今はバブルと似ている――株価が生む「錯覚の景気」
実は、今の状況はバブル期とよく似ている。
バブルの時代も、株価は天井知らずで上がり続けていた。
多くの人や企業は、自分たちが保有している株の価格が上昇していることを「儲かっている証拠」だと錯覚し、実際には手元の現金が増えていないにもかかわらず、金を使い始めた。
株が上がっている。
だから自分は豊かだ。
だから使っていい。
その心理が消費を膨らませ、あたかも景気が良いかのような空気を作り出していた。
しかし、それは実体を伴わない景気だった。
バブル崩壊が起きた瞬間、株価は下落し、人々は初めて気づく。
「株価が上がっていただけで、現金は持っていなかった」という現実に。
そこで一気に不安と恐怖が広がり、社会全体が大騒ぎになった。それが当時の状況だ。
当時と今の決定的な違い
もちろん、当時と今はまったく同じではない。
バブル期は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、日本の製造業は輸出で世界を席巻していた。
実体経済の成長があり、その結果として株価が上昇し、さらに株価上昇が株価上昇を呼ぶ――典型的な過熱状態に突入した。
そして、その歪みが限界を超えた瞬間、バブルは一気に崩壊した。
一方、今はどうか。
今の株価上昇は、必ずしも実体経済の力強さを反映したものではない。
国による大規模な財政出動、いわゆる「バラマキ」によって現金の価値が薄まり、現金を持っているだけで損をする構造が作られている。
その結果、人々はこう考える。
現金は減価する。
持っていても意味がない。
だから株に替えるしかない。
この「逃げ場としての株式投資」が、株価を押し上げているのが今の構図だ。
「景気が悪い」の正体
よく「景気が悪い」と言われる。
しかし、それは必ずしも間違いではない一方で、半分しか真実を語っていない。
実際には、
資産価格だけが膨らみ、実感のない豊かさが広がっている
という点で、今はバブル期と非常によく似ている。
株価が高いから景気がいい。
そう思い込むのは危険だ。
大切なのは、株価ではなく、
・現金がどれだけ増えているのか
・持続的に稼ぐ力があるのか
・実体経済が強くなっているのか
そこを冷静に見極めることだ。
今の状況を「全く新しいもの」と思う必要はない。
むしろ、バブルの時と似た局面にいると認識した方が、冷静でいられる。
国民が勘違いしないこと。
それだけで、次の混乱は避けられるかもしれない。
