美容皮膚科メモQ&A19 主な治療法・施術法 3) レーザー療法 | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

LASER(レーザー)とは  Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(放射の誘導放出による光増幅)の頭文字からできた略語です。レーザーの特徴は単色性、可干渉性、指向性、高輝度性です。

 

レーザーの臨床応用としては、俗に言う茶色のしみ、あるいは赤いしみが対象となります。病変部に周囲組織と異なる色素が存在すれば、選択的に皮膚色素異常病変を破壊することが可能です。美容的な色素沈着の軽減については、用いる機種や施術者の技量によってその結果は異なります。

 

しみで皮膚科受診が多いのは

•老人性色素斑

•肝斑

•脂漏性角化症(老人性疣贅)

•雀卵斑

•母斑細胞母斑

•炎症後色素沈着

•後天性真皮対称性メラノサイト―シス

などです。レーザーが効くのは一部です。また、診断は決して簡単ではなく、しばしば迷います。まずは、皮膚科専門医を受診してください。

 

話を戻します。茶色のしみに対しては、Qスイッチアレキサンドライトレーザー、Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチが無いものではロングパルスアレキサンドライトレーザーなどが用いられています。755nmのアレキサンドライトレーザーには、レーザーパルスの照射時間が3〜40ミリ秒のロングパルスタイプと50〜100ナノ秒のQスイッチタイプがあります。Qスイッチタイプは極めて短い時間に、強いエネルギーのレーザーパルスを照射するシステムを持っています。メラニンだけが選択的に破壊され、太田母斑などの真皮にメラニンがある皮膚病では劇的な効果が見られます。

 

赤いしみと言われる赤色病変(老人性血管腫、毛細血管拡張症、酒さなど)に対しては、従来型のダイレーザーSPTL-1b、ロングパルスダイレーザー Vbeamなどの色素レーザーが用いられています。

レーザー光およびIPLの波長とメラニン・ヘモグロビンの吸収曲線

長濱通子:しQ & Aで学ぶ 美容皮膚科ハンドブック、古川福実編、メディカルレビュー社、大阪、2014, p124-125.

 (文責 古川福実)

 

IPLについては美容皮膚科メモQ&A20で紹介します