阿武隈(から避難中)裏日記より転載
テレビ番組のひどい間違いについては、疲れるのでもうやめようと思っていましたが、今日また、看過できない番組を観てしまいましたので、やはりこれだけは書いておきます。(最後にしたいものです。ほとほと疲れてきました)
この番組では一見分かりやすい図をいくつも出して説明していましたが、問題点を列挙します。
原子力発電はCO2排出が少ないので地球温暖化防止に役立つ⇒間違い
原子力発電は放射性物質を扱うので危険である⇒正しい
原子力発電は火力発電に比べてコストが安い⇒間違い
原子力発電は燃料の再利用が可能なので資源小国の日本に向いている⇒間違い
いずれも今までさんざん指摘してきたことなので、今さら解説したくもないのですが、最低限度説明しておきます。
1)CO2と温暖化詐欺ビジネスについては、もはや世界のインテリは真剣に語ることさえ馬鹿馬鹿しいというスタンスの人が多勢を占めていると思います。いちばんの餌食になっている日本の中で、なぜこんな国難の時期にまでこの詐欺ビジネスのお先棒担ぎをしているのか、情けなくなります。
多分、本気で信じている人が多いからでしょう。政治家にもメディア関係者にも。
中期的に見て今まで温暖化傾向にあったことは事実ですが、この程度の温暖化で地球が破滅することはないし(むしろ寒冷化したら作物がとれなくなるので大変なこと)、CO2が発生するから温暖化したというのも間違い。前提が間違いなので、「CO2を出さないので~」を論じること自体が無意味。CO2などより有害物質による大気汚染やエアロゾル微粒子による気候変動のほうがはるかに大きな問題です。そもそもCO2というのは作物が育つために必要なものです。
2)について敢えて書くなら、私はむしろ今回のことで、事故現場から離れた土地で暮らす人たちが「あんなにひどいことになっても放射能被害は大したことがなかった。世界が破滅することも日本が終わることもなかった。ああ、この程度だったんだ」と高をくくるのではないかと不安です。極論や無関心は、どんな場合でも危険。
3)原発のコスト計算は廃炉処理や廃棄物処理のコスト、あるいはウラン鉱採掘から核燃料に加工するまでのコストなどを除外しています。また、今目の前で起きている事故の後始末や、日本が受けたダメージを金額にしたら途方もない金額になることは、誰が考えても分かること。
4)これはとんでもない間違い。
使用済み核燃料の再処理というのは、もともと、核兵器に使う高純度のプルトニウムを入手したいがための方便という性格があります。取りだしたプルトニウムをそのまま燃料として使おうとするのが高速増殖炉ですが、これは世界が見放した技術で、危険すぎて(かつそれに引き合う経済性もないために)事実上断念されたアイデア。未来に渡って実現されないでしょう。
そこで困り果てて、すでに再処理して取りだしてしまった余剰プルトニウムを普通の軽水炉で燃やすということを考え出したわけですが、これをやったところで、最初のウラン燃料⇒再処理(大変なコストがかかる)でプルトニウムを抽出の際に残った滓はそのままです。プルトニウムをプルサーマルで燃やしても、その後また使用済み燃料という核廃棄物ができ、今度ははさらに濃度の高い放射性物質が生成されます。危険も増しますし、まったくコストに合わないことになります。
つまり、再処理すればするほどゴミの量は増え、放射性物質も増え、コストもかかるのです。その先、残った核廃棄物をどう保管していくのかという技術はまったく白紙であり、エネルギー資源の枯渇する未来に生きる人たちにとんでもない負の遺産を押しつける「食い逃げ」なのです。レストランで、たらふく食った後に流れなくなっている店のトイレにウンコを残して、料理の代金も踏み倒して逃げるようなものです。
テレビ番組のひどい間違いについては、疲れるのでもうやめようと思っていましたが、今日また、看過できない番組を観てしまいましたので、やはりこれだけは書いておきます。(最後にしたいものです。ほとほと疲れてきました)
この番組では一見分かりやすい図をいくつも出して説明していましたが、問題点を列挙します。
原子力発電はCO2排出が少ないので地球温暖化防止に役立つ⇒間違い
原子力発電は放射性物質を扱うので危険である⇒正しい
原子力発電は火力発電に比べてコストが安い⇒間違い
原子力発電は燃料の再利用が可能なので資源小国の日本に向いている⇒間違い
いずれも今までさんざん指摘してきたことなので、今さら解説したくもないのですが、最低限度説明しておきます。
1)CO2と温暖化詐欺ビジネスについては、もはや世界のインテリは真剣に語ることさえ馬鹿馬鹿しいというスタンスの人が多勢を占めていると思います。いちばんの餌食になっている日本の中で、なぜこんな国難の時期にまでこの詐欺ビジネスのお先棒担ぎをしているのか、情けなくなります。
多分、本気で信じている人が多いからでしょう。政治家にもメディア関係者にも。
中期的に見て今まで温暖化傾向にあったことは事実ですが、この程度の温暖化で地球が破滅することはないし(むしろ寒冷化したら作物がとれなくなるので大変なこと)、CO2が発生するから温暖化したというのも間違い。前提が間違いなので、「CO2を出さないので~」を論じること自体が無意味。CO2などより有害物質による大気汚染やエアロゾル微粒子による気候変動のほうがはるかに大きな問題です。そもそもCO2というのは作物が育つために必要なものです。
2)について敢えて書くなら、私はむしろ今回のことで、事故現場から離れた土地で暮らす人たちが「あんなにひどいことになっても放射能被害は大したことがなかった。世界が破滅することも日本が終わることもなかった。ああ、この程度だったんだ」と高をくくるのではないかと不安です。極論や無関心は、どんな場合でも危険。
3)原発のコスト計算は廃炉処理や廃棄物処理のコスト、あるいはウラン鉱採掘から核燃料に加工するまでのコストなどを除外しています。また、今目の前で起きている事故の後始末や、日本が受けたダメージを金額にしたら途方もない金額になることは、誰が考えても分かること。
4)これはとんでもない間違い。
使用済み核燃料の再処理というのは、もともと、核兵器に使う高純度のプルトニウムを入手したいがための方便という性格があります。取りだしたプルトニウムをそのまま燃料として使おうとするのが高速増殖炉ですが、これは世界が見放した技術で、危険すぎて(かつそれに引き合う経済性もないために)事実上断念されたアイデア。未来に渡って実現されないでしょう。
そこで困り果てて、すでに再処理して取りだしてしまった余剰プルトニウムを普通の軽水炉で燃やすということを考え出したわけですが、これをやったところで、最初のウラン燃料⇒再処理(大変なコストがかかる)でプルトニウムを抽出の際に残った滓はそのままです。プルトニウムをプルサーマルで燃やしても、その後また使用済み燃料という核廃棄物ができ、今度ははさらに濃度の高い放射性物質が生成されます。危険も増しますし、まったくコストに合わないことになります。
つまり、再処理すればするほどゴミの量は増え、放射性物質も増え、コストもかかるのです。その先、残った核廃棄物をどう保管していくのかという技術はまったく白紙であり、エネルギー資源の枯渇する未来に生きる人たちにとんでもない負の遺産を押しつける「食い逃げ」なのです。レストランで、たらふく食った後に流れなくなっている店のトイレにウンコを残して、料理の代金も踏み倒して逃げるようなものです。