※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「お待たせ~、院内なら歩き回ってもいいってさ」
「やったぁ!」
「ただし、俺も一緒にってのが条件だよ?」
「もちろん!早く行こっ」
なんだか嬉しそうな顔をするニノを見れて
俺も、嬉しくなった
「わぁ~、もうあったかいんだね~」
「だな~」
少しでも多く身体を動かしたいって言うから、わざわざ階段を使って屋上へ出た
「もう春なんだねぇ…あ!あれって桜かな!」
「どれどれ~?
おっ 本当だ~、もう満開かもしんないな」
屋上と言ってもここは五階建てだから、広い範囲を見渡せるわけじゃないけど
大きな通りの両脇に咲く桜の木が見えた
「綺麗だな~」
「さく…ら…?」
俺が医者だったら、この時のニノの変化に気付けたのかもしれない
「ニノ?」
「あぁ…うん、満開かもね」
桜を写していた瞳は、空へ向けられていた
「いきなり全力で色んなことしちゃ駄目だからな」
「は~い」
「毎日の定時連絡、忘れんなよ?」
「はいは~い」
「次の検診は…」
「もー!それも何度も聞いた!
無理はしません、定時連絡入れます、検診も行きますってば」
退院の許可が出た
身体は元気になったけど
心が元気になったのかはニノにしか分からないから
幾つかの条件付きで
「仕事も無理すんなよ?」
「へいへい」
最後のほうは若干投げやりな返事になってたけど
そのほうがニノっぽいなって、安心してた
「…もう散っちゃったなぁ」
花びらの落ちた枝を見上げながら、ニノが言った
「お花見したかった?」
「まぁね、季節ものとして、一応ね」
「来年も咲くからさ、そしたらお花見しような」
俺には届いてる
だから、早く来て
待ってるから
「タクシー来たぞ~」
「はーい」
終わり