ネアンデルタール人は私たちと交配した 2022年ノーベル生理医学賞 | FF残日録のブログ

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広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

ネアンデルタール人は私たちと交配した 2022年ノーベル生理医学賞

 

2022年のノーベル生理学・医学賞を、独マックス・プランク進化人類学研究所のスヴァンテ・ペーボ博士に決まった。人類学にDNA解析の手法を取り入れ、人類進化の歴史に対する見方を大きく塗りかえたことが評価されたのが受賞理由。NPO法人 AASJ 代表理事西川伸一さんのフェースブックに刺激され、ペーボ博士著「ネアンデルタール人は私たちと交配した」(文藝春秋社)を購入した次第です。365ページの単行本で、一気に読みました。科学者の先陣争いの件は、ジェームス・D・ワトソンの「二重らせん」のようにワクワクするし、いつの時代も栄光の影にある人間くさいドロドロも納得します。古代DNAの分野で劣勢だった博士が、ネアンデルタール人の遺伝子解析で大逆転した件は、更科功さんの同書の解説が秀逸です(「ズル」をしないで大逆転した男の一代記)。更科さんは最後に「どうやら彼の研究生活は、ハッピーエンドで終わりそうである」と結んでおられる。

野中香方子さんの訳は、こなれていて飽きさせない。ノーベル文学賞ものです。

マックス・プランク進化人類学研究所はマックス・プランク協会のもとにある84の独立した研究所の一つらしい。比較検討は無理かもしれませんが、日本の理化学研究所の5倍の予算が計上されています。