絶炎・5 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「あれ?こっちにもお詣り出来るとこがある」

「あ…」

「なんだろ?」

「そこって…水子地蔵ですよ」

「へぇ~」



目の前に広がる風景と同じ映像が頭を占領する



鳥居も、出店の雰囲気も、お地蔵様も同じなのに

側に居る人と、空気だけが違う




「手を合わせてきていい?」

「…はい」

「ちょっと待ってて」



ぱっと駆け寄って、静かに手を合わせている後ろ姿を見てた



さっきまで「手が凍りそうだよぉ~」って言ってたのに

側のお地蔵さんに水を掛けて、スポンジでゴシゴシってしてる




「お待たせ~」



俺は、まだ出来ないんだな



「ニノ?」



余り者とか、居候者とか、手を変え品を変え、なんとか保っていた俺という存在

それを、根刮ぎ否定する言葉




「…どうした?」

「あ…ごめんなさい、ぼんやりしちゃった」



どんなに小さくても、生まれたからには意味があるだろうって思ってた

そう思わせてくれた人が居た



目に見えないほど小さなモノだったけど、それは俺なりの希望だったのに






「ここにね、あんたのお兄さんがいるのよ」

「兄さん?」



姉の合格祈願で、お守りとかお札とか、たくさん買った



「小さくて性別はまだ分からなかったけど、流れるのは男の子の確率が高かったから」

「そうなんだ…俺に兄さんが居たんだね」



兄が居たかもしれない事実は嬉しかった



一緒に遊んだり、一緒に勉強したり

そんな毎日だったのかもしれないと、安易に、思った




「この子が生まれてくれてたら、あんた産まなかったのに」



なにか重い物で殴られたような衝撃



「三人目は要らなかったからねぇ」




俺は、要らない

はっきり言われたのは、これが初めてだと思う



言葉の綾とか、その場のノリとか、あとは、あとは…



なんとか俺の意味を見出だそうとしたけど

冷たい空気の中には、なにも無かった



「あははっ、そうだよね~」



世界から自分が消えていくような感覚は、ただただ怖かった






それからその言葉はずっと消えなくて

飲み込めなくて、消化も出来なくて…



「兄が…ここに居るんです」

「そっか、兄ちゃん…居たんだな」



今も、出来ない、出来てない

兄に手を合わせることも出来ない



「どんなことしてでも、生まれてくればよかったのに」

「そうだよな、ニノに本物の兄ちゃんが居たってことだもんな」

「…いえ、俺の兄は大野さんです

大野さんがいいんです、大野さんしか居ないんです、俺には大野さんしか…」



言いたくないことを言いそうになった



ただの過去なのに


そんなことに流される弱さが憎い

















つづく