兄と弟の今・完 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「あの…遅くにごめん

このパーカー、返そうと思って」



そこは寒いから早く中へと言われて、足を進めた



「今すごい音してたけど…寝てたの?」

「寝てない、びっくりして飛び上がったら勢いあまってそこの床を二回転しただけ」

「……そうなんだ」

「……うん」



智兄はこの家を出て行くのは止めてくれたけど

前よりも一層ヘンテコな兄になりつつあった




「弟に恋するような兄で」



あれを聞いた時はびっくりした

そして、すごく嬉しかった



意味が分からなかった一回目のキスだって、恋してくれてたからなのかなって思ったし

本当は智兄にも好きなことしてほしいけど、自分を犠牲にして義理と義務だけで養おうとしてるんじゃないならそれも嬉しいし…



だけどすぐ泣く意味は分からない




「あのさ、今日はすごく寒いからさ、やっぱり一緒に寝たいな~なんて思ってるんだけど…」

「…和は、その…和はさ、あの…」

「なに?」

「こっ…こっ…こっ…」

「え?こここっ?」

「恋を!しているんだろうかっ?!」



う~ん…


この想いをなんて表現したらいいのか分からないけど


俺にとって智兄はいつでも特別な存在で、いつでも一番近くに居たかったし、これからも一番近くに居たいと思ってる


だから…



「うん、恋してる」

「……誰に?」

「智兄に」

「……俺は、兄だよ?」

「兄だね」

「……和は」

「弟だね」

「……それでも…いいの?」



いいか、悪いか


その二択しかないのだとして、今「悪い」を選んだら、智兄とは永遠にすれ違い続ける気がする



そんなの嫌だ



「俺はそれでもいいと思った

だから智兄が家を出てくのが嫌だった」



そう、咄嗟の自分の行動こそ素直な気持ちだったりする



「智兄が俺にキスした時さ、それでもいいじゃなかったの?」

「…分かんない」

「今は?俺が今キスしたらそれでもいいになる?」

「……どうかな…」

「してみよう」




ベッドに座ってる智兄の頬を両手で挟んで、唇をくっつけた




「…どう?」

「…手も、唇も、氷みたい」

「だから寒いから一緒に寝たいって言ってんじゃん」

「…そっか、分かった」



のそのそとベッドに寝転がって「おいで」って掛け布団を持ち上げてくれた



「お邪魔します」



さっきは二人とも一直線に伸びた状態でひたすら天井を見てたけど

今は智兄がこっちを向いてるから、俺も智兄のほうを向いた



「身体も冷たい…」

「智兄の体温…奪っちゃうね?」

「いいよ、和になら全部あげる」



腕が、背中へ回った



「…それで、どうだった?」

「それでもいいって、それがいいって、そうなりたいって、思った」

「…弟、だよ?」

「知ってる」

「兄だよ?」

「それも知ってる」



抱きしめてる腕に力が入って、強く引き寄せられた




すごくあったかくて幸せな気持ち


…のはずなんだけど



「だから泣くなってば!」



智兄が声も出さずにまた泣いてる



「ったく、仕方ねぇなぁ」



脱いだばかりのパーカーを顔に押し当てて、今度は俺がぎゅっと抱きしめてやった




北風が吹く季節は、草木が閉じていくからとても静かだ


俺も出来れば閉じたままでいたいけど、俺達は人間だから、それでは生きていけない



寒いとか、涙を受け止めるとか、そういう理由が無くても


こうして温め合って、抱きしめ合えるようになれたらいいな



兄と弟だけどね…



兄と弟だから、ねっ!





















兄と弟・完