How to fly・11 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















あの夜、金は受け取ってもらえなかった



「だからー、いらないってば」

「ダメだよ、払う」

「なにもしてないじゃん?」

「色々見たし、お尻とかも触ったし」

「ちらっと鑑賞してちょこっと接触したくらいで金取るなんて、そんな御大層な価値はありませんから結構でーす」



それでも商売なんだから駄目だ

身体と時間を拘束された分をちゃんと金額にして受け取らないと駄目だ

何度も言ったけど、聞き入れてもらえなかった

だから、それもリベンジ対象の一つ



「買う、先約は?」

「見ての通り、ですけど」



三日後、二回目の一番乗りにマスターは呆れた顔を隠さない



「閉店まで待たせてもらうね、いつもの」

「ほどほどに、なさってくださいね」



言葉に刺を感じる

出された酒もいつもと同じ味なのに刺を感じた



これは敵意?

…俺に?



彼はここに住んでいると言っていたが、マスターとはどんな関係なのだろう

大分意外な場所ではあるけれど、雇用契約を結ぶ上で住居を用意することは分かる

閉店後の店を好きに使わせることや、そこで商売をすること、さらにはその予約の窓口を請け負うことも分からなくはない

分からないのは、高い確率で知っているであろう商売内容を黙認していることだ

家族だったとしても、恋人だったとしても、親戚や恩人や世話人や大家だったとしても、俺だったら止めてやりたい




「うわー…ほんとに居るし…」



リベンジ初戦

閉店後に姿を見せた彼からすぐにリアクションがあった

分類すればドン引きに振り分けられるだろうけど、一瞥もされなかった前回に比べたら一歩も二歩も前進している



「…折れないねぇ」

「これはステージを見て 勃 っ て る だけだから」



今夜は特等席で見た

札挿しもした

だからすっかり 煽 ら れ て きっちり 勃 っ て い る

でもこのまま突っ走ることはしない



「大丈夫、すぐ治まる」



ふーっと息を吐いて、用意していた呪文を唱える

金だけじゃダメ、想いだけじゃダメ、勢いだけでもダメ、マナーしっかり、エチケットきっちり、ダメダメ、しっかり、きっちり



「ちげーわ…心だわ」

「え?こころ?」



呪文を中断させたのは意外な言葉



「ストロングハートですねってこと」

「強い?そうかな」



失敗した俺を拒絶せずにまた受け入れてくれるお前のほうが強いと思うけど



「リベンジに参りました、よろしくお願いしまーす!」




彼の行動にはルーティーンがあるらしい

前回と同じようにカウンターへ入り、酒を注ぎ、クイと飲む

グラスを手に持ってまたぽてぽてと歩き始める

これはステージへ戻る導線だ

このまま見ているだけだと必然的に距離が出来てしまう



そうだ!


匂いを嗅いでおこう!



なぜそう思ったのか、自分でも不思議だ


また押し問答に負けて、負けたのに物凄い数のため息を聞かなければいけなくなる前に匂いでエネルギーチャージしよう!

そんなところかもしれない



見下ろされて 勃 っ た り 、蹴られたのに会いたかったり

知らぬ間に変態度数が上がっている?


上等だ


変態万歳



ぽてぽての後ろにひたひたとくっついて歩く



くんくん


「あふぅ…」



彼の首筋の匂いが下腹に直撃して、先がちょろっと湿った

またあの呪文を唱えなければ…



「わっ…びっくりした」



素知らぬ顔で少しだけ前屈みにすると、前を歩いている彼がピタッと止まった


すぐ治まるどころかさらに膨らんでしまったことが知られてしまった?



「ど、どうしたの?」

「だってー、今夜の客はめんどくさい奴なんだもん」



言いながら「よっこいしょー」と座った場所は、俺の特等席



「ここがお気に入りなんでしょ?」



ふふっと笑いながら身体を揺らし、椅子をカタカタ鳴らしている



…なんということだっ



可愛さが増してるよーっ

増してるよーっ

よーっ



嬉しい誤算が店内に響いた

















つづく