How to fly・20 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「悪い、仕事残ってるけど帰らせてもらう」

「あ、はい、珍しいっすね?」

「用があるから」

「デートっすか?ついに彼女ゲットすかっ!」

「だといいけど」

「…あのぉ、先輩?」

「なに」

「顔、怖いっす、大切なデートにその顔で行くのはマジ怖いっす」

「うん、ありがとう」



秒針を睨んで、定時に席を立つ


込み合う前の電車に乗る

二駅で降りる

いつもの路地へ折れる手前



…顔が怖い?



同僚に言われた台詞が頭に浮かんだ

足を止めて大きなビルのショーウインドーに目を向ける

映った姿は黒く、顔は見えなかった






「買う」

「これはまた早いお越しで」



開店と同時に扉を引いた



「買うって言ってるだろ、予約する」

「埋まってます」



何かしらの抵抗があるだろうと予想していた

だからそれを上から押さえ付ける準備も出来ている



「ふざけんな、居ねーよな、誰も」

「誰も、という言葉は相応しくありませんねぇ」

「見てみろ、一人も居ねーだろうがっ」



大きく腕を振って、店内を示す

カウンターにもソファにもテーブルにも、客の姿は無い

音楽と声が無駄に響いているのは、空間が埋まっていない証拠だ



「私です」

「あ?」

「予約しました、今夜の客は私です」

「嘘をつくな」

「そんなことをして私に何の得があるんでしょう」

「知らねーな、予約は俺がする、さっさとあいつの意向でも汲んでこい」

「ほどほどに、そう言いましたよね」



想う気持ちを、好きだという気持ちを、ほどほどという適当な言葉で片付けられてたまるか



「あいつを出せ」

「ありがとうございます、どうぞ今夜もステージを楽しんでくださいませ」



店に入ってから身体がチクチクと痛む



刺だ

どれもこれも

俺を撥ね除ける為の刺



あいつが用意したものじゃない

こいつが俺のために用意した刺



以前にも同じようなものを感じたことがある

…敵意、だろうか

今回は隠そうとしていない分、目に見えるほど尖っている



握り締めた拳が熱い



刺したいなら刺せばいい

会える道が閉ざされる辛さに比べたらどうということはない



「どういう…関係だよ」



噛み締めた奥歯の隙間から言葉を発する



「あいつとどういう関係なんだよ」



マスターと従業員

もしそれ以上の関係があるのなら

こいつをここで殴り倒して騒ぎにしたら、彼は姿を見せるのだろうか

















つづく