ふと気がつくと

自分は幹線道路沿いの歩道にいた。

交差点が目の前にあり、救急車と警察と野次馬がちらほら。




『ビビッときたら書くブログ』 by nippy




結構大きめの事故だったらしく、かなり離れたところにぐちゃぐちゃになった自転車を見つけた。

やじうまに聴き耳を立てると、どうやら車側の信号無視が原因らしい。

運転手らしき人が真っ青な顔して立ちすくんでいて、警察が事情聴取中だ。


引かれた男性が丁度救急車に運び込まれようとしている。

かなり重症のように見えるが、まだ命はあるようだ。


中肉中背、背は自分と同じくらい、

年齢も服も・・・自分と同じ・・・


というか良く見たら自分だった!!?






自分は冷静になって考えた。


自分はここに居て、あそこにも自分・・・


あ、そうか。自分が引かれて、自分がここにも居るということは。。

幽霊なんだ。

そう思うと、引かれる直前の記憶が少し戻った。


青信号で渡ったと思った瞬間、ものすごいスピードの車が右側からが来て・・・

走馬灯を見たっけな。。。

生まれたときから、さっきの瞬間までを一瞬にしてフラッシュバックのように。

そのあとすぐに、歩道にいた。


ん?待てよ。。

本体にまだ息はあったはず。。

なのに自分がここに居るということは幽霊ではないのでは???

意識だけが抜け出した?魂だけが?あ、それじゃ死んじゃうか。


本体が生きていて、自分がここに居るのはなぜだ?


幽霊は死ぬ直前の残留思念じゃないかとか聞いたことあるな。

!!

走馬灯だ!

走馬灯を見るってことは、自分の全人生を一気に振り返る=思考思念する

ということだ。

つまり、

自分の持つ生存本能が、肉体の死の可能性を一瞬にして悟り、

生まれた瞬間から今の今までを思念体として作り上げたんだ!

記憶・思考回路・自分の持つ全情報を思念体としてコピーし作りだしたわけだ。


んで、本人にはまだ息がある。と・・・

このまま自分が生きていたら、ここに作られた自分は一体どうなるんだろ。


差し詰め今の自分は、ドッペルゲンガーという奴になっちまうのか。

本体が死んだらただの幽霊。


肉体無しのこの身体が、いつまで持つかもわからないしな。。


ま、とりあえず救急車の後を追いかけて、

本体の生死の確認といきますかー。

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                             -ドッペルゲンガーの憂鬱 第一話-




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