絶炎・6 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「日の出まで歩くぞっ」



手を引かれて、暗い町を歩いた



さっきまでのぽかぽかは消え去って

足元から存在も消えていくんじゃないかと思った



大野さんと繋がってるこの手の感触だけを残して

消えたかった





空が明るくなって、低い町並みから昇る朝日を並んで見る



また一年、果てしなく繰り返される日々を生きないといけないんだな…



「綺麗だな」

「はい」



おめでとうなんて、とても言える気分じゃない



「今年もいっぱい笑えるといいな」

「はい」



夜が明けることが、苦しい




寂しいって気持ちを知ってから、よく泣いた



胸が潰れるような苦しさが込み上げると

誰も居ない場所へ走って、ちゃんと泣いた



感情を見ない振りが出来なくて少し困ったけど、泣くことで流せるなにかがあった



同時に、心配を掛けるってことも理解してたから

大事な人の前では、忘れるようにしてた



今はどうだろう…?



自分の気持ちがよく分からない






カートを押しながら、店内を回る



「えーっと、味噌はぁ…」

「これです」

「米は…」

「これです」

「すげーな、よく覚えてんなぁ」


「そりゃ覚えてますよ~」



忘れるわけ無い


俺にとっては、大切な思い出の欠片だから




味噌と米を抱えて、並んで歩く帰り道



「なんかドキドキする…」

「なんで?」

「久し振りだからかな?」



この道にもたくさんの思い出がある


釣り道具一式を背負ってたり、毛布に巻かれて抱えられてたり、裸足で走ったり…


たくさんの迷惑を掛けてしまったけど

俺にとっては、どれも大切な記憶





「ただいま~」

「あの…こんばんは」



敷居の向こう側

背中を押されて足を踏み入れたそこは、なに一つ変わっていなかった



「和くーん!いや~ん!おかえりなさ~い!ありがと~!嬉し~!」

「あっ…大野さんのお母さん

お久し振りです」

「え?和くん?!あー!おかえり~!」

「おっ、和かぁ、おかえり」



人も、変わってない



「ねぇ、俺は?俺も帰ってきたんですけど!」

「はいはい、おかえり、これでいい?」

「なにその投げやりな感じ!」

「和くん、おかえりなさい」

「…ただいま帰りました」

「はい、おかえりなさい」



どこを見てもぽかぽかしてて、ふわふわしてて

溢れそうになった涙を、米で隠した

















つづく