A. 皮膚には自然の成熟・老化(生理的変化)と光老化が存在する.成人以後の皮膚の性状の変化には、紫外線(中波長)が主な役割を果たします。このことが、年齢による変化に関係します。図表は抜きました。(文責 古川福実)
新生児の皮膚と老人の皮膚を比べると明らかにその性状はことなります。赤ん坊の皮膚はすべすべしており、老人の皮膚はカサカサしています.
新生児と成人の皮膚
皮膚の厚さ,表皮の表面、表皮の厚さが異なっています。面白いことに角層の厚さは共に9-15μmで15層以上というほぼ同じ数値を示しています。
成人の特徴
成人からの皮膚の変化には二種類あります。自然の老化(生理的老化)と光老化です。顔や腕等の光が当たる部位では、両方の老化による影響が組織学的にも現れて表面の性状の違いとなります。
顕微鏡で、若年者と老人の皮膚を比べると、老人では固着した角層、表皮の平坦化・萎縮や基底層の色素沈着などがあらわれます。さらに,真皮の上層では細かな線維が変性しているところが明らかです.これが,紫外線(中波長紫外線)による長年の変化で、光老化と呼ばれるものです。
光老化とは
皮膚の顕微鏡用標本をヘマトキシリンエオジン染色で染めてみると真皮上層から中層にかけての無構造で好塩基性の変性があり、まさにこれが光老と呼ばれる変化です。コラーゲン産生能が低下し、変性した弾力線維が増加しています(大皺の形成)。
肉眼的所見には,しわ,たるみ,乾燥,色素異常,毛細血管拡張,皮脂腺肥大などがあります。身体の部位によって出現する症状に差違があります。目じりに生じるいわゆるカラスの足跡や項部菱形皮膚は光老化皮膚の代表的な症状です。弾力線維変性が強度で肉眼的に黄色調の結節ができたり,大型の面靤を伴って顔面に生じることもあります。
Q&Aで学ぶ美容皮膚科ハンドブックから主だったところを抜粋(この本はとっくに絶版となっていますが、3000部ぐらい売れたそうです。メディカルレビュー社 2010年)
写真は、上出康二先生によるものです。(文責 古川福実)