※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「ほんとにさぁ、父ちゃんにはさぁ、感謝しかねーよぉ」
「いやいや、智には頭上がらねーよぉ」
「父ちゃんはすげーよ!」
「智はすげぇよなぁ」
「父ちゃん、ありがとう!」
「智!ありがとうな!」
程よくお酒が回っているのか、二人は同じことを繰り返し言い合っていて
「またおんなじこと言ってぇ、もーバカねぇ」
それを見ていた大野さんのお母さんが「んふふっ」と笑う
こんな素敵な空間に、俺は…
「ニノ!ありがとう!」
「…へ?」
「うむ、和、ありがとうな!」
先に二階へ上がっていようかと思ったら、なぜか俺にも飛び火した
「ごめんねぇ、少しだけ付き合ってあげて?」
大野さんのお母さんから頼まれてしまったら、参加するしかない
「はい…えっと、大野さんも、大野さんのお父さんも、それから大野さんのお母さんもすごいです、ありがとうございます」
「ニノー!」
「和!」
「和く~ん!」
「うわぁあ~」
そして俺は、三人から、揉みくちゃにされた
「…う~」
「大丈夫ですか?」
「…おー」
「あははっ 全然大丈夫じゃないですね」
大野さんに肩を貸して二階へ上がると
当たり前のように俺の布団も用意されていた
「はい、寝ましょうね」
「…ん~」
「ちょっと、大野さん?そっちじゃないですよ?」
「こっち…でぇ…ねるんだよぉ」
大野さんの布団へ寝かせてあげようと思ってたのに、俺の布団へコロンと寝てしまった
「こっちがいいんですか?」
「…ん~」
「じゃあ、俺はこっち借りてもいいですか?」
「だぁめ~」
大野さんの布団で寝ちゃ駄目なの?
俺の寝るとこないな
ってことは…
廊下?
一瞬、背中がヒヤリとした
違う
絶対に違う
大野さんは酔ってるから、そんなことさせようと意識して言ってるわけじゃない
「…おやすみなさい、大野さん」
分かってるのに、背中は冷たいままで
駄目だと言われた場所で寝る勇気はない
正座して、大野さんが眠るのを待つ
今は自分の部屋がある
ちゃんと帰る場所がある
たくさんのふわふわを受け取った
だから、大丈夫
立ち上がって、部屋の明かりを静かに消した
つづく