炎症、慢性炎症、老化、inflammaging | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

炎症、慢性炎症、老化、inflammaging

 

以前から下記のような老化学説がありました。私の2005年の日本皮膚科学会総会での講演から抜粋しました。

1)プログラム説:寿命は遺伝子によって制御されており、老化は遺伝子にプログラムされているという説。

2)エラー説:DNA-RNA-タンパク質合成系が突然変異・化学修飾により変異し、この集積によって細胞の機能障害、老化をもたらすという説。

3)クロスリンキング説:複数の反応基をもつ物質が架橋となり相異なる複数の高分子と結合して新しい高分子をつくることをcross-linkingというが、こうした物質は分解されにくく細胞障害を起こす可能性があり、このような物質が老化の原因であるという説。

4)フリーラジカル説:遊離電子をもつ分子を遊離基(フリーラジカル)という(スーパーオキシド、過酸化脂質など)、生体内では喫煙、紫外線正常細胞の酸素反応の過程でつくられる。このフリーラジカルがタンパク質、核酸、脂肪などの生体構成成分に障害を与え、細胞機能を低下させ老化を引き起こすという説。

5)自己免疫説:加齢に伴い免疫担当細胞の機能低下により、自己抗体が増加する。

こうして自己免疫反応が惹起され老化がもたらされるという説。

6)代謝調節説: 細胞の代謝回転が細胞分裂速度に影響して、老化や寿命を支配す

るという説。
 

最近、inflammaging説が出てきました。

「つまり、病原体感染などがなくても、自らの細胞老廃物に対する自然免疫反応によって SASP因子が産生されてくるというシナリオですね。ここでも老化と炎症がリンクしている可能性が見えてきました。そんなことから最近、アメリカでは inflammation(炎症)と aging(老化)を組み合わせた〝 inflammaging〟という言葉ができています。」—『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か (ブルーバックス)』宮坂昌之, 定岡恵著

 

Inflammagingの老化の位置付けがどうなるか、研究成果を継続して勉強して行きたいです。