絶炎・10 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















絡まり合う舌は痺れるように気持ち良いのに

胸か、頭か、心か

どこが痛いのかも分からないほどに身体中が痛い




「ニノの部屋、また行っていい?」

「…はい」

「じゃ、この続きはその時にする」

「……はい」



キスの練習を終えると、またその腕で引き寄せて

大野さんは俺の横で眠った




肩越しに天井を見つめる



必要とされてるんだから、文句なんて無い

悲しいことでも、ツライことでもない

だけど、涙だけが、止まらない



「…っ…ぅ゙…」



声が漏れないように腕を噛んだ




もっと頑張らなきゃ…











「シーリングは色んな役割が出来るからさ」

「はい」

「例えば、この外のシーンの木漏れ日とか、さっきの部屋の中で回想してるシーンとか」

「なるほど」

「スポットライトは上と前から、理由分かる?」

「えっと…前からだけだと立体感が無くて、上からだけだと顔に影が出来るから」

「そう、あとは組み合わせで場面転換するから見てて」

「はい」



照明機材を吊って、大体の位置を決めてから

明かり作りの様子をブースから見てた



「おぉ~、同じ種類で照してるのに全然違いますね」



一つの明かりでも、明暗の差をつけることによって雰囲気が変わる



「この辺のさじ加減はセンス、あとは経験しないと培われない」

「はいっ」



ペンライトを耳の上に挟んで、ノートにメモをとる



「木漏れ日…部屋の中…シーリングとピンスポ…」

「本番見てく?」

「え?!いいんですか?!」

「前売りはもう無いらしいから、ブースからだけど」

「是非!お願いします!」



オペしてるのを近くで見れるのは願ったり叶ったり

一回の経験でより多くのことを学ばないとね!




今回の現場はキャパ150人程の劇場

照明はフットと客席合わせて80機



「大野さんの作品を照らす時はどんな明かりが必要になるのかなぁ~」



開場時間になるまで、客席に座って想像を膨らませた





上演時間になる前にブースへ入って、ノートをスタンバイ

臨場感のあるそこで、舞台とオペ卓を交互に見てた



『お母さんっ』



モニターから台詞が聞こえてくる



『…あなたに会いたくて…会いたくて…だから、あなたを産んだのよ』

『でもっ』

『あなたに会えて…私はとても幸せなの、悲しいことなんて一つもないわ』

『お母さんっ お母さーんっ』



シーンの山場なのに、舞台を見ることが出来なくなった


大事なオペ技術をメモしたいのに、腕も手も強張って動かない



「大野さん…」



音を立てないように、息だけで呼ぶ



「お…のさ…」



ブースの隅で、この身体が逃げ出さないようにするだけで精一杯だった

















つづく