歌を詠む 2002/ 2/ 1 メッセージ: 351
詩仙李白の静夜思
<静夜思 李白>
牀前に 月光を看る
疑うらくは是れ 地上の霜かと
頭を挙げて 山月を望み
頭を低(た)れて 故郷を思う
南国に住み 深夜目覚めて窓の外から色の消えた闇に浮かんだ単色の夜景を眺めると「雪が降ったのか?」と目を疑うことがある。 雪が降るはずもなく 今日は月明かりが強いのかと我にかえる。歌というものへの共感は 人の持つ過去の心情風景と一致したときにその素晴らしさを知る。そのような歌を詠めるひとを歌心のあるひとといえるのだろう。
<明恵上人>
雲を出でて 我にともなふ 冬の月
風や身にしむ 雪や冷めたき
「美しい私の日本」で川端康成が紹介した明恵上人の歌で 月の光を 暖かいものととらえている。 月の光を 冷たいものととらえた 李白の詩、月の光の物質的作用で心を動かされる歌心、 月の光を擬人化しつきそうものとした明恵上人。
交感神経と副交換神経の微妙な働きの違いがこの二つの民族にはあるように思える。 この微妙な違いに作用しているものが大和こころなのだろう。あるようでなく あるといえないものは 合理的思考で近づけ ないようであるというのは気づきなのだろうか。
以上
2006/3/8(水) 投稿