「責任ある積極財政」の裏側で何が起きているのか
――国際市場が日本に向ける厳しい視線
政府は現在、「責任ある積極財政」を掲げ、大型の財政出動を続けています。
国内向けには「景気対策」「物価高対策」と説明されていますが、
その一方で、国際金融市場からは極めて厳しい視線が注がれていることは、あまり語られていません。
いま日本の財政に、何が起きているのでしょうか。
1.18兆円規模の補正予算、その中身と“本当の問題”
高市総理のもとで編成された今年度の補正予算案は、
一般会計で18兆3000億円余りという大規模なものになりました。
主な柱は次の3点です。
物価高対策
電気・ガス代への支援、自治体への交付金
「強い経済」の実現
危機管理投資などを通じた経済基盤の強化
外交・防衛力の強化
一見すると、国民生活を支えるための「手厚い対策」に見えます。
しかし、本当の問題は中身ではなく財源です。
この補正予算のうち、6割以上にあたる約11.7兆円が新規国債の発行で賄われる計画となっています。
つまり、
「今、使うお金の大半を、将来の借金でまかなう」
という構造は、何も変わっていません。
2.静かに進む「短期国債」依存という危険信号
今回の予算編成について、日本総合研究所の河村小百合氏は、
ある点に強い懸念を示しています。
それが、「短期国債(満期1年以内)」への依存の高まりです。
通常、国の財政運営では、
長期にわたって使う資金 → 長期国債
一時的な資金繰り → 短期国債
という使い分けが基本です。
ところが近年、日本では
本来は長期で借りるべき資金を、短期国債で回す傾向が強まっています。
これは何を意味するのか。
毎年、毎年、
膨大な額の借り換えを繰り返さなければならない「自転車操業」です。
では、なぜ長期国債ではなく短期なのか。
次の理由です。
「長期国債が、市場で引き受けられにくくなっているのではないか」
これは、財政が行き詰まり始めた国で見られる
極めて危険な兆候だとされています。
3.海外メディアが見ている「日本の財政リスク」
日本国内では比較的楽観的な説明が多い一方で、
海外の視線は明らかに厳しくなっています。
フランスやイギリスなど、財政難に苦しむ国は他にもあります。
しかし、米国の主要紙などは、
「日本が最初に深刻な財政問題に直面し、それが世界市場に波及する可能性がある」
と報じています。
政府はよく、
「対GDP比で見れば、日本の債務は減っている」
と説明します。
しかしこれは「インフレ税」です。
物価が上がれば、名目GDPは膨らみます。
その結果、借金が相対的に小さく見えているだけで、
実際には、国民が物価高という形で負担を強いられている――。
それが実態です。
4.いま求められているのは「出口」の議論
高市総理は、
「補正後の国債発行額は前年度を下回っている」
ことを理由に、
「財政の持続可能性に配慮している」と説明しています。
しかし、市場が見ているのは
新規国債だけではありません。
借換債を含めた、
年間約180兆円にも及ぶ国債発行総額を、
今後どう減らしていくのか。
ここに、明確な道筋が示されていないことが問題なのです。
そのためには、
法人税の特例措置の見直し
所得税控除の見直し
年金支給開始年齢の検討
といった、耳の痛い議論を避けて通ることはできません。
まとめ:先送りには、もう限界がある
積極財政によるツケを
短期国債
将来のインフレ
という形で、
ひたすら先送りし続けることには限界があります。
一時的な給付金や補助金だけでなく、
長期的に日本の財政をどう立て直すのか。
いま私たちに求められているのは、
その現実から目を背けないことなのかもしれません。