『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』宮坂昌之著 を読んで

もともと加齢医学に興味があって、一昨年、京大総長の湊先生の話を聞いて、なるほど、慢性炎症と言うのは、こんなにも深くに加齢に関わっているんだなぁ認識を新たにいたしました。その流れで、慢性炎症というのがいろんな分野に関わっていると言うことを「免疫と病の科学」で知ることができました。慢性炎症はシークレットキラーと言われるそうですけれども、密かに自分たちの体に入り込んで、健康を損なっているらしい。アトピー性皮膚炎、乾癬、アレルギー性疾患、ガン、それから自己免疫遺伝性の疾患などなどが、まぁ直接の原因であったり、修飾因子であったりすることなど、読み終えて認識を新たにしました。この背景には、やはり免疫学、アレルギー学、炎症学といったものが詳細に分子レベルでわかってきて、一定の共通理解が出てきたことがある運ですね。さらに昔を振り返るとメチニコフの炎症論*に戻るのかなあと言う気もします。一読に値します。
この本は免疫の碩学宮坂昌之先生のよるもので、「炎症の慢性化機構の解明と制御に向けた基盤技術の創出」というAMEDのプロジェクトから得られた知見を元にされています。
—『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か (ブルーバックス)』宮坂昌之, 定岡恵著
*メチニコフ炎症論 (1976年) (Bunkodo medical monograph series) -
Il'ia Il'ich Mechnikov (著), 飯島 宗一 (翻訳), 角田 力弥 (翻訳)
