彼と彼の梅雨明け・10-2 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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「う…っ」

 

 

苦し気な吐息と共に、大野さんがビクリと震えた

 

すぐに唇を緩めて、パッと口を離す

 

こんなことされたら、俺だったら泣きたくなるけど、まだ駄目

 

 

「はぁっ…なんでこんなっ…」

 

 

息の荒い大野さんが懐かしい

 

狭くされた足の間から身体を抜く

 

 

「動いちゃダメだからね」

 

 

肩を押す

 

上体がぽすんと素直に倒れる

 

見下ろすと、胸が大きく上下しているのが分かった

 

この一ヶ月、息をしているのかさえ怪しかった

 

 

「新鮮な空気がここに…」

 

 

片膝をベッドへ乗せて、確かな呼吸に合わせるように、上着のボタンを一つ一つ外していく

 

 

「ニノ…」

 

「なに」

 

「…怒ってるよね」

 

 

喜怒哀楽の表現で分けたら多分『怒』に近い

 

でも、全然違う

 

だから否定してもいいけど

 

 

「そうだね」

 

 

今の俺が、怒っていない、ということも分からないなら、何を言ったとしても無駄だと思う

 

 

「…ごめんね」

 

 

潤んだ瞳が綺麗だなぁ

 

うっかり見惚れていると、また目が虚ろになってきていた

 

 

「ダメ、許さないっ」

 

 

急いで全てのボタンを外した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく