自己とは何かを問いかけるのが、美容皮膚科の真髄 (1)
2024年の日本皮膚科学会で美容皮膚科の教育講演の座長を行うので考えをまとめる意味で、果たして自分がどのようなスタンスで美容皮膚科に対峙していたかについて、雑誌の編集後記などを中心に小論を選んでみました
クリニックの紹介に美容皮膚科という標榜科を目にされる方が多いのではないでしょうか。美容整形としばしば誤解されるが、簡単にいうと基本的にメスを使わない美容の分野です。
美容皮膚科は皮膚の老化や醜形に対する予防や療法に関する学問および診療分野です。皮膚の老化や醜形を予防ないし整容することで、患者自身の精神的苦悩を軽減させ、社会生活をより円滑に送れるようにするものです。このような,概念をさらに私なりに考えると,美容皮膚科とは「美しくありたいという願望」と「美しさを認めてほしいという、もう一つの願望」が対峙する領域です。そして,結局はどこでその二つの願望を集結させるかという分野です。言い換えれば,自己とは何かを問いかけるのが、美容皮膚科の神髄です。
和歌山医大皮膚科 古川福実
和歌山県皮膚科医会向けに記したものです。