沢木耕太郎の紀行小説『深夜特急』にあこがれ旅した人も多いだろう。低料金で泊まれるゲストハウスは長期旅行の醍醐味(だいごみ)だ。ただ日本のような物価高、土地高の先進国は海外の長期旅行者を受け入れる余地が少ないと思われてきた。そんな大都会東京で世界130カ国・地域以上から年6万人の旅行者を受け入れている不動産運営のサクラハウス(東京・新宿)の秘密を探ってみた。
1泊3000円前後で宿泊可能 「日本には2週間滞在する予定。ここ(サクラホテル池袋)には1週間泊まって、次は広島と京都。東京では秋葉原や原宿で楽しんできた」と豪州・メルボルンから訪れた兄(20)と妹(17)は屈託なく話す。
サクラハウスは「サクラホテル神保町」(1993年開設)、「サクラホステル浅草」(2006年開設)、「サクラホテル池袋」(07年開設)など都内4カ所に低料金のホテルを所有・運営している。月間5000~6000人の旅行者が宿泊し、9割以上が海外からの旅行者という。宿泊料金はホテルの場所によって異なるが、最も安くて1泊2940円。いくら日本がデフレ下とはいえ、1泊3000円前後で宿泊できるのにはいくつかの秘密があるという。
574ベッド中、約4割が相部屋 一つは客室の高い回転率だ。相部屋となるドミトリーは室内に簡単なテーブルと二段ベッドが並んだ構成。全客室のうち、ドミトリー割合を高めることで低料金を実現した。一部屋を貸すより1ベッドを貸す方が無駄なく宿泊客を受け入れられる。93年にサクラホテル神保町を開設した当初は「特に外国人を狙ったわけではなかった」(広報宣伝課の武蔵瑠美氏)といい、7割以上は日本人宿泊客だった。当時、ドミトリーを提供するホテルはユースホステルぐらいで、珍しい形態で割安なことから口コミで海外からの旅行者が徐々に増えていったという。
現在、4ホテルのベッド数は計574ベッドで約4割がドミトリー。「赤の他人と同じ部屋で、トイレ、シャワーが部屋の外にあるのは外国人旅行者にとって抵抗ない」(サクラホテル池袋の鎌田智子マネージャー)ことなどで、著名な外国人向け旅行ガイド『ロンリープラネット』などに、東京で格安に宿泊できるホテルとして掲載される存在になった。02年のサッカーの日韓ワールドカップ開催も追い風になった。
トイレやシャワーは共同、宿泊客がベッドメーク 二つ目は運営・維持コストが低いこと。池袋などはビジネスホテルを買い取った「居抜きビル」だ。改装などを含めても、土地入手から建築・設計などゼロからの開業に比べ4割程度安く抑えられたという。シーツや枕カバーなどベッドメイキングを宿泊客にしてもらう部屋もある。トイレやシャワーが共同なのも、室内清掃などの手間を大きく省ける。こうした点が低価格を可能にした。仏人など欧米人の滞在日数は3泊以上。長期滞在者が多いことも安値を支える強みだ。
インターネットの活用はお金をかけず宣伝する手段だ。英語版の従業員ブログやツイッター、フェイスブックなども駆使することで口コミ効果を期待する。同社のサイトは英語や中国語はもちろんスペイン語やタイ語など10カ国語で表記し、直接予約を受け付ける。
書道や茶道、相撲観戦などイベントも ただし、安いだけでは旅行者はやってこない。長期旅行者は少しでも旅行コストを抑えようと宿泊料金にはシビア。「最近は価格競争が激化していてドミトリーで1泊2000円しない競合店もある」(鎌田氏)のも事実。そこで、サクラホテルは月1~2回のイベントを集客の目玉としてアピール。書道や茶道、相撲観戦など季節やテーマごとに参加できるイベントを開催している。参加費は無料か、交通費など実費分だけだ。宿泊外国人がはっぴ姿になり、池袋や神保町の祭りに参加し、みこしをかつぐことができるのが大きな強みだ。日本文化や日本人と触れ合え、ほかの宿泊客との貴重な出会いの場を提供することで価格以上の価値を生んでいるようだ。
――日本経済新聞より
---------------------------------ココまで---------------------------------やはり、サクラさんはすごい。インターネットの活用はお金をかけずに宣伝する手段とあるが、あれだけどこにでも出てくるのには広告費を相当かけていると思っていたのだけど、そうでもないのかな?だって、宿泊以外の全く違う英語サイトでもガンガン出てきますよ?
なんでだろぅ~?なんでだろぅ~?
梅田