三十年目の222 | 皮膚呼吸

皮膚呼吸

瞬間 瞬間に肌からしみ込んでくる つぶやきです

ツガイなって三十年

二匹のヒナも独り立ちして

おまけに孫ヒナまでよちよち歩きを始めて

なんとかツガイの役目を果たした感もしないでもないが

悠々自適の生活には程遠く

まだまだツガイで汗水たらして餌を確保せねばならない

 

それにしても夫婦というもの幾つ歳を重ねても謎ばかり

一夫一婦制が絶対良いとは露ほども思わぬが

そこは甲斐性の問題で

私などは一匹のメスに精一杯

夢の中に登場することさえ皆無に等しい

空気のような存在の相方だが

以心伝心とまではいかないまでも

お互い考えていることは なんとはなしにわかるほどの

異体同心の趣がないでもない

鼻糞をほじくりたくなった時など

そっとティッシュペーパーが差し出される

傷つけあうより傷を舐めあう関係になってきた

 

食卓の上にはいつものお皿と茶碗があって

萎びた大根と萎びた揚げ豆腐がちょっぴりと

それでもじっくりと煮込んだ味わいでね

染み込んだ熟成を

お茶漬けでサラサラといただく

 

見慣れた風景、代わり映えしない日常生活も

たまにファインダーを通してみると新鮮である

と、ここまで書いたところで

傍らからツガイの相方は

「自己満足の駄文は出来たかな?」

などと茶々を入れに来るのだ