日本テレビ「仰天ニュース」の報道をうけ 笹川先生のメール 1 | FF残日録のブログ

FF残日録のブログ

広島県出身。各地で皮膚科の医療に関係してきました。2017年から,高槻の病院に勤めてます。過去の文書や今の心のうちを,終活兼ねて記して行こうと思ってます。2023/1/8に、dermadreamからFF残日録のブログに名称変更。

 

日本テレビ「仰天ニュース」の報道をうけてと題したメールを笹川征雄先生から頂きました。笹川先生は、ご高名な皮膚科医で、元日本臨床皮膚科医会総会学術大会の会頭、大阪皮膚科医会会長を歴任されてます。高槻赤十字病院皮膚科にも患者さんを紹介して頂いてます。笹川先生の了解を得たので、二回に分けてアップいたします。

 

「仰天ニュース」の報道をうけて  笹川征雄

先日の日テレ「仰天ニュース」で脱ステロイドの有用性を語る報道が、皮膚科学会、医学界で大きな反響を呼んでいます。

これに対して、皮膚科学会で直ちに抗議し番組側から謝罪を得ることができました。ステロイド外用剤の副作用(誤認情報)を世間に大々的に報道された番組で最も有名なのは、テレビ朝日の「ニュース・ステーション」です。当時の詳しいことを知る皮膚科医も少なくなり、この事件に関わった皮膚科医として、この機会に皆様に当時の経緯をお伝えしたいと思います。

 

今から29年前、 【1992年(7/31)、ニュース・ステーション(MC;久米 宏)で特集「副腎皮質ホルモン外用剤の副作用」が放映されたのを偶然見ていた。番組では、“副腎ホルモン外用剤は非常に特殊な薬で、最後の最後に使う(*)もので、恐ろしい副作用のある塗り薬である。使用する人はよほど注意しなくてはいけないし、あまり使わない方がよい”というのが骨子であった。更に普通の使用量で全身の副作用がおこり、精神変調をきたすことや、失明することもあるとも述べています。

アトピー性皮膚炎の子供にステロイド外用を塗っている母親が、自分の手はもちろんのこと顔もお化けのようになり、体にも湿疹がでてきて恐ろしかったとのインタビューも放映されました。まったく質の低い三流週刊誌並みの内容ですが、視聴率の高い人気番組でもあり、影響は大きいと判断しました。当会(大阪皮膚科臨床医会)の広報担当幹事でもあり、黙っているわけにもいかず、直ちに(放映中)東京のテレビ朝日ニュース・ステーションに電話を入れました。「副腎ホルモン外用剤は皮膚疾患で普通に使っている使用頻度の高い塗り薬で、このような報道をされたら明日からの診療に大きな混乱を招き治療ができなくなる、医学的にも非常に偏った内容で、患者さんや一般の人々の不安を煽るだけである。私たち皮膚科医は無責任なマスコミの報道に、常日頃どれだけ苦労しているか。今後は、公正で医学的に正しい報道をされるようにしてください。」と笹川皮膚科/大阪皮膚科臨床医会広報担当の立場で厳重な抗議をした。今後もマスコミの悪質な報道に対しては、組織的に、また、会員の先生方も、電話一本でも抗議することが必要ではないでしょうか。】(1993/1;大阪皮膚科臨床医会会報より抜粋)

(*)「副腎ホルモン外用剤は最後の最後に使う薬」は、某大学皮膚科教授の発言ですが、これは番組側(デイレクター?)が教授へのインタビューで意図的に強引に引き出した内容だと推察しています。過去にも多くの経験がありますが、番組のデイレクターが考えるストーリーに合うまでなんどもなんども同じ質問を繰り返して都合のよい部分だけ切り抜いて使う手法です(警察の悪質な誘導尋問に似ている?)。