ねて、
中門のもとにゐて、いと尊くつく。
回向の末つかたの心ばへいとあはれなり。
客人もこなたにすすみたる御心にて、あはれ忍ばれたまはず。
中の宮、せちにおぼつかなくて、奥のかたなる几帳のうしろに寄りたまへる
けはひを聞きたまひて、あざやかにゐなほりたまひて、
「不軽声はいかが聞かせたまひつらむ。
おもおもしき道には行はぬことなれど、尊くこそはべりけれ」とて、
霜さゆる汀の千鳥うちわびてなく音悲しき朝ぼらけかな
<常不軽の供養。僧たちは暁の嵐のために八の宮邸の門で
額ずく。常不軽の声を千鳥に擬えて、薫が歌を詠む>
若菜今朝は、例のやうに大殿籠り起きさせたまひて、宮の御かたに
御文たてまつれたまふ。ことに恥づかしげもなき御さまなれど、
御筆などひきつくろひて、白き紙に、
中道を隔つるほどはなけれども心乱るる今朝のあは雪
梅につけたまへり。人召して、
「西の渡殿わたどのよりたてまつらせよ」とのたまふ。
やがて見いだして、端近くおはします。白き御衣ぞどもを
着たまひて、花をまさぐりたまひつつ、友待つ雪のほのかに
残れる上に、うち散りそふ空をながめたまへり。
鶯うぐひすの若やかに、近き紅梅の末にうち鳴きたるを、
「袖こそ匂へ」と花をひき隠して、御簾おしあげて
ながめたまへるさま、ゆめにもかかる人の親にて
おもき位と見えたまはず、若うなまめかしき御さまなり。
<女三宮に手紙。白い御衣を重ね着して、消え残る雪に
重ねて雪が降るのを眺めている。 文をつけた残りの枝をいじって
返事を待ちつつ、古今集歌を口ずさみ、簾を押し上げる>
夕霧九月十余日、野山のけしきは、深く見知らぬ人だに
ただにやはおぼゆる。山風にたへぬ木々の梢も、
峰の葛葉も心あわたたしうあらそひ散るまぎれに、
尊き読経の声かすかに、念仏などの声ばかりして、
人のけはひいと少なう、木枯らしの吹きはらひたるに、
鹿はただ籬のもとにたたずみつつ、山田の引板にも驚かず、
色濃き稲どものなかにまじりてうち鳴くもうれへ顔なり。
滝の声は、いとどもの思ふ人を驚かし顔に耳かしがましう
とどろき響く。草むらの虫のみぞ、よりどころなげに鳴き弱りて、
枯れたる草の下より、竜胆のわれ一人のみ心長うはひいでて
露けく見ゆるなど、みな例のころのことなれど、
をりから所からにや、いとたへがたきほどのもの悲しさなり。
<木々の梢と峰の葛葉が争い散り乱れるところに
読経の声が響く。木枯らしが吹き払う中、鹿はただ
籬の下にたたずんで、物音にも驚かず、愁え顔に鳴く。
音羽の滝の音が轟く中、虫だけは鳴き弱っていく。
枯れた草の下からリンドウが這い出て露を受けている>
桐壺かうやうのをりは、御遊びなどせさせたまひしに、
心ことなるものの音をかき鳴らし、はかなく聞こえいづることのはも、
人よりはことなりしけはひ容貌の、面影につとそひておぼさるるにも、
闇のうつつにはなほ劣りけり。
命婦かしこにまで着きて、門ひき入るるより、けはひあはれなり。
やもめ住みなれど、人一人の御かしづきに、とかくつくろひたてて、
めやすきほどにて過ぐしたまひつる、闇にくれて臥ししづみたまへるほどに、
草も高くなり、野分にいとど荒れたるここちして、
月影ばかりぞ、八重葎にもさはらずさし入りたる。
<桐壺帝には、和歌管弦の気配より、故更衣の気配が身近に感じられる。
しかしその気配も、闇の中での逢瀬ほどではない。故更衣の母君は
子を失った心の闇に囚われてしまって、八重葎に月の光だけが射す>
いちや
タコデリオ