いくつかの職を経て
結局、
祖父・父と同じ
柔道整復師の道を
選びました
国家試験に合格し
4月から
整形外科病院に
勤め始めました
最初の業務は
退院が近い患者さんの
車椅子を押して
病院にほど近い
公園に
お花見に行くことでした
車椅子を押すのはおろか
触ることさえ
初めてのことでした
何とか
公園には行けたものの
ちょっとした段差で
力を入れ過ぎてしまい
患者さんを車椅子から
振り落としてしまいそうに
なりました
全身から
冷や汗が吹き出しました
幸い
患者さんは無事で
事なきを得ましたが
その患者さんは
「うるさい」方で
上司から
「よく何もいわれなかったね」
と驚かれました
私の必死さと緊張が
伝わっていたのかもしれません
数日後
その患者さんは
元気に退院されました
それから約20年後
脳出血で右片麻痺になり
外出するときは
車椅子を使うことが
多くなりました
押される立場になって
あのときの患者さんが
どれほど恐かったか
実感をもって
理解できました
ふと思い出した
出来事です。