How to fly・2 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「トーゲンキョー?」


「接待には使えないけどな」

「そうなんですか」

「猥雑な感じがいいんだよ、たまには息抜きしとけ」


「はぁ、ありがとうございます」



夏の終わり

上司に連れられて二駅先で降りた


薄暗い路地もさることながら、ピンク色のネオン文字を見て、あぁ、と頷く



この店との出会いがその後に及ぼす影響の大きさを知っていたなら、なにかしらの道具を使って記録していたと思う

俺の場合だったら絵かな

スケッチブックと鉛筆一本

色は必要無い

あってもいいけど、これを描くには邪魔な気がする

黒の濃淡だけでいい

うん、きっといい絵になっただろう



地下の扉の向こう側にはキツい酒とうるさい音楽

乾杯して、上司に話を合わせて、愛想よく笑って、女に身体を寄せられて


一通りの義務を果たすと、不思議な動きをするモノが目に入った



「おぉ…マジか」



備え付けられたステージの上


人間が動いていたから「踊っている」んだろうと思った



「お兄さ~ん?こぼれるよぉ?」



酒の入ったグラスが傾いていたらしい

テーブルに滴が落ちる

分かっていたが、目が離せない



存在を景色に溶かしているようなのに


はっきりと、完全に、存在している



「どうやって…?」



筋肉が躍動しているようには見えない

そもそも筋肉があるようには見えない

細く、華奢で、白く、薄っぺらなのに、力強く、優雅で、支点も力点もない



「…あいつ、飛んでる」



しかし当たり前だが、背に羽根も生えていない



「おー、あれ、すごいだろぉ」

「知ってる人ですか?」

「知らんけど、時々ステージやってるよ」

「へぇ…」

「お前さっきからガン見だな」

「まぁ、いや、不思議で」

「札でも突っ込んでやれよ、あ!胸はペタンコだぞ!ほれほれあの振ってる尻によ、ブスーって!がははっ」



隣から脇腹を数回小突かれて、席を立つ



「おぉー!いけいけぇー!」



床を踏む足音が鈍く響く

行く手を阻むテーブルや椅子を意味もなく蹴り飛ばしたくなる



「下品だ」



漏れた言葉に怒気が込められていた


なるほど


自分の言葉からこの感情の種類を知る

席を離れたのは酔っても一応上司のあいつをぶん殴らない為だったが、俺は、あの存在を金なんかで評価することに対して憤慨しているらしい



ステージ脇のテーブルに空席が見える

いいね

特等席だ



目礼で相席を詫びて、椅子をステージへ向ける

そこへ座って見上げると、チラと目線が降った



「あっ」



思わず声が出る

俺を見た

いや、違う、見ていない



「あっ」



やっぱり俺を見た?


いや、見ていない?



こちらを見たのか見ていないのか、実際のところは分からない


しかし、この心理はなんだろう?


どうしても俺を見ている気がしてならない


いや、俺を見て欲しい…?



困惑は困惑を呼んだのかもしれない



「…え?うそだろ?」



見下ろされて勃つ癖は持っていないはずなのに…

恐る恐る目線を落とすと、身体があからさまに反応していた



下品なのは

俺か

















つづく